【4話 さばくちほー 考察まとめ】
【4話 さばくちほー 総合的な解説】
けものフレンズの各話は、基本的に以下のようなストーリーのテンプレートに沿って展開していきます。
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
新しいフレンズと知り合う
未知の問題と遭遇する
かばんちゃんの思いつきで問題を解決する
この構造に4話を当てはめたとき、果たしてどのような解釈が可能になるでしょうか?
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
4話でかばんちゃんたちは、さばくちほーという新たなちほーへ向かいました。Aパートでは砂砂漠、礫砂漠、岩石砂漠といった多様な砂漠を経験することになります。
さらにBパートでは、人を楽しませるために人工的に造られたアトラクション「地下迷宮」の内部に入ってしまいます。しかし、そこがアトラクションであるとわかったのは脱出したあとのこと。入ったときは昔造られた「遺跡」と解釈しており、セルリアンから逃れつつ出口を探すというのが後半の大まかな流れです。
新しいフレンズと知り合う
4話では新たなフレンズ「スナネコ」と「ツチノコ」が登場します。スナネコは主にAパートで、ツチノコはBパートで活躍しました。
スナネコは元動物の特徴から「熱しやすく冷めやすい」というキャラクター付けがなされていました。主な役割はかばんちゃんたちを自然な形で遺跡に導くことです。そのためAパートでは(ときには気分屋なスナネコの性格が元で)次々に場面が展開していきます。
そうまでしてかばんちゃんたちを遺跡に進ませたかった演出上の目的は「ジャパリパークの過去やかばんちゃんの正体に繋がる伏線を複数披露するため」です。そのためにはパークやフレンズについて詳しい「案内役」の役割を果たす登場人物が必要でした。
そうした必要性から登場したのがツチノコです。ツチノコは「人前に出るのが苦手」と設定されており、「重要な情報を断片的に話しつつも、決定的なことは言わない」という振る舞いを見せます。これによって、伏線をばらまいてストーリーの深みをましつつも、謎解きのヒントになる情報をうまく視聴者に伝えることに成功しています。
未知の問題と遭遇する
けものフレンズでは、各話ごとに新しい問題が出現しその都度解決されていきます。ただし、毎回問題の性質がそれぞれ違っているという特徴があります。
1話で出てきた問題は「かばんちゃんにジャパリパークの掟=自分の力で生きること、が守れるか?」というものでした。かばんちゃんはそれを「紙飛行機でサーバルを助ける=サーバルに助けられるだけの存在ではない」ということを示すという形で解決しています。
2話の問題は「ジャパリバスの運転席を川の向こう岸まで運ぶ」というもの。かばんちゃんはこれを「川に橋を架ける」という方法で解決し、副次的に「川を渡れないフレンズが困っている」という状況を改善することにも成功しました。
3話の問題はトキとアルパカという「フレンズ化したことで、仲間を失ってしまったフレンズ」が「どうやって仲間を獲得するか」という複雑なものでした。かばんちゃんは「トキに上手な歌い方のコツを教える」、「ジャパリカフェの目印を作る」といったアイデアを提供しましたが、それはあくまで個別のことに過ぎません。本質的にはトキとアルパカに「フレンズになると、ほかの種類の動物とも友達・仲間になれる」と気づかせることで問題を解決したのです。
かばんちゃんの思いつきで問題を解決する
過去の例と比較すると、4話の問題は少し複雑です。Aパートにおいては砂嵐や砂漠の暑さといった問題の直面し、スナネコの協力によって解決に導いています。同様にBパートにおいても遺跡からの脱出(出口の捜索、セルリアンからの逃走)といった危機が訪れ、こちらもツチノコの能力とかばんちゃんの機転によって解決することができました。
これらをまとめると、けものフレンズの4話は「差し迫った危機が訪れ、それをフレンズの能力(元動物の特技)で切り抜けるストーリー」と表現することもできるでしょう。かばんちゃんはじっくり物事を考えて解決するのは得意でしたが、4話では緊急性の高い問題に対しては脆い面も見せています。そうした面をほかのフレンズの協力によってカバーしている、という点が4話の新しい要素だといえるかもしれません。
4話で加わった新要素:伏線による次回以降への影響
しかし、4話ではこれらに加え「将来に関係する伏線」=ジャパリパークから人間がいなくなったのはなぜか?遺跡に残る溶岩の痕跡、かばんちゃんの正体・・・といった次元の異なる問題も出現しています。
従って、表面的には「(かばんちゃんの苦手分野だった)突然の危機を、みんなの特技で乗り越える話」といえるのですが、それだけではなく「将来に渡る新たな謎が提供された話」であるともいえるのです。
これまで、基本的にけものフレンズはほぼ完全な1話完結型で「将来への伏線」自体は何度も登場しているものの、「それらの伏線が将来のストーリーに影響を与える」という要素はほぼ皆無でした。しかし、4話のBパートで出てきた大量の伏線はほぼ回収されておらず、5話以降まで解決を持ち越すことになります。
この「未回収の伏線による、将来のストーリーへの影響」という新たな要素が加わったという点が4話の大きな特徴です。