けものフレンズ4話感想その2:ジャパリバス、砂嵐からの脱出

諸注意

前回記事:

けものフレンズ4話感想その1:リアリティを持って描かれるさばくちほー
前回記事: 【冒頭 さばくちほーで砂嵐に遭遇する3人】 じゃんぐるちほーを抜け、さばくちほーにや...

【Aパート 砂嵐からの離脱を図る3人】

かばんちゃん、サーバル、ラッキービースト(ボス)の3人を乗せたジャパリバスは、さばくちほーにやってきました。その時、サーバルが行く手を遮る巨大な砂嵐を発見します。一時バスを停車し、迂回を試みるラッキービーストですが、砂にタイヤを取られ動けなくなってしまいます。

なんとか砂嵐から逃れようと、2人でバスを押すサーバルとかばんちゃんですが・・・。

けものフレンズ「さばくちほー」における砂嵐の描写

砂嵐について、ラッキービーストはかばんちゃんに次のような説明を行いました。

  • 砂嵐は砂漠では珍しくない
  • 砂を吸い込むと体に悪い
  • 迂回するから運転は自分に任せて

Wikipediaによると「砂嵐」は正確には砂塵嵐(duststorm)と、砂嵐(sandstorm)の2種類があるとのことです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E5%B5%90

砂塵嵐と砂嵐は次のような違いによってわけられています。なお、sandstormの方は砂砂漠のような場所でしか発生しませんが、duststormは乾燥した土地であれば砂漠以外でも発生しうるとのことです。

“duststorm”は、吹き上げられている土壌粒子の多くが粒径1/16ミリメートル(mm) 以下、砕屑物の分類上「シルト」や「粘土」等であるものをいう。一方”sandstorm”は、吹き上げられている土壌粒子の多くが粒径 2 – 1/16 ミリメートルの「砂」とであるものをいう

ジャパリバスが走行している周辺が、砂漠の中でも砂ばかりで岩石のない「砂砂漠」であること、ラッキービーストが単に「砂嵐」と言っていることから、かばんちゃん一行が遭遇したのは「sandstorm」の方であると考えられます。

責任を果たせずがっかりするラッキービースト

続いて、砂がもたらす健康被害を確認してみましょう。同じくWikiには次のような記述があります。

屋外で砂嵐に遭遇した場合、砂が体に付着したり吸い込んだりすることで不快感を覚えたり、吸い込んだ砂が気道や肺に達することで健康に影響が及ぶことがある。これらに対処するため、砂嵐のときには外出を控えるなどし、やむを得ず外出する場合は、体の広範囲を覆える長袖の衣服を着用したり、帽子やスカーフ、布などで頭を覆って砂の侵入を防ぐといった対策がとられる。

かばんちゃんやサーバルは、砂嵐の被害を防ぐような道具は殆ど持っていません。ラッキービーストが砂嵐からの退避を勧めたのは正しい判断だったといえるでしょう。

問題は、この直後ジャパリバスが停まってしまい、動けなくなってしまったことです。ラッキービーストとしては、一旦走行を停止して安全な進行方向はどちらか考えたかったのだと思いますが、路面が砂で、かつデコボコしているためにタイヤが滑って動けなくなってしまいました。

この時のラッキービーストは、体色が真っ白になり俯いた様子で端からは自分の行動を悔いているようにも見えます。何しろ、ラッキービーストは先ほどかばんちゃんから「(砂漠は地面が砂でデコボコしているが)この道、大丈夫ですか?」と尋ねられ「任せて!」と回答したばかりです。おそらく、その直後にバスを走行不能にしてしまったことに責任を感じたか、あるいは「かばんちゃんやサーバルからは責任を感じているように見えた」ことを表現したのでしょう。

どちらにしても、ラッキービーストはいつもどおり「突然のトラブルに対応できずフリーズしてしまった」ことは間違いありません。

かばんちゃんとサーバルは緊急・重要なトラブルへの対応力が高い

しかし、このときのかばんちゃんとサーバルの対応は極めて素早いものでした。2人は乗り物に乗るのも初めてなら、走行中のトラブルに巻き込まれたのも初めての経験のはずです。それにもかかわらず、かばんちゃんはすぐさま「どうしよう?押せばいいですか?」と車を押して動かすことを決断し、バスの後ろに移動します。サーバルも「わかった!」とほぼ同時にかばんちゃんの指示に従って一緒にバスを押しに行きました。

かばんちゃんとサーバルは、さまざまな面でそれぞれに違いを持つ対象的なコンビですが、2人が共通して持っているある長所があります。それは「緊急性・重要性の高いトラブルへの他応力に優れている」という点です。今回の砂嵐への遭遇ではその長所がいかんなく発揮されました。

2話、3話において、かばんちゃんとサーバルは「川に橋を架ける・カフェに目印をつける・崖を登る」といったさまざまな問題を解決してきました。しかし、それらは旅を進める上では大事なことではあったものの、緊急性や重要性と言った面から見ると重みにばらつきがあったことも事実です。

実際、これらの問題を解決するときのかばんちゃんとサーバルは、それぞれ失敗したり、時間をかけていい方法を考えたりするなどして解決しています。それと比べると4話で遭遇した「砂嵐からの脱出」という問題は「すぐに決断しなければいけない」緊急性の高い問題であり、同時に「失敗すれば命にかかわる」という重要なトラブルでした。

2人がこうした緊急性・重要性の高い問題に遭遇するのは初めてではありません。1話における「さばんなちほーゲートでのセルリアンとの戦い」も同じように緊急性・重要性の高い問題でした。「誰かフレンズが食べられしまっている可能性があり、一刻も早くセルリアンを倒し救出する必要があった」からです。

2人はこのとき、「サーバルが真っ先にセルリアンに戦いを挑む」、「かばんちゃんが紙飛行機で注意を引きつける」という方法でセルリアンを見事に撃退しています。この際の問題への素早い対処と同様、4話における砂嵐に対しても息を合わせてすぐさま最善の行動を取っています。

1~3話までの描写では、かばんちゃんとサーバル、2人の「違い」を際だたせるような描き方が目立っていました。しかし、4話では再び2人の「共通点」に注目させるような描き方に変わっています。この後の展開の中で、この部分がどのように描かれていくのか、さらに注目していきたいと思います。