けものフレンズ3話感想その8:かばんちゃんから歌を教わるトキ

諸注意

前回記事:【3話 その7】アニメ感想「けものフレンズの謎」:2話~3話に至るまでの時間経過を考察

【Aパート じゃぱりマンの歌を披露するトキ】

ロープウェイの柱の上でジャパリまんを食べるトキとかばんちゃんは、ジャパリまんがいつもより美味しいことに気がつきます。トキはその感動を歌で表そうと「ジャパリまんの歌」を作ることにしました。即興で「柱とジャパリまん」という歌を披露します。

しかし、フレンズの姿にまだ慣れていないトキは「この体ならではの歌い方があるのでは」と考えます。トキに促されたかばんちゃんも歌声を披露することになりますが・・・。

トキの歌は視聴者(と、人間よりも音に敏感なサーバル)にはうるさく聞こえますが、本人にその自覚はないようです。ただし、動物からフレンズに変化してまだあまり時間が立っていないため、動物だったころと同じ感覚で歌えないことに違和感を覚えているようです。

フレンズの姿ならではの歌い方を模索するにあたって、かばんちゃんに歌わせようとしたのは「かばんちゃんが歌に詳しそうに見えたから」という理由でした。トキは飛行中、ラッキービーストが語った「トキの動物としての説明」をかばんちゃんがやったと勘違いしているので、「自分のことにあれだけ詳しいなら、上手な歌い方についても詳しいのではないか」と期待したのです。

フレンズの姿で上手に歌うコツ

かばんちゃんが歌声を披露すると、トキは「とっても上手い!」と絶賛します。フレンズの姿で上手に歌うコツを尋ねられたかばんちゃんは「お腹に力を入れること」と答えます。合わせて「寒いから喉が少し苦しい」という知識も伝えました。

「自分の声を録音して聴いてみると、なんだか違和感がある」という経験は、誰でも一度はしたことがあるのではないでしょうか?普段自分の声を聞くときは、骨など体内で反響した音も合わせて聴いているため、他の人が聞いているのと同じようには聞こえないのです。同じ理屈で、音痴の人の中には自分が音痴だと気づけない人も多いようです。トキは自分の歌声がひどいことには気がつけませんでしたが、かばんちゃんの歌声が自分より上手なことには気がつくことができました。

かばんちゃんが語った「お腹に力を入れる」というコツは、一般的にもよく語られる上手に歌う方法のひとつです。かばんちゃんはこのときおそらく生まれて初めて歌を歌ったのだと思いますが、それにもかかわらず最初から上手に歌うことができているのは特別な才能=かばんちゃんのフレンズとしての能力が発揮されているのでしょう。

「寒いから息が苦しい」というのは、標高が高い山の上まで着たので、気圧と気温が低下していることを示すものです。トキは普段から高い上空を飛行しているため気がついていませんが、かばんちゃんは本来空を飛ぶ動物ではない上に、さばんなちほーの生まれですから「気温と気圧の変化」に気がついたのでしょう。

本来、普通の人間ならあんな薄着で高所を飛行したり、いきなりこうざんに言ったりすれば体調を崩してしまうことも考えられます。しかし、かばんちゃんは「歌うと少し苦しい」という程度で特に気にする様子もありません。さばんなちほーであまり暑さを気にする様子もなかったことから、極めて高い環境適応能力を有していることがわかります。

かばんちゃんから見たトキのイメージ

これらのシーンでもっとも注目すべき点は、かばんちゃんのトキに対する人物評価でしょう。楽しそうに歌う様子や、熱心に歌の上達方法を聞く姿から、「本当に歌が好きなんですね」、「勉強熱心なんですね」と語っています。

このように、登場人物自身の口から語られた、ほかのキャラクターの人物評価はストーリーの中で極めて重い意味を持ちます。たとえば、「ちびまる子ちゃん」に登場する「藤木くん」は、周囲のキャラクターから「卑怯」と呼ばれていますが、これはつまり「この作品ではこの藤木くんという人を、『卑怯な人』として描きますよ」ということを視聴者に対して伝えようとしているのです。

同様に、このシーンでもかばんちゃんを通じて、「トキは歌が大好きで、勉強熱心なキャラクターである」と視聴者に印象付けようとしているわけです。このような演出をする意図は、「トキの歌への情熱や、勉強熱心な部分に注目してほしい」と製作者が意図しているからにほかなりません。

では、トキの歌への情熱と勉強熱心な面は今後どのように描かれていくのでしょうか?それは次回以降の解説で明らかにしていきたいと思います。

コメント

  1. より:

    サンドスターによって元の動物の能力(サーバルならジャンプ力、トキなら飛翔力)が強化されているのなら、かばんちゃんは環境への適応力がサンドスターによって高まっているのかもしれませんね(´ω`)

    • hifumi1239 より:

      コメントありがとうございます。

      そうですね。「環境への適応力」も暑さ・寒さへの適応のように純粋なフィジカル的能力もあれば、雪山で素早く雪洞を作るようなより広い意味での能力もあると思います。
      かばんちゃんが新しく行くちほーで降りかかる問題を次々に解決できたのは、そういった能力が高められていたからかもしれない・・・とか考えていくと面白いですね。