【冒頭 大きな湖のそばに通りかかるジャパリバス】
サーバル:きれいだね~。
かばんちゃん:うん!
ラッキービースト(ボス):大きな湖を通るよ。ここはビーバーが作った湖とも言われているよ。
サーバル:えーっ!!
ラッキービースト:このあたりは程よい暖かさで、樹木も豊かだよ。見晴らしもよくてドライブにもおすすめだよ。
サーバル:そういえば、バスってどうやって動いてるの?
かばんちゃん:ラッキーさん、触ってないですよね?
ラッキービースト:僕とリンクして、半自動運転してるんだ。手動でも運転できるよ。
かばんちゃん:へぇ~。
ラッキービースト:試しにやってみる?
サーバル:みゃ・・・。
開始数秒のシーンに織り込まれた「ちほーの切り替わり」
けものフレンズ5話の考察をスタートします。OPテーマ前の冒頭のシーンでは、かばんちゃんたちを乗せたジャパリバスが5話の舞台となる「こはん=湖畔」の周辺を通りかかります。
物語開始直後の数秒、道を走るジャパリバスのタイヤ周辺が映し出されますが、このシーンにも細かい演出があるのを見逃してはいけません。最初、バスが通っているのは砂利道でガタガタと揺れながら走っています。道の周囲にはちょうど3話で除草したような10cm程度の身の丈を持つ草が生えているのを確認できます。
しかし、しばらくすると(ほんの数秒後ですが)、道は平坦な路面に切り替わり、ガタガタという砂利の音も聞こえなくなります。道の周囲に生えている草ももっと身の丈の低いものに変化しており、ここで「別のちほーに入った」ということが演出として伝わるようになっています。
本編開始後まだ10秒も経っていない僅かなシーンですが、こうした細かい演出が入っているのがけものフレンズの見どころです。
巨大な湖を作ったのはビーバー?
かばんちゃんたちの目の前には豊かな森と大きな湖が広がります。また、遠くの方にはアルプス山脈のような、一部を雪で覆われた高い山々もそびえ立っています。これらの山は3話で登場したこうざんの山々とはまた違った趣を醸し出しているのが面白いところです。
まるで北アメリカの広大な森林や、ヨーロッパの森を髣髴とさせるような光景に、初めて目にしたサーバルも思わず「きれいだね」という感想を漏らしています。今までに登場したちほーはどれも環境が過酷であったり、先に進むのも困難なところばかりでしたが、このちほーはそうではない、ということがひと目でわかります。
ラッキービーストは、周囲の環境の中でも特に特徴的な湖について説明しました。湖の正確な大きさはわかりませんが、遠くには橋が見え、周囲を道で囲われていることから相当な大きさであると推測できます。
驚きなのは、ラッキービースト曰くこの広大な湖を作ったのはビーバーだというところです。ビーバーは川をせき止めてダムを作る生物として知られており、Wikipediaには次のような記述もあります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC
河川や湖・池などの周囲にある湿原に生息する[2]。
ビーバーは「自分の生活のために周囲の環境を作り替える、ヒト以外の唯一の動物」であるとも言われる。
このように、ビーバーのダムづくりはときとして大きな湖を作り、周囲の環境をお菊変えてしまう可能性もあるのです。ちなみに、現実に存在するビーバーが作ったダムの中で最大級のものは、カナダのウッド・バッファロー国立公園内に存在します。
風光明媚で気候も温暖、珍しく過ごしやすいちほー
ラッキービーストも語っているとおり、この湖の周辺は今まで通ってきたちほーとは異なり、非常に過ごしやすい環境が整っていると言えそうです。今までのちほーは高い山や大きな川など、通り抜けることそのものが厳しいという問題もありましたが、何よりも気温が高すぎるか、もしくは低すぎるところが多かったはずです。
かばんちゃんたちも、さばんなちほーやじゃんぐるちほー、さばんなちほーでは「暑い」と口にしていましたし、こうざんでは「寒い」と言っていました。ラッキービーストが言うとおり、湖の周辺は温度や湿度も快適で過ごしやすそうにみえます。
地味に見えますが、「車道がしっかりしている」という点も見過ごせません。さばんなやじゃんぐるでは基本的に自然環境の問題からたとえ車道を通っていても車体がガタガタ振動して快適とはいえなかったと思います。
ラッキービーストがこの「こはん」を指して「風光明媚でドライブにも最適」といったのはまさにうってつけの表現だったといえるはずです。
AIによる半自動運転を実現したジャパリパークの科学力
ところが、この「ドライブ」という発言が思わぬ展開を呼び込む結果になります。まずサーバルが「バスはどうやって動いているのか?」と疑問に思い始めました。ここでいう「どうやって動く」というのは動力など原理的なものではなく「どうやってスピードや向きをコントロールしているのか?」という「操作方法」に関する話でしょう。
かばんちゃんでなければラッキービーストは回答してくれないためか、かばんちゃんもサーバルに続いてラッキービーストに質問をします。かばんちゃんは特に深く考えずバスを「操縦」しているのはラッキービーストだと考えていたはずですが、そのラッキービーストがバスのハンドルに手を触れていないという点に疑問を持ちました。
つまり、「バスに触らずにどうやって操縦しているのか?」というのがかばんちゃんの疑問点です。「バスを動かしているのはラッキービーストに違いないが、触らずに操縦する方法などあるのか?」と考えた上で質問しているわけで、サーバルよりもより具体的な推測を行った上で質問しているのが対照的です。
ラッキービーストの答えは、「自分とリンクして半自動運転している」というものでした。2017年現在、自動運転車は技術的に実現しつつあり、安全性などを確かめるための実証試験が行われています。中でも有名なのはGoogleの自動運転車でしょう。
けものフレンズの世界の科学力が現実よりもどの程度発達しているかはわかりませんが、少なくともラッキービーストは、現在の科学力ではまだ実現できていない「自然言語で話せるAI搭載型ロボット」だと思われます。それが実現できているくらいなのですから、「AIとリンクして半自動運転できるバス」が存在したとしても不思議はありません。
ところが、このドライブの話から「バスは手動でも運転できる」という話を耳にしたサーバルが、運転に興味を持ってしまいます。おそらくはジャパリパークでも初であろう「フレンズによる乗り物の運転」については、次回の考察で紹介していきたいと思います。