【5話 こはん 考察まとめ】
【5話 こはん 総合的な解説】
けものフレンズの各話は、基本的に以下のようなストーリーのテンプレートに沿って展開していきます。
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
新しいフレンズと知り合う
未知の問題と遭遇する
かばんちゃんの思いつきで問題を解決する
この構造に4話を当てはめたとき、果たしてどのような解釈が可能になるでしょうか?
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
5話でかばんちゃんたちがやってきた土地はこはん(湖畔)。ビーバーによって作られたと言われる大きな湖の畔です。今までかばんちゃんたちが通過してきたちほーは気候が厳しくその影響によって何らかの危機に陥ることが多かったですが、今回はそうした影響はありません。
逆に、今までよりも過ごしやすい環境にやってきたことで気候による影響が少なくなり、登場するフレンズやかばんちゃん、サーバルの内面といった今まではあまり注目されなかった側面に目が向けられることになりました。
新しいフレンズと知り合う
5話で登場した新しいフレンズは、アメリカビーバーとオグロプレーリードッグです。どちらもフレンズの体に合った家をつくろうとしており、「フレンズ化に伴う体の変化に対応しようとしている」という点では3話に登場したトキ、アルパカ・スリに似ていると言えるかもしれません。
ですが、ビーバーとプレーリーが抱えている問題はトキやアルパカのものとは少し質が異なります。トキやアルパカの場合は、特定の事実を知ったり、単純に他のフレンズと協力すればも問題を解決することができました。しかしビーバーとプレーリーの場合、単純な協力では問題は解決できません。それ相応の特別な方法を取る必要があったのです。
未知の問題と遭遇する
3話で登場したトキとアルパカはそれぞれ、「フレンズの体に合った歌い方がわからない」、「他のフレンズにカフェに来て貰う方法がわからない」という問題を抱えていましたが、かばんちゃんが適した解決法を教えることで解決に導いています。
今回、ビーバーが抱えていた問題は「心配症で作業に移れない」、「家をつくる方法はわかるが、それを実現するための加工技術がない」といった複雑な問題を抱えていました。これらの問題はかばんちゃんと言えども即座に解決するのは難しい複雑な課題です。
一方、プレーリーの方は「考えながら作業することができない」という問題を抱えています。これも本格的に解決するにはプレーリーの内面的な変化が必要となる複雑な課題でした。そこでかばんちゃんとサーバルは「2人で協力して、ビーバーたちのカウンセリングを行う」という複雑な解決法を取ります。
かばんちゃんの思いつきで問題を解決する
「かばんちゃんの思いつきで」と書きましたが、5話に限れば「かばんちゃんとサーバル、2人の思いつきで問題を解決する」と表現したほうが適切でしょう。かばんちゃんとサーバルは、暗黙のうちに「ビーバーとプレーリーを協力させ、一緒に家をつくらせる」という目的のために動いていました。
その際、サーバルは2人のテンションを高め、気持ちに寄り添う役割を担い、かばんちゃんは「役割分担をする」といった具体的な方策をを発案する役割を担いました。今までも協力してセルリアンと戦うなど、局所的には協力を見せていた2人ですが、今回の話の中で初めて「複雑な目的を達成するために、それぞれ別の役割を果たす」という、本当の意味での「コンビネーション」を発揮したことになります。
かばんちゃんとサーバルが「素敵なコンビ」になる話
以上のような展開によって、かばんちゃんとサーバルは阿吽の呼吸でそれぞれの長所を活かしあう、本当の意味での「素敵なコンビ」になることができました。この5話のあと、けものフレンズのプロット(話の因果関係)は少し変化することになります。
今までは、1話毎に以下のような話の流れでストーリーが展開していたはずです。
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
新しいフレンズと知り合う
未知の問題と遭遇する
かばんちゃんの思いつきで問題を解決する
それがこの5話からは、
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
新しいフレンズと知り合う
未知の問題と遭遇する
かばんちゃんとサーバルが協力して問題を解決する
というふうに、物語の展開が変化したのです。このように、サーバルとかばんちゃんが本当の意味で協力し合える関係になったという意味で、5話は重要な意味を持つ話だったといえるでしょう。