けものフレンズ5話感想その12 :互いに惹かれ合うビーバーとプレーリー

諸注意

けものフレンズ5話感想その11:アメリカビーバーによる正しい木の倒し方
【Bパート 針葉樹林の伐採】 アメリカビーバーの家の材料として、針葉樹林を伐採しにやってきたかばんちゃ...

【Bパート 作業が速いオグロプレーリードッグ】

木材調達をプレーリーに手伝ってもらうことになったかばんちゃんたち。ビーバーが迷っている間に木を倒そうするプレーリーでしたが、穴を掘って倒すしたため倒れる方向がコントロールできず危険でした。ビーバーから歯でかじる倒し方を教えられたプレーリーは再び作業を再開しますが・・・。

アメリカビーバー:こういう、試しならすぐ切れるんすけど・・・本番だと思うと・・・ううう・・・。

オグロプレーリードッグ:ハッハッハッハッ・・・!(木の根元を歯でかじる)

(大量の木が倒れる)

プレーリー:なんとなく、似た感じで100本用意したであります。長さは後で調整したらどうでありましょう?

サーバル:飲み込み速すぎるよ!

ビーバー:うわぁ・・・速いっす!切り口もきれいっすねぇ。尊敬するっす!

プレーリー:我々チームで穴掘るから、指示通りに勧めるのは慣れたものでありますよ。ビーバー殿こそ、すごい知恵であります。尊敬であります。

ひと目でビーバーの倒し方をコピーしたプレーリー

前回の考察でご紹介したとおり、プレーリーはビーバーが教えたテクニックを完全に理解したわけではありませんでした。あくまでそれまで木の根元を掘って倒していたやり方を、歯でかじるやり方に切り替えただけです。

ビーバーが本当に教えたかったのは「木のかじり方によって、倒れる方向をコントロールできる」という部分。しかし、その点はおそらくはプレーリーに伝わっていないと思われます。

しかし、ビーバーからやり方を教わったプレーリーの行動は非常に素早いものでした。先ほど穴を掘って倒していたときよりもさらに速いスピードで木を切り倒し、瞬く間に100本もの木材を用意します。

このとき、先ほどのようにサーバルが倒れる木から逃げる描写はありません。もちろん、先ほど下敷きにされかけた経験から距離をとっていたのでしょうが、ほかにも理由はあると思います。

プレーリーは、確かにビーバーのアドバイスの真意を完全には理解していないでしょう。しかし、作業のやり方自体は(歯で木をかじるという行為が初めてということもあって)ビーバーが見せたやり方を完全に踏襲して行っていたはずです。ですから、プレーリー本人は意図しなくても無意識のうちに木が倒れる方向をコントロールし、安全に木材を調達できたのではないか、と思います。

速いだけでなく、均質で加工しやすい材料を用意

サーバルが驚嘆したように、プレーリーの作業理解のペースは非常に速いものでした。すでに述べたように、「歯で木をかじる」という行為自体初めてのはずなのに一度教えただけでやり方を完全にマスターし、同じ方法を100回も成功させています。

現実にあるよく似た事例をご紹介しましょう。ソフトバンクで有名なAI搭載ロボット「ペッパー」にけん玉を教えたところ、100回目に成功しその後は1度も失敗しなかった、という事例です。

https://wayohoo.com/videos/softbank-of-pepper-has-mastered-the-kendama-in-just-100-times.html

ただ、この事例ですらペッパーは成功するまでに99回の失敗が必要だったわけで、1度見ただけで完璧にやり方をコピーしているプレーリーのほうが遥かに優れているといえるでしょう。

プレーリーは単に機械的に決められた作業を行っただけではありませんでした。「木材を似た感じで100本用意する」、つまりは「材料の均質化」も同時に行っていたわけで、ビーバーがどういう材料を求めているのかを読み取り、要望に沿う材料を用意したわけです。

「長さは後で調整すればいい」と語っていることから、「将来の材料の加工」まで視野に入れて気を切ったことがわかります。「切り口がきれい」な点も材料の加工時や施工後の仕上がりまで想定した行動だといえるので、単に手を動かすのが速いだけでなく、相手の真意を読み取る思考力や後のことを考える未来予測の能力にも優れているといえるでしょう。

プレーリードッグは直感やセンスに頼る職人タイプ

それだけ頭がいいのなら「倒れる方向をコントロールできる」というビーバーの意図も理解できていたのでは?と考える方もいるかもしれません。私も一時、その可能性をを考えましたが自分で掘った穴に埋まっていたことや、この後何度も家づくりに失敗している描写から考えてその可能性は低いと思います。

人間にも「物分りは速いが、複雑な思考は苦手」というタイプの人がいます。プレーリーもこれと同じであくまでも「指示通りに作業を正確に行うこと」や「個々の作業を素早くコピーする能力」に優れているだけだと考えたほうがいいでしょう。要は、センスが良くて直感的な飲み込みは速いが、複雑な思考が理解できているわけではない、ということです。

長所を見せあったことで、ビーバーとプレーリーは互いに尊敬し合う関係になりました。ビーバーは「写真から家の作り方を逆算する」、「周囲の地形から地面の強度を測る」といった創造的な能力に優れています。また、「方向をコントロールできる木の倒し方」など家づくりに役だつ便利なノウハウも知っています。ただし、心配症な性格が災いしてなかなか行動に移せないという欠点も抱えています。

一方のプレーリーの長所は決断力と行動力です。単に行動に出るのが速いというだけではなく、作業も緻密で正確、指示されれば間違いはおかしません。また、わずかな説明から相手の意図を読み取り、足りない部分を自分で補うセンスも持ち合わせています。しかし、全体を俯瞰して考えるなど、複雑な思考は苦手です。

人間関係においても、「自分にないものを持っている人に惹かれる」ということはよくあります。ビーバーとプレーリーはお互いに惹かれ合う部分を見つけたわけで、それが今後のストーリーの中で大きな意味を持つことになります。