けものフレンズ5話感想その6:ビーバーの家の材料探しを手伝うサーバル

諸注意

けものフレンズ5話感想その5:アメリカビーバーのセリフにある3つの謎
【Aパート ビーバーから語られる新たな情報】 写真を見ただけで家の作り方がわかるという特殊な能力を持っ...

【Aパート 材料探しに出発するかばんちゃんたち】

ビーバーから新しい家をつくろうとしている話を聞いていたかばんちゃんたち。しかし家づくりの材料となる丸太はサーバルのせいで失われてしまっています。落ち込み立ち去ろうとするビーバーにサーバルがある提案を行いました。

サーバル:任せて!私達がまた材料見つけてくるよ!

かばんちゃん:材料ってどこにあるんだろう?

ラッキービースト(ボス):このあたりは混合林といって、色々な木がまばらにあるんだけど、建材として使うならまっすぐな針葉樹がおすすめだよ。車で少し行ったところにいい林があるよ。

サーバル:わかった!行こう行こう!ビーバーも一緒に行こう!気分転換に!

アメリカビーバー:承知っす。プルルルルルル・・・(湖の中から上がり、体を震わせる)

初対面の悪印象をひっくり返すサーバルの対話力

丸太がなくなったことにショックを受けていたビーバーでしたが、家をつくろうとしていた話をするうちにサーバルやかばんちゃんとも打ち解けることができました。思い返してみると、この「初対面で相手にショックを与えてしまったが、その後すぐ仲良くなる」という流れはサーバルとかばんちゃんの初対面のときと同じです。

悪い見方をすれば不注意から同じ失敗を繰り返してしまっているわけで、「サーバルは全く成長していない」と見ることもできるでしょう。しかし、逆に「初対面の印象が悪くてもその後の会話から糸口を掴んですぐに仲良くなれる」のサーバルの長所であると、前向きに捉えることもできます。

私はこの考察シリーズの中で繰り返し「サーバルのコミュニケーション能力の高さ」について触れていますが、このシーンもそれを裏付けるポイントです。

すっかり相棒になったかばんちゃんとサーバル

サーバルは、材料がないと嘆くビーバーに「自分たちが新しい材料を見つけてくる」と提案します。「私達」と言っていることから、かばんちゃんも人数に入れているのは明らかですが、材料探しをすることについて特にかばんちゃんの意志を確認する様子はありません。「かばんちゃんなら絶対反対するわけがない」、「かばんちゃんなら自分のやりたいことに付き合ってくれる」と無意識に捉えているからでしょう。

かばんちゃんも特に反論する様子もなく、2人ともお互いをすでに相棒やパーティーのように捉えていることがわかります。とはいえ、材料の調達手段に当てがあったわけではなくただ困っているビーバーを助けたい一心で提案したのは明らかです。それというのも、かばんちゃんはビーバーを助けること自体には何の疑問も示しませんが、すぐさま材料の在り処をラッキービーストに尋ねているからです。

地図にある「濃い緑色」が針葉樹林か?

ラッキービーストは材料について「少し離れた場所にある針葉樹の林で調達する」という方法を提案しました。このとき、ジャパリパークの地図が画面に表示され、周辺がどのような位置関係になっているのか確認できます。

画面の下側(北を上にする地図の原則から言えばおそらく南)は砂のような色になっており、おそらく4話で通過してきたさばくちほーだろうと考えられます。地図の中央にある水色は、今かばんちゃんたちがいるであろう湖畔であり、周辺を囲む緑色が草や混合林でしょう。

南から湖へと伸びる道はおそらく3人が「さばくちほーから通ってきた道」だと思われますが、湖を中心に道は西(左)と北(上)へ分かれています。西には現在地よりも濃い緑色が描かれており、こちらがラッキービーストのいう「針葉樹林」ではないかと推測できます。

ちなみにアニメ「けものフレンズ」の舞台となるジャパリパークの地図を3Dモデルで作成されている有志の方がいます。

http://ch.nicovideo.jp/Arasen/blomaga/ar1269309

アニメ本編の3DCGに関する考察もされているので、興味がある方はぜひ見てみてください。

現実世界でも針葉樹は建材に向いている

私はライターという仕事柄、住宅関連の記事制作を行うこともあるので家づくりに関しては少し知識があります。実際の木造住宅でも、建材のうち主に構造材(家の重みを支える梁や柱など)として使うのは針葉樹です。

https://www.mokuzai.com/in_di-58

以上のリンク先で詳しく解説されていますが、針葉樹は「軽くて柔らかい」のが特徴で構造材に適しています。逆に広葉樹は「重くて固い」声質を持っており、主に内装材として使われています。ですから、ラッキービーストが針葉樹を使ったほうがいいと勧めたのは理にかなった判断だといえます。

実際には、建材として木材を使うなら加工してすぐではなくある程度乾燥させるなどの処理が必要ですが、これはあくまでも人間ではなくフレンズが建てる家です。しかもせいぜい数人で住む程度の小さな住居ですから、切った木をそのまま使っても問題はないでしょう。

セリフからわかるサーバルのビーバーへの気遣い

サーバルはラッキービーストの話を聞くなりすぐに出発を提案します。自分があまり得意ではない知識や知力を必要とする分野については、仲間の判断を即座に信頼するのがサーバルのいいところです。

このとき、サーバルはビーバーにも同行を勧めました。建材を調達に行くわけですから、実際に使う本人が付いていくのは必須というより、当然ともいえるでしょう。しかし、サーバルはその際「どんな木が何本必要かわからないからついてきて」といった言い方はせず、「気分転換に!」と誘っている点に注目してください。

おそらく、この誘い文句はサーバルの本音であると同時に建前でもあると思います。つまり、使う建材を確認してもらうためにもビーバーの同行が必要という点は理解しているものの、同時に「がっかりしているビーバーを元気づけたい」という思いもあったのではないか、ということです。

もちろん、実際に誘う際には「材料を確認してもらわなきゃいけないからついてきて」という言い方を選ぶこともできたはずです。しかし、そうはせずにあえて気持ちが暗くなっているビーバーを気遣う言葉を選んだところがサーバルらしいシーンだと思います。