けものフレンズ5話感想その4:アメリカビーバーの悩み相談に乗るかばんちゃんたち

諸注意

けものフレンズ5話感想その3:アメリカビーバーとの出会いと、5話の異質な点
【Aパート アメリカビーバーとの出会い】 サーバルの不注意から、丸太の山を散乱させてしまったかばんちゃ...

【Aパート アメリカビーバーを慰めるかばんちゃんとサーバル】

アメリカビーバーと出会ったかばんちゃんとサーバルは、簡単な自己紹介の後、ビーバーが家(ログハウス)をつくろうとしていることを知ります。ビーバーはログハウスの写真を元に、つくり方を解説し始めました。

アメリカビーバー:たぶんこうして、こうして木を組んでいくんだと思うんすよ。(木の枝を交互に重ね合わせる)

サーバル:すごいね!これ見ただけで作り方がわかるの?

アメリカビーバー:そうっすね。俺っちそういうのが得意みたい。それで、自分でもつくれないかなって思って材料を集めたんすけど、「さあつくるぞ!」ってところで材料を目の前にすると悩んじゃって。なかなか踏ん切りがつかなくて・・・。気づいたら数日経ってて・・・。ガジガジガジ・・・(木の枝をかじる)。

サーバル:心配症なの?大丈夫!ビーバーならできるよ!

かばんちゃん:そうですよ!あれを見ただけでつくり方がわかるなんて、すごいですよ!

ビーバーの特技が「異質」な理由

前回の考察でお伝えしたとおり、けものフレンズの5話は主にキャラクター同士のセリフと掛け合いがメインになる回です。そして、話のテーマとなるのが「ビーバーの家づくり」です。

すでにご紹介しましたが、ビーバーは「自分の暮らしのために周囲の環境を変える人間以外で唯一の動物」とも言われています。動物のビーバーは木の枝や草などを使ってダムを作りますが、フレンズとなったビーバーがつくるのは人間と同じような家です。フレンズ化によって本来持っていた建築の能力がさらにパワーアップしたと考えられます。

ビーバーはまずログハウスの写真を元に想像した「ログハウスの作り方」をかばんちゃんたちに披露しました。サーバルとかばんちゃん、どちらも驚いたこの特技は極めて特殊な能力だといえます。

写真を元に、家の作り方を想像するには少なくとも以下のような工程を順番にこなさなければいけません。

  1. 木材が複雑に加工されてつくられた「家」の外観を見る
  2. そこからそれが家だということを推理する
  3. どのようにできているのか構造を推理する
  4. 構造から必要な材料の寸法、加工法など作り方を推理する

これがいかに困難なことかは少し想像しただけでわかると思います。人間でもかなり難しいことですし、たとえ建築の専門知識を持っていたとしても簡単な作業ではないでしょう。単純比較はできませんが、実際はるか昔に造られた建造物であるピラミッドの作り方は未だに確定できていません。

これまで登場したフレンズの中にも、特殊な能力を発揮するものは数多くいました。しかしそれらは基本的に「動物だったころの肉体に備わっていた能力がフレンズ化によってパワーアップしたもの」に過ぎません。ビーバーが見せた特技は肉体的な能力を強化したものではなく、知的な能力が強化されたものでした。そういった意味からもビーバーの特技は今まで登場したフレンズの特技とは異質なものであるといえます。

フレンズの知性が人間に勝った瞬間

サンドスターが動物の肉体だけでなく、知性に変化を与えること自体は今までの描写からも明らかです。そもそもフレンズ化した時点で言葉を話し、ほかの種類の動物とコミュニケーションできるようになっていますし、ツチノコのように図書館に何度も通って「勉強」しているフレンズは動物だったころと変わらない暮らしをしているほかのフレンズよりも人間に近い考え方ができるようになっています。

ですが、「家の写真を見ただけで作り方を逆算する」というビーバーの特技は明らかにその範疇を超えています。これまで劇中で描かれたフレンズが知性を発揮するシーンは、基本的に「人間にもできそうなこと」の範疇にとどまっていました。しかし、ビーバーの特技はかなり限定された領域とはいえ「人間をも上回るのではないか」と思われる能力を発揮しています。

「フレンズは身体能力だけでなく、知性においても人間をも上回る能力を得る可能性がある」ということが示唆されたといっていいでしょう。

フレンズが迷い、悩みを抱えた初めてのシーン

これほど驚異的な能力を持っているにも関わらず、ビーバーが抱えていた悩みはとても単純なものでした。「材料を目の前にしたら踏ん切りがつかず、悩んだまま数日が経ってしまった」というのです。サーバルが指摘したとおり、単にビーバーが心配症な性格をしているために考えすぎて作業に移れないというのが問題の本質でしょう。

ビーバーが抱えている問題は、3話「こうざん」に登場したアルパカ・スリやトキが抱えていた問題に似ています。彼らは本来群れで暮らす動物でしたが、フレンズ化したことによって動物の仲間を失い、新しい仲間を探して四苦八苦していました。いわば、自分自身が大きく変わってしまったため、馴染めるような新しい環境を探していたのです。

ビーバーも「自分自身の変化に戸惑っている」という点で共通しています。後にビーバー自身の口から語られることですが、フレンズ化したことで体の形や大きさが変わってしまったので、新しい体にあった家をつくろうとしていたのです。

トキの場合は新しい体の上手な使い方(上手な歌い方のコツ)を知ることによって問題を解決できました。一方、アルパカ・スリは「自分と他者との違い(こうざんには簡単に登れない)」に気づいたことで問題を解決しています。

5話のテーマはフレンズの悩み相談(カウンセリング)

しかし、ビーバーは新しい体を上手に使えないわけでも、問題を解決するために必要な情報が不足しているわけでもありません。家を作る能力は十分すぎるほど持っていますし、自分の体にあった新しい家のイメージも、つくる方法の検討さえついています。「心配性でなかなか行動に移せない」という一点だけが彼女が抱える本質的な問題なのです。

今のビーバーに必要なのは周囲からの手助けやアドバイスではありません。本当に必要なのは、彼女が抱えている悩みや迷いに寄り添ってくれる相談相手です。ここまでのことがわかった時点で、けものフレンズ5話のテーマが明確に定まることになります。

けものフレンズ5話のテーマは、ズバリ「アメリカビーバー(と、後に登場するプレーリードッグ)のカウンセリング」です。かばんちゃんとサーバルが彼らの悩みにどう寄り添い、どのように解決に導いていくのか、それが今後のストーリーの肝になっていくのです。