【11話 せるりあん 考察まとめ】
【11話 せるりあん 総合的な解説】
最終回まであと2話を残すばかりとなった11話は、12話と合わせて前後編のような構成になっています。けものフレンズは、かばんちゃんの正体がヒトだと判明した7話以降、以下のような流れで毎回ストーリーが展開してきました。
「ヒトに近いフレンズ」との出会い
「ヒトに近いフレンズ」と協力して問題を解決
「ヒトに近いフレンズ」から、ヒトに関する情報を得る
今回も基本的にはこの構成に即しているのですが、物語がクライマックスに近づいているということもあっていくつか特殊な要素がストーリーの中に散りばめられています。
「セルリアンハンター」たちとの出会い
11話でかばんちゃんたちは、2つのフレンズのグループと出会うことになりました。最初に出会ったのが、キンシコウ、ヒグマ、リカオンの3人からなる「セルリアンハンター」です。
目的地だった港にたどり着いたものの、探していたヒトの姿は周囲に見当たらず、「船に乗ってパークの外へヒトを探しに行ってみたい」とかばんちゃんがいい出した矢先、周囲に轟音がとどろきました。何事かと音がした山の方へ向かったかばんちゃんたちは、黒いセルリアン(の破片)に遭遇。セルリアンと戦っていたハンターたちと知り合うことになります。
アライさん・フェネック組との出会い
ミライさんのメッセージから、黒いセルリアンを倒すためには「サンドスターの出る山に行き、四神を並べてフィルターを貼りなおす」必要があると知ったかばんちゃんたち。早速山に向かいますが、そこでずっとかばんちゃんたちを追いかけてきた2組目のフレンズのグループ、アライさんとフェネックに出会うことになります。
当初はかばんちゃんを「帽子泥棒」と目の敵にしていたアライさんとも和解し、4人で協力することで山にフィルターを貼り直すことができました。その過程でかばんちゃんはジャパリパークとそこで暮らすフレンズたちを守る決意を固め、ラッキービーストから「暫定パークガイド」に認定されています。
フレンズたちと協力して、黒いセルリアンと戦う
これまで自分がどう生きるべきか、明確な目的が定まらなかったかばんちゃんでしたが、旅を通じていろいろなフレンズに助けられたことで「パークとフレンズを守る」という生き方を選ぶことになりました。同じくパークを守る意思を持つセルリアンハンター、アライさんとフェネックと協力しながら、巨大化した黒いセルリアンを退治する作戦を開始します。しかし、作戦のさなか、サーバルがかばんちゃんとラッキービースト(ボス)をかばってセルリアンに食べられてしまいました。
かばんちゃんは決死の覚悟でセルリアンの体内からサーバルを奪還し、今度は自分がセルリアンに食べられてしまいます。この衝撃的な展開で11話は終了。続く最終12話をもって物語は完結します。
旅の目的を達成し、自分の身を犠牲にしたかばんちゃん
かばんちゃんはそもそもなぜこの世に生まれたのかさえわからない存在でした。そのため最初は「自分が何者なのか知ること」を目的に図書館まで旅しています。そのあと、自身が「ヒト」だと判明すると、「ヒトはどのように生きるべきか」の手がかりを探しに旅を続けてきました。
そして、旅の間に得られたヒト=ミライさんの足跡や「いろいろなフレンズに助けられた」という自身の経験から、「パークとそこで暮らすフレンズのために生きる」という自分の生き方を見つけたのです。
かばんちゃんはこのことを悟って間もなく、自らの身を犠牲にしてサーバルを守るという行動で、自分自身の生き方を示しています。そのため、セルリアンに食べられる瞬間も一切の悔いがない優しい表情を浮かべていました。
11話で、かばんちゃんの内面はすべて描かれた
このように見ると、11話は「かばんちゃんの旅の締めくくり」を描いた物語であったということがわかるはずです。仮にこの11話でけものフレンズという作品を終わりにしてしまったとしても、バッドエンドではありますが一応物語としては筋が通ることになるでしょう。かばんちゃんという主人公が自分の生き方を探し、見つけたところで物語が終了するからです。
従って、これに続く12話で描かれるのは「かばんちゃんの内面以外の部分」であると推測できます。つまり、サーバルやラッキービーストを始めとした、かばんちゃんが出会ってきた仲間たちが、「かばんちゃんがパークとフレンズのために自らを犠牲にした」という現在の状況に対して、何を考えどう行動するかが描かれることになるでしょう。
長らく続けてきたけものフレンズの考察も、残すところいよいよあと1話です。ここまで見ていただいた方々には最後までお付き合いいただければと思います。