けものフレンズ11話感想その13:あまりにもできすぎたアライさんとの出会い

諸注意

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【Bパート ベストタイミングで出会った2組】

アライさんとの和解が成立したかばんちゃんは、一緒にミライさんのメッセージを聞くことになります。
その内容は、奇しくも2人が聞きたかった「四神の位置」に関するものでした。

ミライさん:その場所は、火口の中心から東西南北・・・えっと、パンフレットで言うと「ウの3」の交差点がまさに中心点ですね。この像が、東の青龍なので、後3つ埋まっていると考えられます。本当に、サンドスター・ロウの粒子をここでフィルタリングしているとしたら、まさにこの島にとっての宝ですね。

かばんちゃん:えっと、「ウの3」というのは、これとこれが引っ付くところなのかな?「東西南北」っていうのはなんだろう?

フェネック:太陽が登る方が東、沈むのが西だから、この印が北なんじゃないかな?

アライさん:フェネック?

フェネック:アライさんがいつも突っ走るからさー。星や太陽の位置を覚えるのは基本だよ。

かばんちゃん:すごいですね!フェネックさん!

アライさん:フェネックはやっぱりすごいのだ!

サーバル:何の話かさっぱりわからないよ。

かばんちゃん:ということは、こことここ、それからこっちになにか・・・。

赤い飾りが四神の位置を明らかにする

かばんちゃんとアライさん共通の目的であった「四神の位置」に関するメッセージがついに再生されることになります。このときのプロセスから、かばんちゃんの帽子の飾りにどのような意味が込められているのか推測することが可能です。

まず、四神の位置に関するメッセージが再生され始めたのは、ラッキービーストがアライさんたちが持っていた「赤い飾り」を認識したからでした。そしてそのメッセージは、アライさんとフェネックがアメリカビーバー、オグロプレーリードッグの家に宿泊したときに語ったメッセージから完璧に繋がる形になっていたのです。

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フェネック:フレンズや私たちにとって、とても大事なものが埋設されていることがわかりました。その場所は・・・。

アライさんはメッセージをここまで聞いて「とても大事なもの=お宝」だと考えたわけですが、ミライさんのメッセージは次のように続いています。

ミライさん:その場所は、火口の中心から~(中略)~本当に、サンドスター・ロウの粒子をここでフィルタリングしているとしたら、まさにこの島にとっての宝ですね。

このように、それぞれのセリフをつなぎ合わせると完全にセリフがつながるため、アライさんが帽子を黒い影(かばんちゃん)に持ち去られた時点で再生が中断されていたメッセージが、再び赤い飾りをラッキービーストに見せることで再び流れ出したのだと考えられます。

青い帽子の飾りと赤い帽子の飾りの違い

一方、かばんちゃんが帽子をかぶっていた時点で最初からついていた青い飾りのほうはどうでしょうか。こちら2話の冒頭にラッキービーストによって認識され、そのときからミライさんのメッセージの再生が始まっています。

このときのミライさんのメッセージは「えーおほん、テストテスト」から始まるジャパリパーク内の解説でした。つまり、ミライさんがジャパリパークを訪れた直後に保存された、比較的古いメッセージだということです。その後、パーク内を進むに従ってかばんちゃんはその土地で保存されたミライさんのメッセージを順番に聞いていくことになりました。

一方、アライさんたちは帽子を発見した直後であるにもかかわらず、「四神の場所」というミライさんたちがパークを出る前の時期に記録されたと思われる、比較的新しいメッセージを最初から聞いています。しかも今回、赤い飾りをラッキービーストに見せることでまったく同じメッセージの続きをそのまま再生することに成功しているわけです。

青い飾りと赤い飾り、どちらもミライさんのメッセージを再生させる機能は持っているものの、その挙動は微妙に違います。これまでの働きから考えると、それぞれ次のような機能を持っていると考えていいでしょう。

【ラッキービーストと飾りの関係】

  • ラッキービーストに帽子の飾りを見せると、近くの場所で保存したメッセージが再生される。
  • 一度再生が中断しても、同じ場所で再度飾りを見せるとメッセージの続きが再生される。

【青い飾りと赤い飾りの違い】

  • 青い飾りはメッセージを「古い方から順番に再生する機能」がある
  • 赤い飾りはメッセージを「新しい方から順番に再生する機能」がある

スマートフォンやパソコンの動画プレイヤーなどで例えれば、青い飾りはプレイリストを頭から順に再生、赤い飾りは最後から頭に向かって再生する機能を持っていると考えられます。

今ここで2組が出会わなければ、パークの危機は救えなかった

ミライさんのメッセージを聞いたかばんちゃんは、ジャパリパークの地図を見てミライさんの言う座標を特定しようとしました。このときの地図は第1話において、ジャパリパークの案内板からかばんちゃんが調達してきたものでしょう。サーバルに大量の紙飛行機をプレゼントするために使ったはずですが、いくつか手元に残っていたようです。

ミライさんは地図の座標で四神の位置を示したため、本来は地図がなければ座標が確認できず四神を発見することができないはずでした。前回の考察で「もしかばんちゃんが帽子を持ち去っていなければアライさんが自力で四神を発見することもできたはず」と言いましたが、地図を持っているのがかばんちゃんだけである以上、アライさんとフェネックだけでは四神を見つけることはできなかったことになります。

では、かばんちゃんとサーバルだけなら自力で四神を見つけられたかというと、そうとも言えません。かばんちゃんは「東西南北」という方位が何のことかわからず、地図は持っているものの座標を特定することができませんでした。しかし、いつも天体の動きを観察して方位を読み取り、突っ走りアライさんを追いかけているというフェネックのサポートにより、座標を特定することができました。

つまり、かばんちゃんとサーバル、アライさんとフェネックの2組がこの山頂で出会わなかったら、四神の位置を特定することはできなかったということです。

もし、かばんちゃんとアライさんが出会うのがもう少し早ければ、かばんちゃんはアライさんに帽子を渡してしまっていたかもしれません。そうなると、かばんちゃんはミライさんのメッセージを聞くことができないのでこの山頂に至るまでに行ってきた「謎解き」ができません。

逆に、かばんちゃんとアライさんが出会うのがもっと遅ければ、かばんちゃんは方位がわからず、四神の位置を特定できないために、黒いセルリアンの能力をフィルターで封じることができなかったことでしょう。

アライさんがかばんちゃんたちにこの場所で追いついたのは、さまざまな偶然の結果に過ぎません。しかし、それによって図らずも「パークの危機」である黒いセルリアンを倒すための策が今実現しようとしているのです。