けものフレンズ8話感想その8:コウテイとプリンセスの会話に残る小さな謎

諸注意

けものフレンズ8話感想その7:三代目PPP、立ち上げまでの道のり
【Aパート 三代目PPP(ペパプ)の歩み】 立ち上げのお披露目を終え、楽屋に帰ってきたPPP(ペパプ)のメンバ...

【Aパート メンバーの苦悩と大変な練習】

これまでの自分たちの歩みを振り返り、決意を新たにしたPPPメンバーは、ライブの本番に向けて練習を開始しました。

5人:ふっふっふふーん♪

ジェンツーペンギン(ジェーン):うわぁぁ!(転ぶ)

ロイヤルペンギン(プリンセス):ダメダメ全然駄目!ジェーンは「泣いたり笑ったり」のところ、あやふやになってるからちゃんと覚えなさい。

ジェーン:はい・・・。

プリンセス:フルルはマイペースすぎ、もっとクイックに!イワビーは飛ばしすぎよ。もうちょっと他の子見なさい!

イワトビペンギン(イワビー)&フンボルトペンギン(フルル):はーい。

プリンセス:なにしろみんな固いわ。アイドルが苦しそうにしてたら絵にならないでしょ?完璧にやろうとしてぎこちなくなってるから、もっと生き生き踊りなさい!

イワビー:楽しいんだけどさー、アイドルするのが難しいぜー。

ジェーン:踊るだけでも大変ですもんね。さらに可愛らしく華やかに・・・。

コウテイペンギン(コウテイ):初代のコウテイ、踊りもすごく凛々しかったんだろ?私に務まるだろうか?それに、リーダーだなんて・・・プリンセスがやったほうがよくないか?

プリンセス:あなたはリーダーらしく、ドンとしておくほうがいいのよ。その分、私が華をやるから任せときなさい!(ワンターンして踊りを披露する)

休憩の合間に他のメンバーをケアするプリンセス

ダンスの練習をするPPPメンバーの様子が描かれますが、肝心のダンスシーンの動きは必要最小限に抑えられています。おそらくはCGモデルに複雑な動きをさせるのを極力避けて労力を抑えようとしているのだと思いますが、その分、無駄な演出が抑えられてストーリーの肝がわかりやすくなっています。

たとえば、踊りの途中でジェーンが転んでしまい、それに対してプリンセスが注意を行っているシーンを考えてみましょう。このとき、プリンセスは転んだジェーンだけでなく、イワビーとフルルに対しても注意を行っています。しかも、ジェーンに対してもころんだこと事態を咎めているわけではなく、パフォーマンスを行うにあたって意識すべきことをアドバイスしています。

このことから、ジェーンがころんだシーンはあくまでも象徴的に切り取ったワンシーンに過ぎず、実際のプリンセスは「踊りの練習が一段落して、休憩に入ったところでアドバイスを行っている」と考えられます。そしてそのことが視聴者にも伝わるように「ころんだこと事態を咎めていない」、「ジェーン以外にもアドバイスをする」というセリフの付け方になっているのです。

他のメンバーが抱える不安

プリンセスが他のメンバーに行ったアドバイス自体は極めてもっともな内容です。メンバーもアドバイスが的確なためか、特に反論することなくおとなしく従っています。しかし、(マイペースなフルルを除いて)メンバーたちは口々にアイドルをやる上での不安を口にしました。

ジェーンとイワビーが抱える不安はほぼ同じ。「色々なことを意識しながらパフォーマンスのクオリティを維持するのが難しい」というものです。これに関しては練習を重ねる以外解決する方法はありません。そのためかプリンセスも激励するのにとどめています。

コウテイは初代のメンバーと自分のクオリティを比較して自信のなさを覗かせています。同時にPPPのリーダーを務めることへの不安も口にしました。前回の考察で「PPPのリーダーはコウテイである」ということに触れましたが、正確には劇中で明言されたのはこのシーンが最初です。

コウテイに対するプリンセスの厚い信頼

プリンセスは「リーダーはコウテイがやる方がいい。その代わり自分は華をやる」と語り、コウテイにはリーダーとしての資質が備わっていること、足りない部分は自分がサポートすることを伝え、コウテイを励ましました。

コウテイは他のメンバーとは異なり、プリンセスが唯一注意を行っていないメンバーです。思い返してみると、立ち上げのお披露目での立ち振舞いも緊張感は出ていたものの特にミスもありませんでした。

そうした面でプリンセスからも信頼され、リーダーを任されているのかもしれません。緊張すると白目をむいて気絶するという変な癖はありますが、この点もプリンセスは特に注意しておらず、リーダーとして一定の敬意を払っている、あるいはリーダーとしての責任に苦しむコウテイを気遣う感じが見て取れます。

コウテイの質問を意図的にスルーしたプリンセスの謎

一見したところ、弱音を吐くコウテイを励ますプリンセスの言動には特におかしな点は見当たりません。しかし、よくよく考えてみるとコウテイの質問の一部に「意図的に答えていない」のがおわかりいただけると思います。

コウテイが気にしていたのは「自分は初代のコウテイと比べてうまくできていないのではないか」、「自分はリーダーの責任が果たせないのではないか」という2点です。プリンセスはこの内、リーダーに関する部分に対してしか答えていません。初代に関する話題は完全にスルーしているのです。

このシーンだけでは、プリンセスがこのような応え方をしたいとは何もわかりません。単純にたまたま応えなかっただけ、という可能性も十分にあります。しかし、その後の展開を見ていくことで、プリンセスがなぜ初代に関する話題をスルーしたのか、その裏には意図があったことが徐々に明らかになってくるのです。