【Bパート 素敵なコンビ】
夕日を背景に走るジャパリバスの車内で、かばんちゃんとサーバルは今日の出来事を振り返っていました。5話のラストを飾るこのシーンは以外な形で終わることになります。
サーバル:この寝床いいなぁ~。
かばんちゃん:いいものつくってもらったね~。
サーバル:面白い子たちだったなぁ。
かばんちゃん:素敵なコンビだったね。
サーバル:私達だって素敵なコンビだよ!
サーバル&かばんちゃん:あはははっ!あははははっ!
ビーバーとプレーリーのおみやげは寝床
アメリカビーバー、オグロプレーリードッグと分かれたかばんちゃんとサーバルですが、間にアライさんとフェネックのパートが挿入されているので、少し補足説明するところからスターとしたいと思います。
ビーバー、プレーリーとの別れでは、今まで謎であったかばんちゃんの正体について、ビーバーとプレーリーは「いい動物だと思う」という意見を述べてくれました。これまで自身の正体がわからないことに不安や引け目を感じていたであろうかばんちゃんも、こうした声によって自分に自信を深めるきっかけが持てました。
別れ際、ビーバーとプレーリーは思い出したように、2人になんらかのお土産を手渡そうとします。そのお土産こそがこのシーンでサーバルが寝転がっている「寝床(木製のベッド)」に違いありません。
寝床はサーバルが昼間移動中寝るときに使われる
ビーバーとプレーリーは、なぜ2人に寝床をプレゼントしたのでしょうか?もちろん、家づくりを手伝ってくれたお礼であるのは言うまでもありません。そのプレゼントがなぜ寝床だったのかという点についてはいくつか理由が考えられます。
わかりやすいのは、ビーバーとプレーリーの家に「寝床がある方がいい」とアドバイスしたのがサーバルだったから、という理由でしょう。ビーバーたちは、サーバルが言うが早いか一瞬で寝床を完成させています。もうひとつサーバルたちの分を作るくらいわけのないことだったでしょう。
他人にプレゼントを送るとき難しいのが、相手に気に入ってもらえるものを選ぶことです。そういう意味ではそもそも「ここ(ビーバーたちの家)に寝床があるといい」といったのはそもそもサーバルなのですから、同じものを送れば喜んでもらえるとビーバーたちが考えたとしても不思議はありません。
2人に送られた寝床は、サーバルが移動中バスの中で寝る時に利用されているようです。
かばんちゃんとサーバルは「素敵なコンビ」なのか?
もう一つ、少し踏み込んだ考え方をご紹介しておきましょう。それは、ビーバーとプレーリーがかばんちゃんとサーバルを「自分たちと同じように見立て」、その上で寝床をプレゼントしてきたという説です。
説明のために、少しセリフを読み進めてみましょう。ビーバーとプレーリーを「素敵なコンビだった」と回想するかばんちゃんに対してサーバルは「私達だって素敵なコンビだよ」と答えています。
ビーバーとプレーリーも同じように、サーバルとかばんちゃんのことを「自分たちに負けないくらい素敵なコンビ」だと考えていたのではないでしょうか。そして、そんな2人のための家具として寝床を提供したと考えてみてください。ビーバーたちは、かばんちゃんとサーバルの2人が活動の拠点としているジャパリバスを「家」に見立てていることがわかります。
2人が「コンビ」として活躍したシーンは少ない
このサーバルの「私達だって素敵なコンビだよ」というセリフには少し気になる部分があります。それはサーバルが2人のどこを指して「素敵なコンビ」だと思っているか?という点です。
2人の今までの行動を思い返してみてください。1話は生まれたばかりのかばんちゃんをサーバルが導く話であり、2人がコンビネーションを発揮したのは協力してゲートのセルリアンを倒したシーンくらいでしょう。
2話ではかばんちゃんの指示の下、サーバルが橋づくりを行いましたが、ほかにもコツメカワウソ、ジャガーが協力しており、「2人のコンビネーション」とはいいきれません。3話ではそもそも、山登り開始の時点でふた手に分かれています。4話は、おおよそ「かばんちゃんとサーバル + スナネコ or ツチノコ + ラッキービースト(ボス)」という面子で行動しており、やはり「2人のコンビネーション」を発揮しているシーンは見受けられません。
このように考えると、かばんちゃんとサーバルが「コンビ」として活躍したシート言えるのは、(ゲートのセルリアンを倒したところくらいで)ほとんどない、といえるのがお分かりいただけると思います。
セリフには表れなかった、2人の隠れたコンビネーション
では、サーバルは一体どのシーンを指して「私達もビーバーとプレーリーと同じくらい素敵なコンビだ」と言ったのでしょうか?考えられるのは、「5話における一連の行動の中で、かばんちゃんとサーバルは2人で協力して家づくりをサポートしていた」という可能性でしょう。
5話中における2人の振る舞い方を振り返ってみてください。サーバルは基本的にビーバーたちの悩み相談や激励に、かばんちゃんの方は具体的な解決策のアドバイスに専念していました。かばんちゃんたちはそれぞれが勝手に振る舞ってこうした行動を取っていたわけではなく、2人で協力しあい、暗黙のうちに「お互いが自分の得意な面で相手をサポートし、2人の悩みを解決する」という行動を取っていたのではないでしょうか。
たとえば、ビーバーが悩んでいるとみるや、「サーバルがその悩みの本質を見抜き、かばんちゃんが適切なアドバイスをする」という方法で解決に導いています。
また、「2人で協力して家をつくる」という方法に2人があまり乗り気でないと見るや、今度はサーバルが「試しにやってみようよ!」と2人の気持ちを盛り上げることに徹し、成功に導いています。
特に、ビーバーとプレーリーの協力を促すに当たっては、サーバルは「すごーい!」、「楽しそう!」などと必死になって2人の気持ちを盛り上げようと努めていました。あのように躍起になっていたのは、単にビーバーたちの家づくりを成功させようとしていただけではなく、「かばんちゃんのアイデアが受け入れるよう、陰ながらサポートしていた」のだと考えると理解しやすくなります。
以上の考察の中で述べた通り、サーバルはビーバーの材料探しに協力することをかばんちゃんに全く相談もなしにその場で約束していしまいました。おそらく、その時点で「かばんちゃんなら、確認するまでもなく自分と同じ思いのはずだ」と確信していたのでしょう。従って、この時点から2人の間には「サーバルは共感、かばんちゃんはアドバイスでビーバー(たち)の家づくりを成功に導く」という共通した目的ができていたことになります。
お互いの気持ちを確かめあい、笑い合う2人
以上のことは、劇中で明言されたことではなくかばんちゃんとサーバルの内面にしか存在しません。従って確認するすべはないのですが、サーバルは以上のようなことを「かばんちゃんもわかっている」と考えた上で「私達だって素敵なコンビだよ(今日やったことだってそうじゃない?)」と問いかけたのでしょう。
かばんちゃんの方もサーバルのその言葉を聞いて「やっぱり自分と同じ思い(お互いに役割分担してビーバーたちを助ける)だったんだ」ということが確認できたので、その次のシーンは2人で楽しそうに笑う(=互いに気持ちが通じ合っていたということが確認できたことによる安心)というシーンだったのではないかと思います。