【Bパート 無事セルリアンを倒せた&かばん何の動物かわかったおめでとうの会】
フレンズたちが集まり、各々に楽しんでいる遊園地。かばんちゃんとサーバル、ラッキービーストも姿を表しました。
サーバル:うわー・・・!もうすっかり始めちゃってるね。
かばんちゃん:すごいね。フレンズさんがいっぱい・・・。
ラッキービースト(ボス):ここは遊園地だね。いろんな乗り物があるよ。
ジャガー:おっ、主役が来たな。
カバ:みんな待ってますわよ。
(フレンズたち、歓声を上げる)
ロイヤルペンギン(プリンセス):あれから1ヶ月、遅くなったけど「無事セルリアンを倒せた&かばん何の動物かわかったおめでとうの会」をするわよ。「いただきます」も兼ねて、まずご挨拶から。色々おめでとう!大活躍だったじゃない!
かばんちゃん:ええと、いえ、皆さんのおかげです。ありがとうございました!
プリンセス:一時はセルリアンに食べられてたけど・・・。
かばんちゃん:あ、はい。ほとんど覚えていないんですが・・・。お陰様でなんか無事に・・・。
プリンセス:そして道中、何の動物かわかったんだって?
かばんちゃん:あ、はい。僕・・・ヒトでした!
トキ:無事わかったのね。よかった。
アメリカビーバー:よかったっすねぇ。これで安心っす。
腕時計になってしまったラッキービースト
ほかのフレンズたちに遅れつつ、主役のかばんちゃん、サーバル、ラッキービーストの3人組が登場します。フレンズたちが遊園地に集まっていたのは、超巨大セルリアンを無事に倒せたことと、かばんちゃんが何の動物かわかったことを祝うためでした。
体を失い本体のデバイスとバンドだけになってしまったラッキービーストは、それぞれを組み合わせて腕時計のようにかばんちゃんに装着されています。いくつかの機能は失われてしまったはずですが、この状態のほうが動きやすいメリットもあるはずです。
かばんちゃんが「自分が何者か知ること」が作品のメインテーマ
まず、超巨大セルリアンを無事に倒せたことを祝う意味は理解できます。このセルリアンはジャパリパークにとって非常に大きな脅威であり、ラッキービーストの体と船を除けば目立った犠牲者も出ずにこれに対処できたのは、フレンズたちにとって大いに喜ぶべきことだったでしょう。
このセルリアン退治で最も功績があったのがかばんちゃんです。今回のパーティに参加しているフレンズたちは皆、セルリアンとの戦いに参加したものたちであり、彼女たちをねぎらう目的ももちろんあったのでしょうが、ジャガーが「主役」と呼んでいることからもわかる通り、主賓はあくまでもかばんちゃんだと考えられます。
「無事セルリアンを倒せた」という点と「かばんちゃんが何の動物かわかった」という点が並べて紹介されているのは注目すべきポイントでしょう。この場に集ったフレンズたちにとって、「かばんちゃんの正体が判明したことは超巨大セルリアンを倒せたのと同じくらい喜ぶべきことだった」ということを意味するからです。
セルリアン退治=かばんちゃんの救出に駆けつけたのフレンズたちは、一部を除いて基本的に過去かばんちゃんと知り合いになったフレンズたちばかりでした。彼女たちの中には、かばんちゃんに自分が抱えている悩みを解決してもらったものも少なくありません。いわばかばんちゃんは彼女たち全員の「恩人」に当たるわけで、その恩人が旅の間ずっと抱えていた悩みが解決したわけですから、「祝ってあげたい」と考えるのも当然でしょう。
厳密に言えば、かばんちゃんが何の動物可判明したのは7話「じゃぱりとしょかん」においてなので、その後に出会ったフレンズたちはかばんちゃんが何の動物なのか知っていたはずですが、その段階でのかばんちゃんの旅の目的(=ヒトがどうやって暮らすのか知りたい)は一言で説明するのは難しいのでこのように表現したのだと思われます。
心身ともに「ヒト」になったかばんちゃん
パーティーの司会を務めるのは、パークにアイドルを復活させた立役者プリンセスです。一時はアイドルとしての自分に自信を失っていましたが、現在は多数の参加者が集まるこのようなイベントの司会でもまったく物怖じしていません。
プリンセスはかばんちゃんにいくつかの質問をしましたが、その中に「セルリアンに食べられているときのこと」に関するものが含まれていました。セルリアンに食べられたフレンズにはどんな変化が生じるのか、その変化はどのように体感できるのか貴重な情報を得るチャンスでしたが、残念ながらかばんちゃんは「ほとんど覚えていない」と応えています。
続けてプリンセスは、かばんちゃんが結局何の動物だったんか質問しました。先に説明したように、ジャパリ図書館以降にかばんちゃんと出会っているプリンセス自身はかばんちゃんがヒトだと知っていますが、旅の前半で出会ったフレンズたちのためにあえてそう聞いたのしょう。
かばんちゃんは、「僕、ヒトでした」と応えていますが、過去の考察で述べた通り、セルリアンに食べられサンドスターを奪われた今のかばんちゃんは、本当の意味での「ヒト」になってしまっています。
サーバル、ラッキービーストとともに旅をして自分がヒトだということを知ったかばんちゃんは、「ヒトはどう生きるべきか」を探してさらに旅を続けました。その後、過去にパークにいたヒト=ミライさんの生き様を参考にして己の生き方を決定した後にセルリアンに食べられてしまいました。いわば、「心がヒトになった後で、体までヒトになった」といえるわけですが、これはもちろん偶然ではなく意図的な演出でしょう。
ヒトになるためにかばんちゃんがフレンズから学んだこと
トキとアメリカビーバー、ともにかばんちゃんに助けられ、己の生き方を見出したフレンズたちが、かばんちゃんも同じように自分の生き方を決められたことを聞き、祝福しています。
トキが登場した3話「こうざん」のテーマは「フレンズ化による体の変化」でした。トキとアルパカ・スリは、ともにフレンズ化による体の変化と、それに伴う生活の変化に戸惑っていましたが、かばんちゃんのアドバイスによって「フレンズ化すれば、違う種類の動物ともコミュケーションできる」ということに気がつき問題を解決しています。
アメリカビーバーが登場した5話「こはん」のテーマも3話と似ていますが、彼らが抱えていた問題が「家づくり」という複雑なものだったため、単に仲間と力を合わせるという方法だけでは解決することができませんでした。かばんちゃんのアドバイスによりビーバーとオグロプレーリードッグ、同じ課題を抱えながらもそれぞれ異なる個性を持つフレンズたちが、「己の得意なことを行い、役割分担する」という方法を選んで初めて解決することができたのです。
かばんちゃんが旅の途中でフレンズたちにして着たしたことは、そのまま「旅の中でかばんちゃんが学んだこと」でもあります。かばんちゃんは3話では「ほかの種類の動物と助け合うこと」を、5話では「お互いの長所を発揮して協力すること」の大切さをそれぞれ学びました。これらはセルリアンとの戦いに活かされたのはもちろんのこと、今のかばんちゃんの中でも確かな知恵として息づいているのです。