【Bパート ミライさんは宇宙人】
かばんちゃんとサーバルが、今後のことについて話し合っていたとき、ラッキービーストが再びミライさんからのメッセージを再生し始めました。
ミライさん:えーっ!最初私が宇宙人だと?
???:だって私たち、この島の外にもちほーがあるなんて知らなかったもん。
それに、飛んで来るんだもん。「食べられちゃう!」って言ってる子もいたよ。
ミライさん:フフフ、宇宙人だぞ~!
???:きゃー!
ミライさん:迷宮にようこそー!
???:きゃー!
ミライさん&???:フフフ、アハハ!
サーバル:アハハ!なんだか楽しそう!
かばんちゃん:ミライさんって、絶対いい人だよね!
タイリクオオカミ:キャー!
宇宙人=動物ではない、という意味か?
今回再生されたミライさんのメッセージは、何度か登場しているもう一人の謎の人物とのコミカルな掛け合いです。ただし、掛け合い自体は和やかなものでもストーリーに関係する様々なヒントが隠れているので、決して見落とせない内容になっています。
ミライさんは、おそらくはフレンズと思われる謎の人物から、最初「宇宙人」だと思われていたと発言しています。ここでいう「宇宙人」とは、おそらくフレンズの対義語として使われているのでしょう。
謎の人物がフレンズだとすれば、自分たちと似たような姿形をした存在と出会ったとき、相手について「この人もフレンズだ」と考えるはずです。しかし、ヒトであるミライさんと出会ったときはそうは思わず「この相手はフレンズではなく『宇宙人』だ」と考えたということになります。つまり、ミライさんは当初フレンズたちから「動物がヒト化した存在」ではなく、「まったくの異生物(宇宙人)である」と思われていた、ということです。
謎の人物はこのように考えた理由として、「飛んでくるから」と応えています。ここでいう「飛んでくる」の意味合いとは、何か乗り物に乗って移動するといったようなことを指すのではないでしょうか。
たとえば、飛行機やヘリコプターなどの機会に乗ってフレンズたちの前に現れたとしたら、フレンズにとってミライさんは「UFOから地上に降り立った異星人」のように見えたことでしょう。空を飛ぶことそれ自体に関しては、鳥のフレンズなら標準的に可能なわけですからこのように解釈するのが妥当だと思います。
ミライさんと謎の人物との会話は、おそらくヒトとフレンズとのファーストコンタクトを指すものであろうと考えられます。ヒトとフレンズがどのようにして出会ったのか、ここまでのストーリーから分かる情報を精査してみると次のような仮説が立てられます。
ジャパリパークがある島にサンドスターが出現、フレンズが発生し始める。
ヒト、調査のために島を訪れる
ヒトとフレンズが出会い、親交を深める
ヒト、島にフレンズや動物と触れ合えるテーマパーク「ジャパリパーク」をつくる
こうした流れならば、今までの話がしっくりくるはずです。フレンズたちは、サンドスターによって突如変化した自分たちの体に戸惑っていたはずですが、ヒトのほうも、島で初めてフレンズに出会い、それが「動物がヒト化したもの」だと知ったときはおそらく大いに驚いたことでしょう。
ヒトとフレンズの出会いは友好的なものだったか?
現実世界においても、異なる民族同士の出会いや、ヒトと新種の動物との出会いは決して平和に満ちただけではありません。ヒトもフレンズも、出会ったばかりのときはおそらくお互いに相手のことを警戒していたはずです。だからこそ、謎の人物も「(ミライさんたちに)食べられちゃう、といっている子もいた」と語っているのでしょう。
実際には、ミライさんと謎の人物はお互いに冗談を言って笑い合えるほど打ち解けた関係になっています。ヒトとフレンズとの出会いがどのようなものだったのか、詳細は不明ですが、おおよそ平和的、友好的に済んだと考えて差し支えないはずです。
「食べないでください・食べないよ」の真意
ミライさんたちのセリフには、まだいくつか気になる点が残っています。まず、「食べられちゃう(食べちゃうぞー)」についてです。このセリフが気になるのは、サーバルとかばんちゃんのファーストコンタクトでのセリフでもあるからです。
1話においてかばんちゃんとサーバルが出会ったとき、かばんちゃんのほうがサーバルに「たべないでくださーい!」と告げ、サーバルが「食べないよ!」と語っています。ミライさんのとき、それぞれ発言者の立場は入れ替わっていますが、どちらも同じことを気にしているのは注目に値するでしょう。
フレンズに関しては、動物であったころは同じ種族や群れのものを除いて、他の動物と接触するのは「狩りで獲物を捕まえたとき」か、「ほかの動物に狩りで襲われたとき」が多いはずです。従って、異なる種類の動物との接触=食べる・食べられる危険があるとき、というふうに無意識に捉えていたとしてもおかしくはありません。
実際、ヒトがジャパリまんを作ってフレンズたちに与えるまで、彼女たちが何を食べていたのかははっきりしません。おそらくは、動物だったときと同じものを食べているはずで、「フレンズが別のフレンズを狩る」といったことはなかったと考えられます。フレンズは動物にはない能力を備えており、大型で単純に獲物として捉えるのは不向きですし、何しろ会話し合うことができます。フレンズも自分と似たような姿をして、コミュニケーション可能な相手をあえて狙う理由はなかったでしょう。
現在のジャパリパークにおいては、6話のライオン・ヘラジカの合戦に巻き込まれたときを別として、フレンズ同士の初対面が争いから始まることはほぼありません。これもまた、ジャパリパークに済むフレンズたちが自分たちの生き方に慣れてきている証拠のひとつではないでしょうか?
「例の異変」時の出来事もメッセージに記録されている?
もうひとつ、気になるセリフはミライさんが語った「迷宮にようこそ」というものです。これは4話において登場した地下迷宮(遺跡)で流れたナレーションのないようと似ています。
従って、この発言があったとき、すでに地下迷宮の施設は存在していたと考えられます。地下迷宮は、過去の考察やツチノコのセリフにより「地図に載せられる前に例の異変が起きた」と考えられているため、やはり例の異変=パークからヒトがいなくなった原因、であり、同時に、「パークからの完全退去」等の情報が記録されたタイミングこそ、まさに「例の異変」が起きている最中だったのではないか、と考えられます。