【Bパート 驚くべきマーゲイの仕掛け】
かばんちゃんとサーバルによってライブ会場に連れ戻されたプリンセスは、木の上で他のメンバーの気持ちを聞きました。自分が必要とされていることを知ったプリンセスは・・・。
マーゲイ:(プリンセスの声真似で)「見てらんないわね!下手っぴすぎて!」
ロイヤルペンギン(プリンセス):あっ!(舞台袖のマーゲイに気づく)
マーゲイ:「やっぱり私がいないと・・・」
かばんちゃん:プリンセスさん!
サーバル:出番だよ!(木の上からプリンセスを突き落とす)
マーゲイ:「ダメみたいね!」
(プリンセス、木の上から落下して登場)
マーゲイ:「ホント、コウテイは動きが硬いし、ジェーンは本番に弱いし、イワビーはテンポが先走るし、フルルは何考えてるかわかんないし・・・」
マーゲイ&プリンセス:「でも!」
プリンセス:なんだかいい感じ!一曲目行くわよ!
プリンセス:大空ドリーマー!
(PPP、大空ドリーマーを熱唱。観客も大いに盛り上がる)
プリンセスの悩みのおさらい
前回のシーンでは、プリンセスのことをどう思っていたのか、ほかのメンバーの気持ちが語られました。プリンセスは初代にいなかったロイヤルペンギンですが、ひとりでアイドルを始めるのが不安でほかのメンバーを誘いました。最初こそほかのメンバーを引っ張るために人一倍頑張ってきましたが、ほかのメンバーがアイドルとして立派に成長した結果、「もはや自分は不要な存在なのではないか」と不安になっていたのです。
しかし、最初の誘い方こそ強引だったものの、いまやほかの4人にとってプリンセスは「アイドルの楽しさを教えてくれたかけがえのない存在」となっていました。ライブ上のフリートークを通じて、4人の口からその気持ちを伝えられたプリンセスの心は大きく揺れ動きました。
マーゲイの仕掛けの集大成
ここで、マーゲイの仕掛けがいよいよ最終段階に移ります。マーゲイはステージ上の4人の言葉に応えるように、舞台袖からプリンセスの声真似で返事をしたのです。事情を知るプリンセスにとっては「マーゲイが声真似をしている」ということはすぐにわかります。プリンセスもすぐさま舞台袖に目をやり、マーゲイの姿を確認しますが、ここでマーゲイも木の上に目をやっており、プリンセスがそこにいることに気がついていることに注目です。
つまり、プリンセスが木の上に連れてこられたこと事態、マーゲイの考えた仕掛けの一部だということです。ここでもう一度、このシーンに至るまでのマーゲイの仕掛けと思われる一連の流れを振り返ってみましょう。
①プリンセスを除くメンバー、ステージに登場しフリートークで場をつなぐ
②かばんちゃんとサーバル、プリンセスを発見し連れ戻す
③かばんちゃんとサーバル、プリンセスを木の枝の上に乗せる
④プリンセスを除くメンバー、ステージ上でプリンセスへの気持ちを語る
ここまでのシーンから、①、②がマーゲイの考えによるものであることははっきりしていました。しかし、今回新たに③と④もマーゲイの作戦の一部であったということが明確になったのです。
まず③については、声真似をするマーゲイがプリンセスに目をやりながら喋っていることからも明らかです。サーバルに「そこにプリンセスを連れてこい」と指示していたのでなければできないことでしょう。
④についても同様で、プリンセスの声真似がPPP(ペパプ)メンバーのフリートークに応える形で始まっている以上、③と④、さらにいえば①~④までの流れはすべてひとつの目的のための一貫した仕掛けであると考えるのが自然です。
トラブルをパフォーマンスで上書きしたマーゲイの手腕
マーゲイの狙いは、その後の展開を見ることでよりはっきりとわかります。マーゲイの声真似が始まると同時に、タイミングを合わせてサーバルが木の上からプリンセスを突き落としたのです。
ここで、観客からは大きな歓声が上がりました。観客にしてみれば、マーゲイの声真似はプリンセスが喋っているようにしか聞こえなかったことでしょう。
「ほかのメンバー4人がプリンセスについて語ったあとで、プリンセスが突如として客席の後ろから登場する・・・」
観客たちにしてみればここまでの一連の流れは「三代目PPP(ペパプ)からの新メンバーである、ロイヤルペンギンを紹介するためのパフォーマンス」に見えたはずです。つまりマーゲイの狙いとは、「プリンセスがライブ直前にいなくなってしまった」というトラブルを隠し、同時に「ライブパフォーマンスの一貫として自然にプリンセスの再登場を促す」という極めて高度な作戦だったのです。
マーゲイの発想力はかばんちゃんを超えている?
はっきりいって、この作戦はアニメ「けものフレンズ」の作中でここまでに登場したあらゆるアイデアの中で最も複雑かつ緻密なものだと言っていいでしょう。正直にいって、マーゲイの発想力と行動力はかばんちゃんをも凌駕しています。
もちろん、マーゲイがアイドル好きでPPPメンバーたちに関する知識を十分に持っているという事情も考慮するべきではありますが、その点を加味してもここまで完璧な作戦を考えたのは見事だと言わざるを得ません。
「大空ドリーマー」の演出は必見
マーゲイの仕掛けによって、ほかのメンバーに対するわだかまりと不安な気持ちが解消したプリンセスは、ステージに向かってまっすぐ歩いてきました。自信さえ取り戻せば、彼女ほど完璧なアイドルもいません。自然なタイミングでマーゲイの声真似と交代し、1曲めとなる「大空ドリーマー」を歌います。
「大空ドリーマー」のシーンは、けものフレンズでは珍しく歌とダンスのシーンが描かれるシーンです。この際、カメラアングルも大きく動いており描写・演出面では作中特に力の入ったシーンとしてよく知られています。
大きなトラブルを乗り越え、観客を大きくわかせたPPPメンバーたち。彼女たちのライブはまだ続いていきます。