【Aパート 博士と助手が出した条件】
ついにジャパリ図書館にたどり着き、博士(アフリカオオコノハズク)と助手(ワシミミズク)に合うことができたかばんちゃんたち。博士たちは2人を問題のアトラクションに挑戦させた意図を話し始めました。
博士:ここまでたどり着いた子は初めてです。これは期待できるです。
サーバル:はじめてなんだー!やったね!
かばんちゃん:あれ?ほかにもいろいろ調べたいフレンズさんがたくさん来てるんじゃ・・・?
博士:道路を真っすぐ行けば、普通にあそこにつくです。
サーバル:え~っ?なにそれ?
助手:たまに、右側にはいった子もだいたい迷って出てくるのです。
サーバル:引っかかった!う~。
助手:博士、これは期待できますね。
博士:そうですね、助手。今日こそは、いただきますですよ。
サーバル:それでね。かばんちゃんが何の動物か教えてほしいんだ。図書館に来れば教えてもらえるんでしょ?
助手:楽勝です。
博士:ですので、教えてほしければ、料理するのです。
かばんちゃん&サーバル:料理?
今まで難攻不落だったアトラクション
「問題のアトラクションを突破したのは、かばんちゃんとサーバルが初めて」という博士と助手の言葉を聞き、サーバルは喜びます。今まで誰も達成したことのなかった難しい課題を突破したので、それが自分の実力を示す実績になると考えたのでしょう。このように、サーバルは何らかの困難を乗り越えることに強い感心を持っています。
しかし、かばんちゃんはすぐ、博士たちの発言がおかしいことに気がつきました。誰もアトラクションを突破したことがないということは、「今まで図書館にやってきていたフレンズたちは、どうやってここまでたどり着いていたのか?」という新たな疑問が生じてしまうからです。
博士と助手がかばんちゃんを「罠にはめた」理由
答えはシンプルで、博士と助手がかばんちゃんとサーバルだけにはアトラクションに挑戦させるため、わざと障害物や道路標識を使って道を塞いでいたから、というものでした。つまり、普段相談にやって来るフレンズたちは、アトラクションを通らないルートを通って図書館までたどり着き、普通に相談に乗ってもらって帰っているということです。
ここでいよいよ問題は核心に迫ります。なぜ博士と助手はかばんちゃんたちに対してだけ、このような奇妙な仕掛けを行ってきたのでしょうか?
「かばんちゃんが何者か教えて欲しい」と尋ねるサーバルたちに対して、博士と助手は引き換えに料理を作ることを提案しました。これこそがまさしく今回の謎の答えです。博士と助手はかばんちゃんに「料理を作れるだけの知力があるか試すために」わざとクイズのアトラクションへ誘導したということなのでしょう。
フレンズ化と料理の関係
今までのけものフレンズの劇中を見ていると、登場している食べ物はジャパリまんくらいしかありません。一応、例外的には塩を食べていたアクシスジカや、ジャパリカフェで飲み物を提供していたアルパカ・スリなどがありましたが、おおよそ主要な栄養源となるレベルのちゃんとした食べ物をフレンズが調理したり、食べている様子は見られませんでした。
よくよく考えてみると、これは極めて自然なことだと言えるでしょう。フレンズは、肉食動物や草食動物など、このなる食性を持った動物たちがヒトの姿になったものです。言い換えると、元は草食動物であっても、ヒトと同様、身体機能としては肉や魚まで食べられる「雑食」になれる可能性もあります。
もちろん、実際にはフレンズ化によって動物の体にどのような変化が生じるのかは不明なため、「体がヒトの姿になったから、ヒトが食べられるようなものが食べられる」とは限りません。とはいえここで重要なのは「フレンズ化したことにより、食性が変化し、今まで食べられなかったものを食べられるようになったフレンズもいる」ということが重要なポイントだと言えるでしょう。
フレンズの食性は物語上のタブー
次にメタ的な視点に立って考えてみたいと思います。フレンズたちが何を食べるにしろ、動物の肉を食べているシーンを描くのは問題があります。なぜなら、動物である以上はその動物が元となったフレンズも当然いるはずだからです。もしくは、現時点ではフレンズ化していなくとも、将来的にその動物のフレンズが登場する可能性はゼロではないわけです。
従って、フレンズに「肉食をさせる」のは物語の演出上、都合が悪い描き方である、ということになるでしょう。理想的なことをいえばフレンズたちは「何かはよくわからないが、十分な栄養がありそうに見えて、かつ無機質なもの」を食べていてくれれば問題ありません。劇中にフレンズたちの「主食」として登場するジャパリまんは、まさにこのような背景から生まれたものでしょう。
フレンズがヒトと同じような料理を食べることは、けものフレンズのストーリー上ではある種の「タブー」にあたる危険性もはらんでいるのです。今回の博士と助手の提案は、このようなタブーにあえて踏み込んで行く展開へとつながっていきます。