けものフレンズ9話感想その5:ゆきやま、かまくらでのサバイバル

諸注意

けものフレンズ9話感想その4:雪山で遭難するかばんちゃんとサーバル
【Aパート 雪山の天気はかわりやすい】 サーバルが見つけた「麓の温泉で使われるお湯の源泉」を見に行くこ...

【Aパート かばんちゃんのかまくら作り】

雪山の登山コースの先にある源泉を見に行くことになったかばんちゃんたちですが、山の天気が激変。猛吹雪の中で行くも戻るも立ち行かない状態に陥ってしまいました。ラッキービーストも凍ってしまい、寒さに凍える2人でしたが、かばんちゃんがある策を思いつきます。

(サーバル、雪洞の屋根を固める。かばんちゃん、雪洞の中を掘る)

サーバル:よっ、はっ・・・。

かばんちゃん:えいっ、はっ・・・。・・・できた!

サーバル:おーっ!

かばんちゃん:ここで様子見を・・・。

サーバル:すごーい!なんで?

かばんちゃん:さっき雪を握ったら固まったから、こういうこともできないかなって。

サーバル:かばんちゃん、ほんとにいろんなことに気づくよね!風が当たらないだけで、だいぶ暖かいよ。

かばんちゃん:よかった・・・。

かばんちゃんは「風を防げば寒さを防げる」と知っていた

前回の考察でご紹介したように、かばんちゃんが寒さを凌ぐために作ろうとしていたのは「かまくら(雪洞)」でした。事前にラッキービーストからかまくらについて聞いていたこと、そして雪は押し固めるとくっついて強度が増すということを知っていたことが役に立ちます。

後でサーバルが言ったように、ここでかまくらを作ったのは「吹雪の風を防いで体温の低下を緩和する」ことが狙いでしょう。このとき、ひとつ疑問なのはかばんちゃんがどうして「風を防ぐと寒さを緩和できることを知っていたのか?」という点です。

こういった自然環境への適応は、知識だけでなく経験から学ぶこともできるので、かばんちゃんも「特に知識として知っていたわけではないが、なんとなく知っていた」という可能性もあります。実際、かばんちゃんは毎日ジャパリバスで移動しており、その際バスの天窓から顔を出していることも珍しくありません。こうしたときの経験から「風を受けると寒さを感じやすい」という事実を知ったと考えていいでしょう。

それに加えて、かばんちゃんは3話「こうざん」においてトキに連れられながら空中を山の山頂まで飛んで登っています。このとき、トキに歌い方をアドバイスするシーンで「寒い」とも語っており、「風を受けると寒くなる」ということはもちろん、「山のように高いところのほうが寒い」ということを知っていたかもしれません。

けものフレンズ3話感想その8:かばんちゃんから歌を教わるトキ
前回記事:【3話 その7】アニメ感想「けものフレンズの謎」:2話~3話に至るまでの時間経過を考察 【Aパー...

かばんちゃんたちが作ったのは「ドーム型かまくら」

サーバルが雪を押し固め、かばんちゃんが内部を掘り進める、という形で2人はかまくらを作りました。このやり方は本当に正しかったのか、実際のかまくらの作り方と比較して検証してみましょう。

http://promptreport.com/kamakura-tukurikatapost/

こちらのサイトに、かまくらの作り方が紹介してあります。かまくらの作り方は大きく分けて2通り。雪を山のように積み上げた後、内部をくり抜く「ドーム型」、雪を押し固めて作った小さなブロックをいくつも積み上げて作る「ブロック型」です。このうち、2人が作ったのはドーム型に近い構造のかまくらでした。

通常、イベントなどで使用する本物のかまくらを作るときは、雪を山のように押し固めた後1日程度放置し、強度が十分になったところで内部を掘ります。壁になる部分に骨組みとして枝などを入れ、補強する場合もあるようです。

しかし、かばんちゃんたちがこのような方法を取ったとは考えられません。かばんちゃんとサーバルにとっては生まれて初めて、しかも自己流のかまくら作りですから、強度を高める方法など考慮することはできなかったでしょう。一刻も早く寒さを凌がなければ命にかかわるという切迫した状況も考慮しなければなりません。

そのため、かばんちゃんとサーバルはおそらく、雪を慌てて積み重ね、適当に内部をくり抜いてすぐに中にはいったものと思われます。緊急時の避難用としては上出来だったでしょう。

実際の遭難時は雪洞を掘るのが良い

ちなみに、かばんちゃんたちは本物のかまくらに近いものを作って寒さをしのぎましたが、実際の雪山で遭難しサバイバルを行う場合は雪を横、下に掘って雪洞を作るほうがいいようです。

http://portal.nifty.com/kiji/140211163263_1.htm

こちらのリンク先に詳しい方法が解説されているので興味がある方は見てみてください。簡単にまとめると、

積もっている雪を下に掘り、その後横に掘っていく。

人が入れるスペースを作る。暖かい空気は上に行くため入り口より床を少し高くする。

天井が薄すぎると時間とともに下降、崩落の危険がある。

といった注意点があるようです。かばんちゃんももし可能であればこういった本格的な雪洞を作っていたほうがより寒さを凌ぐことができたでしょうが、突然の遭難のなか、限られた知識と時間の中でよく対応したと評価できます。

かまくらができたことで、とりあえず吹雪の寒さは2人の命を奪うほどではなくなりました。あとは天気が収まるのを待つばかりですが、ここで思わぬ展開が彼女たちを待ち受けることになります。吹雪の中訪れた突然の「来訪者」については、次回の考察でご紹介しましょう。