けものフレンズ8話感想その17:8話中唯一?のサーバルとかばんちゃんの見せ場

全編視聴後の考察なので、未視聴の方は注意してください

けものフレンズ8話感想その16:プリンセスが去った後のPPPとマーゲイ
【Bパート マーゲイとPPP(ペパプ)メンバーの決意】 「ロイヤルペンギンは初代、二代目PPPにはいな...

【Bパート プリンセスの本音】

(サーバルとかばんちゃん、プリンセスの後を追いかける)

サーバル:あっ、いた!

かばんちゃん:マーゲイさんの言ったとおりだ。

サーバル:プリンセス!

かばんちゃん:はやく、戻りましょう。皆さん待ってますよ。

サーバル:早く戻ろう!お客さんは待ってくれるって。

ロイヤルペンギン(プリンセス):ごめんなさい。ゲストのあなたたちにこんなことさせて・・・。

かばんちゃん:そんな・・・。どうしたんですか?

プリンセス:いいの、もう。舞台も怖いから・・・。

サーバル:どうしたの?プリンセスらしくないよ?

プリンセス:最初からずっとこうよ・・・。今までいなかったロイヤルペンギンがお客さんにどう思われるか・・・。それが怖いから、あの子たちを無理に巻き込んだの。

かばんちゃん:でも、だから練習頑張ってたんですよね?マーゲイさんから聞きましたよ。立ち上げたときから、プリンセスさんが人一倍練習して、みんなを引っ張ってきたって。

プリンセス:・・・。

サーバル:とりあえず行こう!みんな待ってるよ!(プリンセスを立ち上がらせようとする)

プリンセス:離して!そんなあの子たちに私、ひどいこと言っちゃった!合わせる顔がない。あの子達なら4人でも大丈夫よ!全員ちゃんとアイドルしてるもの!

サーバル:それ、4人が聞いたらきっと喜ぶよ。ちゃんと言ってあげよう!

マーゲイの指示通りに動く面々

今回取り上げるシーンでは、今まで一度も本人の口から語られたことのなかったプリンセスの本心が語られます。そしてこのシーンは同時に、今までずっと脇役に徹し続けてきたかばんちゃんとサーバルが活躍するシーンでもあります。

いなくなったプリンセスを探しに出たかばんちゃんとサーバルですが、これはおそらくマーゲイの指示によるものでしょう。プリンセスがいなくなり、どうしようか迷っていたPPP(ペパプ)メンバーとかばんちゃんたちの前で、マーゲイはすっと手を上げなにか考えがある素振りを見せていました。

よって、PPPがその後4人でステージに上ったことも、かばんちゃんたちがプリンセスを探しに行ったこともすべてマーゲイの指示によるものだと考えていいでしょう。

かばんちゃんはプリンセスを発見するなり、「マーゲイさんの言ったとおりだ」とつぶやいています。このこともマーゲイがプリンセスのいそうな場所にあらかじめ見当をつけていて、かばんちゃんたちに教えていたとしたら辻褄が合います。

立ち上げのお披露目から1週間もの間、PPPの練習に付き合っていたのであれば、その間に各メンバーの行動や癖をある程度覚えていたとしても不思議はありません。ましてやマーゲイは筋金いりのアイドル好きです。今まで図書館などで得た知識も含めれば「ジャパリパークで一番PPPに詳しいフレンズ」になっているといえるでしょう。

PPPが4人でライブを始めたのもマーゲイの考え

プリンセスを発見したかばんちゃんとサーバルは、会場に戻りライブに参加するよう説得を始めました。このときサーバルは「お客さんは待ってくれるって」と語っていますが、これには少し説明が必要かもしれません。

この後のシーンで判明するように、PPPメンバーはプリンセスがいなくなったことを観客に話し、待ってくれるようにお願いしたわけではありません。ですから、ここでいう「お客さんが待ってくれる」という言葉の意味は、「マーゲイにそう言われた」という意味でしょう。

つまり、マーゲイは「しばらく時間を稼ぐから、その間になんとしてもプリンセスを連れ戻してほしい」と2人に頼んでいた、ということになります。そして、プリンセスが戻るまでの間、ステージ上で時間を稼ぐための方法もほかのPPPメンバーに指示したはずです。

今回取り上げたシーンは完全にマーゲイの描いた筋書き通りに進行していくことになります。

誰より不安を強く抱えていたプリンセス

かばんちゃんたちの説得に、プリンセスはようやく自身の本音を語りだしました。今までいなかったロイヤルペンギンが観客に受け入れてもらえるか不安なこと。自分が誰よりも一番不安だからこそ、ほかの4人をメンバーに加えたことなどです。

このプリンセスが本音を語るシーンでは、プリンセスの表情や震える手がアップで映し出されますが、けものフレンズの劇中ではあまりこうしたカメラアングルは見られません。強いて似た構造のシーンを探すとすると、Aパートのお披露目前に緊張したプリンセスの様子が映し出されたシーンが上げられます。つまり、あのシーンこそプリンセスの本音を表すシーンだということが、それぞれの描き方からもはっきりしているということです。

すっかり自信をなくしたプリンセスに対して、かばんちゃんは説得を続けますが、ここでもやはりマーゲイの知識を引用しています。誰よりも不安だからこそ誰よりも練習に打ち込み、他のメンバーを引っ張ってきた・・・、そんなプリンセスの努力を誰よりもよく理解しているのはほかのPPPメンバーとマーゲイです。

問題の本質を見抜いていたサーバル

かばんちゃんが説得を続ける傍ら、サーバルはいよいよ実力行使に出ました。とはいっても、嫌がるプリンセスを小脇に抱えて会場に移動するという、手荒ではないものの強引な方法ではありましたが。

プリンセスは、自分の不安な気持ちを素直に伝えられず、他のメンバーに当たってしまったことを悔やんでいましたが、同時に彼女が他のメンバーのアイドルとしての振る舞いを評価していたことが明らかになりました。やはり、プリンセスは一見厳しいようでいてもきちんと他のメンバーの良いところは見抜いていたのです。

このときのサーバルのセリフである「それは4人にちゃんと伝えてあげよう」というセリフも見事なものでした。今回の問題が生じたそもそもの原因は、自分が抱えている不安な気持ちをうまく周囲に伝えることができなかったプリンセスの振る舞いにあります。だからこそサーバルは「思っていることを直接他のメンバーに伝えたほうがいい」と言っているわけで、きちんと今回の問題の本質を理解した上でプリンセスにアドバイスしているのだということがわかります。

ちなみに、私は最初にこのシーンを見たとき、人間が不安になったり悩んでいるとき、そっと傍に寄り添ってくれるペットの犬や猫をイメージしました。たつき監督はサーバルを描くにあたりご自身の飼い猫の振る舞いを参考にしたと語っており、もしかしたらそういったイメージが反映されたシーンなのかもしれません。