【7話 じゃぱりとしょかん 考察まとめ】
【7話 じゃぱりとしょかん 総合的な解説】
けものフレンズの各話は、基本的に以下のようなストーリーのテンプレートに沿って展開していきます。
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
新しいフレンズと知り合う
未知の問題と遭遇する
かばんちゃんとサーバルが協力して問題を解決する
今回もこの流れに当てはめて、6話の展開を思い返してみましょう。
かばんちゃん一行が新しい土地に行く
今回かばんちゃんたちが向かったのは、旅の目的地であったジャパリ図書館(しんりんちほー)です。図書館を目指していた理由は、かばんちゃんが何の動物か知るためでした。このことのストーリー条の意味をより本質的に考えてみましょう。
かばんちゃんにはサーバると出会う以前の過去の記憶がなく、状況から考えて「何らかの動物の遺物からフレンズ化した存在」であると推測できます。そのため、かばんちゃんは「自分は何者なのか、どうやって生きればいいのか?」という問題を常に抱え続けていたはずです。
そして、この問題を解決することこそがアニメけものフレンズの(前半の)テーマだったわけです。
新しいフレンズと知り合う
ジャパリ図書館でかばんちゃんたちを待ち受けていたのは、アフリカオオコノハズク(博士)と助手(ワシミミズク)でした。彼女たちはほかのフレンズに知恵を授ける存在であり、今までに登場したフレンズの中で最も多くの知識を持っています。
そんな彼女たちでしたが、「料理を食べたい(しかし、自分たちでは作れない)」という課題を抱えていました。かばんちゃんは自分が何者なのかを教えてもらうことと引き換えに料理を作ってあげることになります。
未知の問題と遭遇する
かばんちゃんたちが7話で遭遇した未知の問題は、前半の正解を選ばないと先へ進めない「クイズの森」、そして後半の「料理」です。クイズの森は時間こそかかったものの文字が読めるかばんちゃんには難しい課題ではありませんでした。
後半の料理で大きなポイントになったのが「火」の調達方法です。これまで博士と助手が料理に挫折していた理由もおそらくこの点だと思われますが、かばんちゃんは火を恐れずに見事料理を完成させます。
博士と助手は約束通り、かばんちゃんが「ヒト」であること、ヒトはすでにパークからいなくなったことを教えてくれました。
かばんちゃんとサーバルが協力して問題を解決する
7話において、かばんちゃんとサーバルの協力が見られるのは調理のシーンですが、2人の関係を考えるときこれよりも興味深い展開があります。本来、サーバルがかばんちゃんについてきていた理由は「かばんちゃんが心配だから」という理由でした。しかし、無事かばんちゃんが何の動物かわかり、当初の目的は果たされたはずなので、本来であればサーバルはここで彼女と別れ、ひとりさばんなちほーへ戻ってもいいはずです。
もちろん、「ヒトの住んでいるちほーを探す」という新たな目的ができたので、それが終わるまで付き合うため旅を続けるという新たな理由はできたのですが、そもそも「ヒトがパークからいなくなったなら、ヒトの住んでいたちほーを探せばいい」といい出したのはほかならぬサーバル自身なのです。
つまり、この時点でサーバルは「かばんちゃんとの旅をここで終わらせたくない。もっとついていきたい」と考えていたと思われます。
この点は劇中ではまったく明言されていませんが、かばんちゃんの正体が博士から告げられる前後のサーバルの言動を見ていると、明らかに今後の展開の主導権を握ろうとしており、かばんちゃんの旅を続けること、自分がかばんちゃんについていくことを既定路線にしようとする節が見て取れます。
変わりつつあるサーバルとかばんちゃん
サーバルがなぜこのような行動を取ったのか、その理由は現時点では完全にはわかりません。もちろん、サーバルとかばんちゃんがほかにはない特別な絆で結ばれた関係である、という理由はあります。(過去の考察を参照)
ですが、理由はそれだけではなく、旅を続けていくうちにサーバルの内面に新たな想いが芽生えた可能性もあります。しかし、サーバルはほとんど自分の感情を語ることがないので、なぜサーバルが旅を続けようとしたのか、明確な確証を得ることはできません。
ここで再びかばんちゃんに注目してみましょう。この後のかばんちゃんは「自分が何者なのか知っているキャラクター」として描かれることになります。つまり、今までとは違った面がより強調されていく可能性もあるということです。
これまでも、かばんちゃんが旅の中で様々な問題を解決する過程で、自分に自信を深めたり苦手なことを克服したりするなど成長を重ねてきました。しかし、7話における変化はそれだけではなく、自分が何者なのか明確な形で示されたことで、かばんちゃんは「自分自身の中でそれをどのように自覚するか」という新たな課題に直面することになったのです。
「旅の目的が大きく変わったこと」、「それによって、サーバルとの関係も変わりつつあること」、そして「かばんちゃん自身の自己認識が変わりつつあること」。
7話はこうした一連の大きな変化が集中する、まさに物語のターニングポイントと言っていいタイミングなのです。