スーパーの試食コーナーに見るマーケティング

スーパーマーケットに行くと、大抵どこのお店でも「試食コーナー」を置いているものです。ほとんどの方が目にした経験があるでしょう。こうしたスーパーの試食コーナーは、マーケティングとして非常に身近な例なので、どのような意図の元に設置されているのか、簡単に解説したいと思います。

8割の人が試食した商品を購入する

スーパーが試食コーナーを設置する意図は、一般の方にも想像しやすいでしょう。主に以下のような理由が考えられます。

  • 新商品の存在をPRする
  • 商品に興味を持つきっかけを作る
  • 試食することで買いたいという気持ちになってもらう

毎日のようにスーパーにはさまざまな新商品が並びます。しかし、発売したことが知られなければ誰にも手にとってもらうことはできません。もちろん看板などを設置して宣伝もするでしょうが、それだけでは注意をひくのに十分とはいえないでしょう。「無料でお試しができますよ」といえば多くの人が興味を抱いてくれると期待できます。

アイシェアが行った調査によると、実に7割の人が「試食コーナーを(不定期で)利用する」と答えています。さらに実際に試食した人の8割が「試食した商品を購入してしまう」と答えており、試食コーナーには高いマーケティング効果(買いたいという気持ちを盛り上げる)があるといえるでしょう。

顧客の声が聞ける上に、成果把握しやすい

ほとんどの試食コーナーには、担当の店員がいて直接接客を担当しています。試食と同時に購入を勧める場合もあれば、「試していただくだけで結構です」といいながら呼び込みをしていることも。これは、積極的にセールスを行うと引いてしまう人もいるからでしょう。

試食の場に店員が同席しているということは、買い手との間にコミュニケーションが生まれます。美味しいか美味しくないか、その場で感想を聞くこともできるでしょう。こうした買い手の「生の声」は重要なフィードバックとなって売り手の商品改良に寄与します。

また、試食した人が商品購入にいたったかどうか、その場で確かめるのも容易でしょう。つまり、マーケティングの成果がわかりやすのです。こうしたメリットから、多くの小売店が試食コーナーを設けているといえます。

試食コーナーに学ぶマーケティングアイデア

それでは最後に、試食コーナーについて考察し、今後のマーケティングにどのように活かしていけるか考えてみましょう。試食コーナーの本質は「商品を購入に先立って体験させる」ということです。実はこうした「試食」と同じ施策はデジタルマーケティングにおいても最近活発に行われています。たとえば、以下のような例があります。

  • ホワイトペーパーの無料ダウンロード
  • ソフトウェアの期間限定無料トライアル
  • 映像作品の一部を無料公開

このようなマーケティング施策は、デジタル上で「試食コーナー」を再現しているのと同じ意味を持ちます。無料でサービスの一部を体験してもらい、顧客の生の声を聞いたり、その体験がどれだけ購入を促したかによって成果把握を行うわけです。「試食」は何も食料品・リアルの店舗だけで有効な施策ではありません。デジタル上でも活用できるアイデアだということを覚えておきましょう。

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