けものフレンズ2話感想その1:ラッキービースト(ボス)による世界観説明

諸注意

前回記事:アニメ感想「けものフレンズの謎」まとめ:1話「さばんなちほー」

【Aパート冒頭 ラッキービースト(ボス)との出会い】

じゃんぐるちほーの入り口にたどり着いたかばんちゃんとサーバルの前に、ラッキービースト(ボス)が現れます。かばんちゃんに話しかけるラッキービーストに驚くサーバル。「図書館に行きたい」というかばんちゃんに、ラッキービーストはガイドを申し出ます。

視聴者の印象を上書きしようとしている?

このシーン、一見1話のラストのあたりを再編集しただけに見えますが、重要なポイントがあります。それはこの直後のシーンも含めて、基本的に「コメディタッチで描かれている」という点です。BGMもコミカルなものですし、しゃべるボスに驚くサーバルのリアクションなどもコミカルに描かれています。

「単にこのシーンがギャグだから、というだけでは?」と思ってしまいますが、そうとはいい切れません。なぜなら、1話は「かばんちゃんの成長」という比較的真面目なテーマを取り扱い、かつ全体的にほのぼのとした雰囲気は保ちつつ、ところどころではシリアスなシーンも入れるといった描き方をしているからです。

私の目には、この冒頭のコミカルな描き方は「1話の印象を上書きしようとしている」ように思えました。つまり、1話の流れをそのまま引きずってしまうと視聴者が必要以上にけものフレンズというアニメをシリアスなものだと考えてしまう。それ故にあえて1話のラストと重複する部分をコメディタッチで描き直すことで「最初からコミカルなアニメだったかのように錯覚させようとしている」ように思えたのです。

【Aパート冒頭 ラッキービースト(ボス)の解説と、サーバルとの会話】

じゃんぐるちほーへのガイドに先立って、ラッキービーストはジャパリパークの解説を始めます。しかし、疲れて眠いかばんちゃんは説明の途中で寝入ってしまいます。

登場キャラのセリフによる世界観の説明

ラッキービーストによる説明は「登場キャラクター自身の口による、作品世界観の説明」です。漫画やアニメではこういったシーンは必ず出てきます。一般的な表現方法としては、

  • 主人公自身の口から(心の声などとして)語らせる
  • 主人公以外の脇役の口から語らせる
  • ナレーション(地の文)によって語らせる

といった方法があります。漫画やアニメのストーリー世界は、現実世界とは著しく異なる設定を持っていることも少なくありません。そういった部分が視聴者に伝わるように「言葉による説明」を行わなければならないことも多く、そういったシーンで用いられる演出方法です。

セリフによる世界観の説明には次のようなメリットがあります。

  • 説明した内容はその後「視聴者の共通認識」として話を進められる
  • 視聴者の心を作品の世界観に引き込める

これらのメリットは、裏表のようなもので実際にはほぼイコールの意味を持ちます。視聴者が世界観に関する理解を深めるということは、そのまま作品に引き込まれていっているということを意味するからです。

断片的な説明で、世界観に謎を残した

では、その大切な「登場キャラのセリフによる世界観の説明」の最中、かばんちゃんがどうしていたかというと、ウトウトして話をあまり聞いておらず、しかも途中で眠ってしまったのです。かばんちゃんは主人公、つまり視聴者に最も近い立場の登場人物です。かばんちゃんはウトウトしていることは、演出上はキャラの演技と「カットインの多用」で現されました。カットインが挟まれるたびにラッキービーストの説明が中断されたため、視聴者にもラッキービーストの説明は断片的にしか伝わっていません。

このような演出も、漫画やアニメ作品などでよく使われる演出方法です。一般的な例としては次のようなものがあります。

主人公の「夢・回想・過去の記憶」などの形で世界観を説明するシーンを入れ、断片的にしか情報を描かない

たとえば、「記憶を失った主人公が悪夢にうなされ、過去の記憶の断片と思われるものを思い出すが、すべてを思い出す前に目が覚めてしまった」というような描き方です。こういった描き方がされるということは、このシーンにおいては「世界観を説明したいが、断片的に説明することである程度の謎は残したい」という演出上の意図が見て取れます。

2話冒頭時点でわかっていること

では、ラッキービーストのセリフから、どのようなことがわかるか、どんな謎が残るのか考えていきましょう。

ラッキービースト:ジャパリパークは、気候を元にしていくつかのちほーに分かれているよ。それぞれに、動物・植物が展示されているんだ。

(中略)大きく5つの気候帯に分離 

(中略)フレンズと呼ばれる生き物たちで、彼女らは動物やその遺物と・・・

「展示」という言葉があることから、ジャパリパークの動植物は何者かが意図的に、誰かに見せる目的で設置したということがわかります。「パーク」と呼ばれてはいますが、「自然保護区」のようなものではなく明らかな人工のテーマパークであろうということが推測できます。

「気候帯」とは、地域を気候の特色によって分類したものです。ドイツの気象学者ケッペンによる区分が有名で(ケッペンの気候区分)、それによれば「熱帯・乾燥帯・温帯・亜寒帯・寒帯」の5つの気候帯があります。ラッキービーストも「5つの気候帯に分離」といっていることから、おそらくこのケッペンの気候区分に基づく気候帯がすべてジャパリパークには存在していると推測できます。ちなみに、ここまでに登場したさばんなちほー・じゃんぐるちほーは、現実の「サバンナ・ジャングル」がそれぞれ熱帯に属することから、熱帯のちほーであると考えられます。

最後は、「フレンズ」に関するセリフです。「彼女ら」との発言があることから、フレンズはすべて女性であることがわかります。初見の人であっても、公式サイトやアニメ以前に作られたゲーム版などの情報からある程度推測可能な事項ではありますが、「作品を見ただけでわかる」という点も重要です。すべての視聴者が関連情報をリサーチしているわけではないからです。

「フレンズは~動物やその遺物と・・・」という発言で、一旦解説は中断します。これは「フレンズは動物やその遺物と、サンドスターが反応することで生まれる」という意味であると推測できます。これも上記に関すること同様、本編以外の情報源からわかることですし、そうでなくても1話の時点でサーバルが「(かばんちゃんは)昨日のサンドスターで生まれた子かな?」といった発言があるため、十分推測は可能です。

  • ジャパリパークは「人工のテーマパーク」
  • 5つの気候帯があり、今は熱帯のちほーにいる
  • フレンズは動物かその遺物とサンドスターが反応することで生まれる

2話の冒頭時点で、これだけの情報が明らかになりました。今後、これらの情報がどういった意味を持つことになるのか注目です。

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