オウンドメディアの成功パターン3つを比較。どれがおすすめ?

オウンドメディアの成功パターンとして、これまで以下の3つを紹介してきました。

課題解決型オウンドメディア・・・課題に対して解決法を提示する

ブランド訴求型オウンドメディア・・・すでに認知されたブランドをPRし、価値を高める

バイラル喚起型オウンドメディア・・・SNSでのコンテンツ拡散で知名度アップを図る

それぞれがどのようなものかは個別の紹介記事を見ていただくとして、今回は3つのパターンを比較して見たいと思います。

成功しているオウンドメディアは「課題解決型」が多い

3つの成功パターンのうち、特に数が多いのは課題解決型です。課題解決型のオウンドメディアが多い理由は「コンテンツを作りやすいから」でしょう。まず、コンテンツのネタとなる「課題」は、一般的に多くの人が抱えている課題でいいわけですから、ネット上でいくらでもリサーチできます。たとえば、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトを見れば、人々がどんな悩みを抱えているか一目瞭然です。また、Googleキーワードプランナーなどを使って検索の多いキーワードを調べ、そのキーワードから「これらの語句で検索した人はどんな課題を抱えているのか?」を推測するのもさほど難しくはありません。

一方、ブランド訴求型は「すでに知名度の高いブランドを持っている」のがメディアを作る前提になります。よって、中小企業など自社のブランド力に期待できない場合はそもそもの選択肢に入らないのです。

バイラル喚起型はブランド訴求型に比べればまだコンテンツは作りやすいでしょう。SNSで取り上げられるようなネタを考えればいいわけですから、「話題になりそうなことであればなんでもいい」わけです。ただし、どれだけSNSで広まるかは未知数ですし、仮にうまくコンテンツが拡散し、企業の知名度向上に結びついたとしても、その瞬間利益が生まれるわけではありません。バイラル喚起型オウンドメディアが効果をもたらすのはコンテンツが拡散したのち、だいぶ時間が経ってからになるのです。

課題解決型は即効性が高い

オウンドメディアの大半が課題解決型であるもう一つの理由は、「即効性が高い」点にあります。すでにお伝えしたとおり、ブランド訴求型・バイラル喚起型には即効性はありません。どちらも「ブランドイメージアップ→ブランドのことを知った人が商品・サービスを購入してくれる」というステップを踏まなければならないからです。

課題解決型の場合、課題の解決策が「商品・サービスそのもの」であれば、すぐに商品を買ってもらえる可能性もあります。たとえば、目の疲れに悩んでいる人に、「ブルーベリーサプリメント」を紹介すればそのまま購入してもらえる可能性は高いはずです。このように課題解決型の場合、商品購入までのプロセスが短くなりやすいので、マーケティングの成果がすぐに売上に現れやすいという利点があります。

3つの成功パターンは、どれが優れていてどれが劣っているというものではありません。しかし、ビジネスの世界においては作業難易度と即効性が重視されがちです。そのため、3つのパターンのうち、特にその2点に秀でている課題解決型を選択する企業が多いのでしょう。

課題解決型オウンドメディアを、ネットショップにしないために

以上のような理由から、「楽にコンテンツを作ってすぐに成果を上げたい」という方におすすめのパターンは課題解決型オウンドメディアとなります。しかし、「課題解決型オウンドメディアを作ればマーケティングは必ず成功する」とも限りません。

世の中の課題解決型オウンドメディアのいくつかは、実質的に「単なるネットショップ」になってしまっています。たとえば、「◯◯美容エキスの効果・特長は?」といったタイトルの記事が公開され、そのページを見るとたしかに◯◯美容エキスの効果・特長を紹介する内容が書いてあり、末尾に「購入申し込みフォーム」が設置されている、といった感じの作りです。

このようにコンテンツを作れば「◯◯美容エキスについて検索してきた人を捕まえて、商品が売れた」といえるかもしれません。たしかに商品を売って売上に貢献するのは大事ですが、これを本当に「マーケティング」と呼んでもいいのでしょうか?読者としては、そもそも「商品名を最初から知っていて検索してきている」わけですから「単に最初から購入する気のある人が購入方法を探していただけ」ともいえると思います。

もちろん、記事中に書かれていた「効果・特長」に納得して購入した、という可能性もあるでしょう。その場合は「コンテンツの内容が購入を促した」といえるので、マーケティング効果があったといえるかもしれません。しかし、それ以外のケースではオウンドメディアは実質的に「単なるネットショップ」になってしまっている可能性もあります。

私は決して、課題解決型オウンドメディアを否定しているわけではありません。しかし、「商品の存在すら知らなかった人に、商品の存在を教え、買いたいという気持ちにさせ、購入してもらう」という、マーケティングの基本的な流れをかなり省略している、という印象も拭いきれないのです。

マーケティング本来の目的を十分に果たすには、課題解決型の考え方だけでは足りない部分があります。その足りない部分を補うにはブランド訴求型・バイラル喚起型の考え方も取り入れる必要があるでしょう。これからオウンドメディアを立ち上げようと考えている方は、目の前の利益だけを目指すのではなく、そうしたマーケティング本来のあり方も忘れないようにして下さい。