評価される記事=要点をまとめた記事に「反対」する

オウンドメディアを運営している企業にとって、「少しでも多くの人にコンテンツを見てほしい」というのは共通する想いでしょう。こうした気持ちに答えるように、ネットでは「読者にとって、読みやすい記事のポイント」がしばしば紹介されています。しかし、そうしたポイントと称するものについて、ライターの視点から見ると「これって本当に大事なの?」と疑問に思うものが含まれているのもまた事実です。

「要点をまとめる」書き方は本当に評価されるのか?

今回、私が問題にしたい「ネットでよく見かける、評価される記事のポイント」とは、次の3点です。

  • 冒頭に目次をつける
  • 要点を抜き出して箇条書きでまとめる
  • 最後に全体の「まとめ」を書く

これら3つには、共通する目的があります。それは「読者が記事を全部読まなくてもいいようにする」という点です。たとえば、「目次」をつければ、読者は自分が読みたい場所だけを最初から探して読むことができます。

また、箇条書きで要点をまとめた部分があれば、記事をすべて読まなくても重要な部分だけをひと目で理解することも可能でしょう。

そして、最後のまとめの部分を見れば、記事全体を読まなくても全体を通して主張したいことを理解することもできます。

「要点まとめ」は、ノウハウ記事の場合は有効

こうした、「記事をすべて読まなくても、内容を理解できるようにする」というポイントは、一見有効そうに思えます。私自身、ネットで調べものをしているとき、検索して出てきた記事をすべて読んでいるかと言えば、そんなことはありません。流し読みで全体をみて、重要な部分だけを抜き出して覚えるようにしています。ですから、こうした「重要な部分だけを抜き出す書き方」が見せ方として有効なことはわかっています。しかし、その点を考慮したとしても「ありとあらゆる場合で、こうした書き方が評価されるか」と言われると、そうでもないと考えているのです。

まず、こうした「重要な部分だけをまとめる書き方」が有効な場合とはどんなときでしょうか?すぐに思いつくパターンとしては、記事の体裁が「ノウハウ」の形を取っているときでしょう。ノウハウとは、何らかの問題・課題について、解決法を提示する文章の形式のことです。たとえば、「薬を使わずにニキビを治す方法」といった記事は「ノウハウ記事」です。

このように、記事がノウハウの体裁を取っている場合、要点をまとめた書き方は有効だと考えられます。なぜなら、読者には記事を検索する明確な目的があり、その目的を果たしたいという一点のみで記事を読んでいるからです。そしてその目的とは、「今抱えている問題・課題を解決したい」ということです。ですから、ノウハウ記事では問題・課題に対する「解決法」を目次・箇条書き・まとめなどの形で提示するのが有効になるのです。

「全体を読むこと自体が目的」の場合、要点はまとめない方が良い

では、「要点をまとめる書き方」が有効ではない場合とは、どのような場合でしょうか?たとえば、推理小説を読むような場合のことを考えてみてください。目次に起きる事件のあらすじや、犯人の名前などが書いてあったら、せっかくこれから楽しんで読もうと思っているのに、興ざめもいいところでしょう。

この推理小説の例のように、「文章自体を読むことが読者の目的である場合」には、要点をまとめる書き方は不適当なのです。

多くの企業が、ただなんとなく「課題解決型(ノウハウ)オウンドメディア」を運営している

実際には、オウンドメディアの大半が「ノウハウ記事」の体裁を取っています

そのため、世の中には要点をまとめた書き方をする記事が溢れているのでしょう。

一部のテクニックを過剰に信奉するのは、マーケティング考える心を奪う

しかし、私はこうした傾向自体はいいことだとは思いません。なぜなら、先に説明したように、要点をまとめた書き方が読者にとって便利であるかどうかは、あくまでも「読者が記事を読む目的による」からです。そういった点を考慮せず、ただ要点をまとめてしまうだけでは、世の中のオウンドメディアの記事はみんな似たような内容になったしまうでしょう。それでは、せっかくネット上でいろいろな人が情報発信できるという、現代のテクノロジーが無意味に使われてしまうことになるからです。

また、「要点をまとめた書き方」がいたずらにもてはやされてしまえば、オウンドメディアの記事の書き方の中で、ノウハウだけが過剰に注目されてしまう原因にもなるでしょう。そうなれば、「オウンドメディアというのは、ノウハウ記事をたくさん作ればいいんだ」と短絡的に考えられてしまうことにもなりかねません。(実際、今のオウンドメディア業界はそうなっていると思いますが・・・)

「要点まとめ」は、あくまで数あるテクニックのうちの一つに過ぎません。そのことをしっかり理解して、自分のマーケティング戦略にあった書き方で記事を書くことが、本当の意味でマーケティングを考えることになるのではないかと私は考えています。