オウンドメディアにはいくつか典型的な成功パターンがあります。今回は3つの基本的な成功パターンのひとつである「バイラル喚起型オウンドメディア」をご紹介しましょう。
バイラル喚起型オウンドメディアの特長と事例
オウンドメディアと同じデジタルメディアの一種として、バイラルメディアというものがあります。バイラルメディアとは「SNSで拡散されるような内容の記事を集めたメディア」のことです。バイラルという言葉には「ウイルスのように爆発的に広がる」というような意味があり、バイラルメディアはSNSによる爆発的な情報拡散をマーケティングに利用します。
バイラル喚起型オウンドメディアは、バイラルメディアと同じようにSNSによる爆発的な記事拡散が目的です。ただしバイラルメディアが他の媒体にもあるニュースを流用したり、さまざまな企業のニュースを紹介するのに対して、バイラル喚起型オウンドメディアはあくまでも自社のマーケティングのために自社製のコンテンツを公開します。
バイラル喚起型オウンドメディアの事例として、LIGブログをご紹介しましょう。オウンドメディアの成功例としてIT業界では知らない人はいない有名なブログです。LIGはウェブサイト制作をメインとする企業ですが、このオウンドメディアを運営して以来多方面にビジネスが展開していきました。
メディア内においては自社の業界に直接関係することばかりでなく、「面白そうなこと」、「ついつい人に話したくなるようなネタ」を記事にして紹介しています。興味がある方はぜひ読んでみて下さい。
バイラル喚起型オウンドメディアのメリット
バイラル喚起型オウンドメディアにおいては、コンテンツの題材は必ずしも自社の業界に直接関係するものでなくても構いません。「SNSで拡散されること」が目的なわけですから、たとえば「ハロウィーンにコスプレをして参加してみよう」といった内容でも全くかまわないわけです。
とにかく記事が拡散されさえすれば、多くの人々に自社の存在をPRすることができます。「面白そうなことをしている会社だな」、「よくわからないけど、こういう会社があるんだな」と思ってもらえたら大成功。自社の認知度やブランドを大きく高められます。そこから新しいビジネスが生まれることもあるでしょう。
「炎上」が起きる可能性も
SNSでの拡散はすべてプラスの効果をもたらすとは限りません。もし、多くの人々が嫌悪感を持つような記事や、社会通念上許されないような内容の記事を公開してしまうと「炎上」が発生して社会全体から袋叩きにあってしまうかもしれません。そうなればブランドの価値を高めるどころか自社の悪評を広める結果になってしまうでしょう。
拡散されるかどうかは運だのみ
どれだけ周到に準備して「面白そうなネタ」を作ったとしても、結局世間にウケるかどうかはわかりません。SNSに広まるかどうかは最後は完全に運です。確実に拡散される方法がない以上、いろいろなネタを常に大量に投稿していき、いつかどれかが当たるのを待つしかありません。
しかも、SNSによる拡散が起きたとしても、それがもたらすのは「企業の認知度の向上・ブランドイメージアップ」だけです。売上が伸びたり、新しい商談が舞い込むこともあるでしょうが、それはさらにさきのことになるでしょう。直ぐに目に見える成果が出るわけではないので、非常に根気のいる成功パターンであるといえます。
最後にもう一度、バイラル喚起型オウンドメディア成功の秘訣を振り返っておきましょう。
- 「面白そうなこと」、「世間に受けそうなこと」をコンテンツにして公開する
- 運が良ければ、コンテンツがSNSで拡散され、企業イメージと認知度がアップする
- 繰り返し続けていくことで、やがて売上げアップにつながる
バイラル喚起型オウンドメディアは決してわかりやすい方法でもなければ、成果が見えやすいやり方でもありません。しかし、「顧客を創造する」というマーケティングの本質に最も近いやり方であるともいえます。これからマーケティングに挑戦する方はぜひ覚えておきましょう。