「記事の質」をどう評価するか?

ブログなどのオウンドメディアを運営している企業は、どこも「他所に負けない、質の高い記事を作りたい」と思っていることでしょう。しかし、実際には記事の良し悪しを見極めるのは簡単ではありません。そこで今回は、記事の質をどのように判断したらいいのかをご紹介したいと思います。

ライターの目から見た「質の高い記事」の特長

まず、文章制作のプロであるライターの目から見た「質の高い記事」とはどのようなものかご説明します。私は、次のような特徴を備えた記事は「質が高い」と考えていいと思っています。

  • 読者に対して、「他所にはない独自の情報」を提供している
  • 情報自体は既知のものだが、「他所にはない独自の切り口」から解説している
  • 読者が「今この瞬間抱えている課題」に対して、すぐにできる解決策を提案している

「他所にはない独自の情報」についてはわかりやすいと思います。たとえば、「◯◯業界の裏事情」といった情報があれば、その業界に興味を持っている人はみな興味を持つことでしょう。

「他所にはない独自の切り口」とは、一般的な解釈とは異なる、斬新な解釈で既存のテーマに切り込んでいる記事のことです。たとえば、「ダイエットするためには食事制限が必要」というのはありふれた解釈だと思います。もし、この点について真逆の解釈をした「ダイエットするためには、好きなものをたくさん食べるのが大事」という記事があったら、どう思うでしょうか?「えっ?どうして?読んでみたい」という気持ちが引き起こされるはずです。

「今この瞬間抱えている課題への解決法を提示する」記事とは、いわゆるノウハウ記事のことです。「ズボラな人でも1時間で部屋が片付く断捨離術」といったタイトルの記事があれば、自分を「ズボラ」だと自覚している人にとっては大きく興味がそそられると思います。

質の高い記事は、「順番に読んで意味が通じる」必要がある

では、以上3つの条件を揃えていれば無条件で「質の高い記事」といえるかというと、そうでもありません。大前提として、「順番に読み進めていったとき、読者に意味が通じる」記事である必要があります。

たとえば、「みかんはオレンジです。みかんは果物です。なので、オレンジの果物はみかんです」という文章があったとしましょう。この文章は「順番に読み進めていったとき、読者に意味が通じる」といえるでしょうか?普通に考えると「いや、りんご以外にオレンジ色の果物なんていくらでもあるだろう」とツッコめてしまうと思います。

これくらいシンプルな文章であれば、読んで意味が通じないと簡単に判断できますが、複雑で長い記事になるとこうはいきません。ですから、読んでいって意味が通じる文章かどうかという点をチェックするのはなかなか容易ではないのです。

記事の質を高めるための3つの解決策

ここまでの話を聞いて、すでにオウンドメディアを運営されている方の中で「自分のメディアの記事は質が高いといえるのか?」と疑問に思った方もいると思います。記事の質を一定に保てるよう、管理するためには次のような方法があります。

  • 「構成指示書」を制作する
  • メディアに担当の編集者・校正者をつける
  • メディアの想定読者とマーケティングの目的を定める

構成指示書とは、「どのような記事を作るか」を定義した仕様書のことです。構成指示書を作ってから記事を書くことで、構成指示書と記事の仕上がりを相互に比較してクオリティをチェックできるようになります。

構成指示書と記事を見比べてチェックする業務を受け持つのが、編集者・校正者です。編集者・校正者は、仕様チェックのほか、「順番に読んで意味が通じるかどうか」のチェックも兼務するため、ライティングの知見があることが望ましいといえるでしょう。

有効な構成指示書をつくるためには、メディアのメインターゲットとなる「想定読者」と、その読者に対して「なにを、どのように訴えかけるのか」を意味する「マーケティングの目的」を定義する必要があります。これらの要件を定めることによって、ライターは記事に何が求められているかをはっきり把握して記事制作を行えるようになります。

記事の目的を明確にすれば、自然と質の高い記事ができる

プロのライターであれば、「こういう記事がほしい」といえば大抵の記事は制作できます。しかし、できあがる記事の質は、「どういう記事がほしいのか」がライターの頭のなかでどれくらい明確になっているかに左右されます。先に説明した3つの解決法はすべて、ほしい記事のイメージを明確化させることにつながる方策です。ライターが記事を書きやすい状況を整えることこそ、質の高い記事を手にいれるための一番の近道だといえるかもしれません。