けものフレンズ1話感想その10:得意なことを見つけ、急速に成長するかばんちゃん

諸注意

前回記事 【1話 その9】アニメ感想「けものフレンズの謎」:「ジャパリパークの掟」から感じる不穏の陰

【Bパート 水飲み場からゲートへと向かうシーン】

ゲートへ向かう目印である「案内板(らしきもの)」に付属していた箱から、かばんちゃんがパークの地図を取り出します。サーバルは案内板は見慣れていたはずですが、箱の中に地図があること、箱から地図を取り出せるということには気がついていなかったようです。このシーンもかばんちゃんの「得意なこと」が描かれるシーンです。

かばんちゃんから地図のことを教えられたサーバルは、いわゆる「猫パンチ」のような手の形で、地図の入った箱に触れますが、地図を取り出すことはできません。このことから、見た目は人に近くても、フレンズの考え方・体の使い方はかなり動物だったころに近いということがわかります。ただし、これがサーバル独自の傾向なのか、フレンズ全体に見られる傾向なのかはまだわかりません。登場人物がここまでで3人しかいないからです。

【Bパート 悲鳴を聞きつけ、ゲートまで急ぐ2人】

地図を見ていた2人ですが、サーバルが悲鳴に気づきます。このシーンでも、サーバルの耳のアップが映され、聴覚が優れていることを示す描写があります。一方、かばんちゃんはまったく悲鳴に気がついておらず、2人の聴力にはかなりの違いがあることがわかります。

かばんちゃんの長所を描いた直後にサーバルの長所を描くことで、2人がお互いの長所で短所をカバーしあう、いいコンビであるということが伝えられます。そしてそれは、この後に遭遇するセルリアンとの戦いで見せる、二人のコンビネーションへの布石でもあります。

【ゲートに巣食う巨大なセルリアンとの戦闘】

後に、悲鳴を上げたのはアードウルフのフレンズであり、セルリアンに捕まって動物に戻ってしまったことがわかりますが、第1話の時点ではそうした描写は描かれません。

サーバル:さっきのあの声・・・。誰か食べられちゃってるかもしれない・・・。

かばん:た、食べられ・・・。

サーバル:助けなきゃ!

最初に遭遇したセルリアンと異なり、ゲートのセルリアンは2人よりも大きく、多くの触手を備えています。また、サーバルは悲鳴を聞いただけで、誰かがセルリアンに食べられるのを見たわけでもありません。にもかかわらず、サーバルはまっすぐセルリアンに向かっていきます。これらの描写から、サーバルはよく言えば正義感と勇気に溢れ、悪く言えば無鉄砲で計画性に乏しい性格であるとわかります。

また、今回はサーバルがかばんちゃん以外のフレンズを守るため、初めて戦おうとするシーンです。生まれたばかりのかばんちゃんだけを特別視して守ろうとしているわけではなく、誰であっても困っている人がいれば、すぐさま助けようとする優しい性格であることも伝わるでしょう。

最初のセルリアン撃退時に、サーバルが爪で石を砕いて撃退したこと。カバとの会話シーンで、セルリアンと戦うときは「石を狙うんですのよ」と言われていたことなどから、セルリアンの弱点が体の何処かにある「石」であることは、これまでの物語の中でも描写されていました。

かばんちゃんが初めて意識的に自らの特技を使った瞬間

今回も当然石を狙おうとするサーバルですが、一見したところ見つかりません。そのため、セルリアンに近寄ったはいいものの攻めあぐねてしまいます。そんなとき、少し離れて物陰に隠れていたかばんちゃんが、セルリアンの背中に石があるのを発見しサーバルに伝えます。

先ほどの、箱から地図を取り出したシーンもかばんちゃんが自らの長所を発揮したシーンですが、本人の自覚としては「偶然、気がついたものを手に取った」というくらいではないでしょうか。それがたまたま、隣りにいたサーバルにはできない特別な技だった、というだけです。

今回は「サーバルを助けるため」、そして「セルリアンという脅威に対抗するため」、自分の得意なことである「物事を観察して、解決策を見つける」という行為を初めて意識的に行った瞬間だと考えられます。最も、かばんちゃん本人はそこまで意識せず、ただサーバルとを助けたい一心で自分に何かできることはないか懸命に考えていただけだったと思われます。

セルリアンのスキを突いて石を狙おうとするサーバルですが、セルリアンはなかなか背中を見せてはくれません。そんなサーバルを助けようと、かばんちゃんはあるアイデアを思いつき、いよいよ1話のクライマックスともいえるあのシーンに至るのですが・・・。

その前にここまでの一連の流れをまとめておきましょう。

僅かなシーンの中で描かれた、かばんちゃんの成長

案内板のシーンから、かばんちゃんが例の行動に移るまでのシーンを、かばんちゃんの動きに注目してみると次のようになります。

  • 箱の中から地図を発見し取り出す
  • サーバルを助けるため、石の位置を発見し伝える
  • セルリアンの注意を引きつけるため、「あの行動」を起こす

まず、箱の中から地図を取り出したシーンですが、これは先に触れたとおり「意識せず、自分の特技を発揮したシーン」であるといえます。このシーンだけでは単にかばんちゃんの「キャラクターとしての特徴」を描いたシーンに過ぎませんが、この後のシーンとの関連を見ていくと面白くなります。

続いて、サーバルを助けるため、セルリアンの石の位置を発見するシーンです。このシーンは先ほどとは異なり「自分の特技を目的のために意識的に使おうと」しています。これまで、自分の得意なことがなにかわからなかったかばんちゃんが、先ほどの地図を取り出すシーン、あるいはそこに至るまでのさばんなちほーの旅を通じて成長し、自分の得意なことを意識的に発揮できるようになってきていることが見て取れます。かばんちゃんをまだ生まれたばかりの「赤ちゃん」と捉えると、短期間に急速な成長を遂げていることが理解できるでしょう。

最後は、セルリアンの注意を引きつけるための「あの行動」についてです。行動自体の中身については次回の解説で触れるとして、今回は前後のシーンとの関連に注目して考察してみたいと思います。石を見つけるシーンで見せた「対象を観察して、解決策を見つける」という行為は、必要となる解決策の「難易度」によって行為自体の難しさが変わります。今回は「体の何処かにある石を探せばいい」だけだったので、行為自体としての難易度は低かったといえるでしょう。

それに対して、その後セルリアンの注意を引きつけるためにとった行動は、「目的のために、素材を加工して道具を作る」という極めて抽象度の高い作業です。「サーバルを助ける」という目的自体は変わっていないのですが、やっていることの内容自体は徐々に高度になっています。

こうしてみると、わずか数分間の中で、かばんちゃんが急速な成長を遂げていることが理解できます。今後のストーリーの中でも、かばんちゃんの成長には目をみはるものがありますが、こうした限られたシーンの中でも段階を踏んでキャラクターの成長が細かく描かれていることが、けものフレンズの大きな魅力だと思います。

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コメント

  1. 匿名(編集後) より:

    不穏な空気を感じたのは、人工物が所々にみられたが、どれも古びていて、人がもう「ジャパリパーク」という広大な施設に来なくなったこと、また、セルリアンというのけものが、人間に何かをしてしまったのではないか、それとも、サンドスターの影響で人間がセルリアンになってしまったのではないか。そして、この当時はかばんちゃんがミライさんの髪の毛のフレンズだとは想像もつかないため、目を覚ましたが記憶がなくなっている人類最後の生き残りなのでは、などといった、疑問点があるためだと私は思います。疑問点や、謎、それらは観測者を不安にさせる要因だといえます。※ニコニコのコメントにもこのような意見がみられました。

  2. 匿名(最後に) より:

    この考察は面白いです。ここまでみてきて、よりけものフレンズの良さが理解できました。ありがとうございます。

    • hifumi1239 より:

      コメントありがとうございます。
      第1話の時点ではまだ劇中で公開されている情報は少ないものの、明らかに人とコミュニケーションが取れるのに、自身はヒトではないサーバルが、
      かばんちゃんを見てもヒトだとわからないなど、視聴者を不安にさせる要素は無数に隠れているといえますね。