けものフレンズ1話感想その5:かばんちゃんが「頑張り屋」と言われた理由

諸注意

前回記事 【1話 その4】アニメ感想「けものフレンズの謎」:サーバルのセリフに対する2つの疑問

※本シリーズでは、主に下記の観点からストーリーを読み解きます。

  • アニメーションを構成する3つの要素:映像・セリフ・音(BGM・SE)
  • ストーリーを構成する3つの要素:作者の演出・キャラクターの演技・世界観

これらが「効果的に組み合わされているか」によって作品の魅力は変わります。

【第1話Aパート セルリアン撃退後の会話シーン】

サーバル:かばんちゃんはすっごい頑張り屋だからきっとすぐ何が得意かわかるよ

このセリフには、2つの疑問点があります。

  • (出会ってまだ数時間程度しか経ってないだろうに)サーバルはなぜかばんちゃんを「頑張り屋」と考えたか?
  • なぜその理由から「頑張り屋」だと考えたのか?

今回は前回に引き続いて、これらの疑問を考察していきます。

わずか5分の中で何が描かれたか?

少なくとも私は、第1話のこのシーンを初めて視聴した段階では、かばんちゃんに対して「頑張り屋」という印象は持ちませんでした。なにしろ、登場からまだ5分位しか経っていませんし、その間やっていたことといえばただ歩いて崖を滑落し、川で溺れそうになっただけです。この程度の描写しかないのに「頑張り屋」だと考える根拠となるような理由が隠されているようには到底思えませんでした。しかし、よくよく観察してみるとサーバルがかばんちゃんを「頑張り屋」だと考えた理由がわかるようになったのです。

全編通してみれば、かばんちゃん=頑張り屋という評価に違和感はない

このあとのストーリーにも共通することですが、基本的にかばんちゃんのキャラクター像には2つの特徴があります。

  • (誰かと協力する場合を除いて)他人の力を頼りにしない
  • 一度やり始めたことは決して諦めない

かばんちゃんは、基本的に何をやるにしても、まずは自分の力だけで解決しようとします。もちろん、ほかのフレンズの力を借りることもありますが、その場合も自分も何らかの役割を果たしたり、知恵を貸したりするなどして「頼り切り」になることはありません。つまり、他人と協力して何かを成し遂げることはあっても、自分がやろうとしていることを他人任せにすることはないのです。

また、一度挑戦したことは決して諦めず、最後までやり遂げようとします。この点についても、今後のストーリーを見ていけば事例には事欠かないでしょう。これら2つの理由を合わせると「頑張り屋」というサーバルの評価は十分に正しいように思われます。そうなると問題は、「ここまでのシーンの中で、そうした面が描かれていたか?」という1点に絞られることになります。

崖と川を移動するシーンに隠された「かばんちゃんの頑張り」

ここでもう一度思い出してほしいのは、崖を降りるシーンです。どちらも難なく移動するサーバルに対して、かばんちゃんは崖を降りるシーンでは恐る恐るゆっくりと降りた後、途中で誤って滑落してしまいます。記憶のないかばんちゃんにとって、崖下りは初めての経験だったでしょうし、かばんちゃんの「動物としての特性」も、決して崖下りに向いているとはいえません。しかし、かばんちゃんはサーバルを頼ることもなく、最後まで自分だけで崖を降りようとしています。川を渡るシーンも同様です。こちらも初めての経験ですが、サーバルを頼ることなく意を決して川に飛び込んでいます。

このようにしてみると、かばんちゃんの「他人を頼らない」、「諦めず最後までやり遂げる」という側面は、今までのシーンの中でキチンと描かれていた、ということがわかるかと思います。崖を降りるシーンと川を渡るシーンには、サーバルとかばんちゃんの「得意なことが違う」という部分を描くためのシーンでもあります。ですから、一番最初に見ただけでもどうしてそのシーンがあるのか、意図は分かるのですが、より深く考察していけば、「実は、かばんちゃんの内面を描くためのシーンでもあった」ということがわかると思います。

「ひとつのシーンにいろいろな意味が付与されていて、繰り返し見るほど面白くなる」

これもけものフレンズという作品の大きな魅力ではないでしょうか?

けものフレンズ1話感想その6:サーバルの隠された能力
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