けものフレンズ6話感想その10:カメレオン対かばんちゃん

諸注意

けものフレンズ6話感想その9:シロサイ対サーバル
【Aパート シロサイ対サーバル】 ライオンとの戦いの練習と称して、部下のオオアルマジロを軽々と吹き飛ば...

【Aパート カメレオン対かばん】

ライオンからの頼みで、ヘラジカの群れに潜入したかばんちゃんたち。合戦に向けたシロサイ対サーバルの練習試合は、サーバルの勝利に終わりました。喜んでいたかばんちゃんでしたが・・・。

アフリカタテガミヤマアラシ:次、カメレオン対かばん、ですぅ。

かばんちゃん:えっ?ぼ、僕もですか?僕、戦い方とかよく・・・。

サーバル:頑張って!かばんちゃん!

かばんちゃん:うう・・・。

パンサーカメレオン:あああ・・・、どうも、でござる。

かばんちゃん:どうも、ご丁寧に。

カメレオン:拙者のような日陰者にそんな・・・。

かばんちゃん:いやいや、僕のような・・・。

カメレオン:いやいや拙者・・・。

ヤマアラシ:はじめ!ですぅ。

カメレオン:おおっ!あ、あ・・・えっえっ・・・。

かばんちゃん:う、うわぁ・・・。

カメレオン:うえええ~~~!(かばんちゃんに襲いかかる)

かばんちゃん:う、うわぁ!うわぁぁぁぁ!!(棒を振り回す)

カメレオン:うええええ!!!(体が透明になっていく)

かばんちゃん:・・・あっ!えいっ!!(棒で風船を叩いて割る)

カメレオン:あっ、うう・・・。

ヤマアラシ:勝者、かばん、ですぅ。

かばんちゃん:うわぁ・・・。あの、なんですか?今の?体が消えていたような?

カメレオン:拙者、体の色を変化させて景色に溶け込めるので。

かばんちゃん:えっ?じゃあ、最初から透明になっておけば・・・。

カメレオン:おおっ!その手があったでござるか!なるほど。

かばんちゃん、初の攻撃シーン

それぞれの特徴を出し合ったシロサイ対サーバルの対決でしたが、今回のカメレオン対かばんもそれに引けを取らない名勝負になります。

サーバル同様、かばんちゃんも自分が戦うことになるとは思っていなかったのか最初は戸惑った様子を見せています。自ら語っているように、かばんちゃんはあまり戦いが得意ではありません。今までのセルリアンとの遭遇でも自ら相手を攻撃するようなことはありませんでした。

日陰者「カメレオン」が持つ体色変化能力

先に、対戦相手であるパンサーカメレオンの特徴を確認しておきましょう。

けものフレンズ6話感想その6:ヘラジカとその部下たちの特徴まとめ
【Aパート ヘラジカとその部下たち】 城でライオンに、合戦のルール変更を提案したかばんちゃん。場面は切...

ヘラジカの部下たちについては、上記の過去記事で簡単に特徴をまとめてあります。パンサーカメレオンもそのときにご紹介しましたが、次のような点が特徴です。

  • 体の色を変えられる(主に生理的、心理的原因で変化する)
  • (フレンズのほうは)忍者のような外見をしている

これらの特徴が今回の対戦でも重要な意味を持ちます。

戦いが不得意なフレンズ同士の対決

土俵の上で対峙したカメレオンとかばんちゃんですが、ともに戦いには自信がないのか恐縮し合うばかりでなかなか叩きを始めようとしませんでした。意を決して先に仕掛けたのはカメレオンのほうでしたが、その掛け声はお世辞にも気合が入っているとはいい難い気の抜けたようなものでした。

しかし、それに対するかばんちゃんも相手から目を背けた状態で棒を振り回すなど、合理的ではない方法で見を守ろうとしています。つまり、この戦いは一言で言うと、「互いに戦いが得意ではないフレンズ同士の戦い」ということになります。

驚いたとき透明になるカメレオンの問題点

かばんちゃんが棒を振り回して威嚇したことにより、カメレオンは思わず身構えて硬直してしまいます。その瞬間、カメレオンの体が足元から背景に溶け込んでいきました。これこそカメレオンの動物としての特徴であった体色変化が発動したシーンでしょう。

このとき注目すべきは、カメレオンがかばんちゃんの威嚇に驚いた瞬間、体色の変化が始まったという点です。カメレオンの体色変化が「心理的要素が原因で起きる」という点を再現しているのだと考えられます。

しかし、「驚いたから体色変化が始まった」ということは、その瞬間のカメレオンはスキだらけになってしまうわけです。体色変化には一定の時間が必要なので、その間カメレオンが自分の身を守れなかれば意味がありません。

実際、かばんちゃんもこの弱点にすぐに気がつき、すかさずカメレオンの風船を割ってしまいました。

戦いを知らないフレンズ=かばんちゃん

続いて、戦いの中でのかばんちゃんの活躍を振り返ってみましょう。6話までの時点で、かばんちゃんの正体はまだ謎のままです。一応、4話の遺跡などから得られた情報から「ヒトではないか」という伏線が暗示された状態ではありますが、現状でほかのフレンズとかばんちゃんの戦い方の違いを見ていきましょう。

5話の中だけでもヘラジカ、オオアルマジロ、シロサイ、サーバルと4人のフレンズが戦い方を披露しています。個人差はあるものの、どのフレンズも攻撃・防御・回避ともにすぐれた能力を発揮しています。

フレンズたちは元々は動物であり、自然界では狩りを始めとして戦いは日常茶飯事です。フレンズたちが基本的な戦い方を身に着けていることに疑問の余地はないでしょう。棒の持ち方に迷っていたサーバルのように、フレンズになったために体の使い方が変わってしまう可能性はあります。しかし、セルリアンという外敵が存在することから自然とフレンズの体にあった戦い方は身についていくと思われます。

このように考えると、かばんちゃんの戦い方がまったくなっていないのは極めて奇妙なことです。かばんちゃんが動物からフレンズになったにしろ、異物からフレンズになったにしろ、「動物だったとき、戦い方は十分に学んでいた」はずです。それなのに、ほとんど戦い方らしい戦い方を知らないのはなぜでしょうか?

体ではなく知恵で戦うかばんちゃんの強み

考えられるのは、「戦う以外の方法で身を守る動物だった」という可能性です。いい例は、かばんちゃんの対戦相手であるカメレオンです。「体色を変化させて環境に溶け込む」という方法で身を守るため、戦いに不慣れなのも納得できるでしょう。

また、かばんちゃんが「ヒト」だったとしても戦いに不慣れなのはうなずけます。ヒトの身体能力は動物の中でも決して低くはないのですが、短時間・狭い範囲における戦いでは訓練を受けてないヒトはほとんどまともに戦うことはできないでしょう。格闘技の試合などがいい例です。素人がいきなり参加したとしても、訓練を受けたプロとは勝負になりません。

では、戦いの中でかばんちゃんにはまったくいいところがなかったのでしょうか?そんなことは決してなく、「体色の変化が始まった瞬間、カメレオンにスキが生まれた」ことに気がついて即座に攻撃し、風船を割ることに成功しています。

かばんちゃんがもし「ヒト」だとすると、このような展開も納得できるところです。人間が狩りなど一人で動物と戦うときは、武器などを用意した上で猟犬、罠などを用いてじっくりと獲物を追い詰めるでしょう。つまり、直接動物と対峙するのは不利なので、相手にスキが生じるまでときを待つという方法で戦うのです。

戦いの後、かばんちゃんがカメレオンにしたアドバイスも、まさにこの観点に則ったものでした。「最初から透明になっておけば相手からは見えないから、有利に戦えるはずだ」というのです。ここから、かばんちゃんはヘラジカの群れが抱えるさまざまな問題点に気がついていくのですが、その解説はまた次回行うことにしましょう。