けものフレンズ9話感想その20:フレンズと「服」という概念

諸注意

けものフレンズ9話感想その19:カピバラとフレンズの入浴マナー
【Bパート カピバラを加えての入浴】 無事温泉にたどり着いたかばんちゃんたちは、お湯と施設の電源が回復しているのを...

【Bパート 服が脱げることを知るフレンズ】

みんなで温泉に入り、体を温めるフレンズたち。しかし、なぜかかばんちゃんは温泉に入るのを躊躇していました。

サーバル:かばんちゃん、なんで入らないの?

かばんちゃん:えっと、これって服のまま入っていいんですか?なんか脱いだほうがいいような。

ギンギツネ:服って何?

かばんちゃん:え、これですけど?

サーバル:ええっ!それってとれるの?私のも?

ギンギツネ:すごい発見だわ!

(サーバルとギンギツネ、服を脱ぎ始める)

かばんちゃん:えっ、あっ、その・・・でも人前で全部脱ぐのもなんというか・・・。

ギンギツネ:へぇー、服を脱ぐとツルツルになるのね。

サーバル:かばんちゃんも脱ぎなよ!

かばんちゃん:えっ、えっ?うわぁぁぁ!!

キタキツネ:お湯が暖かい・・・。

フレンズが着ている服の正体

今回取り上げるシーンは、けものフレンズで大きな謎であったことがひとつ判明することになります。全員が温泉に入っているシーンで、なぜかひとり躊躇して入らないかばんちゃんにサーバルが声をかけました。かばんちゃんが入らない理由としてあげたのは「服のまま入ってもいいのか?」というシンプルな疑問でした。

人間にしてみれば、服を着たまま温泉に入るなどありえないことです。体を洗うことができませんし、服がびしょびしょになってしまい不快感が生じます。ですが、驚くべきことにかばんちゃん以外のフレンズたちはまったくそのことを意識していなかったのです。

そもそも、フレンズたちが着ている服、より正確に言えば「我々から見ると服のように見えるもの」は一体何なのでしょうか。基本的にどのフレンズも、動物であったときの特徴がそのまま反映されたような格好をしています。たとえば、サーバルのスカートにはサーバルキャットと同じ模様がありますし、ギンギツネやキタキツネの服はゆきやまでも温かい「毛皮」になっています。

吉崎観音氏が語ったフレンズにとっての服

実は、この点についてはキャラクターデザインを行った吉崎観音氏が、ニコニコ動画で行われた一挙放送で気になるコメントを残しています。

http://matomame.jp/user/FrenchToast/55272572bc6f0f41e33f?page=3

こちらのリンク先に、当時の吉崎氏のコメントをまとめた画像がありますが、ちょうど「3:52:14」に対象となるコメントがあります。

服は意識した時点で服として脱げるようになります。

それまでは動物としての機能のままです。

このコメントからは非常に多くの示唆が得られます。まず第一に、フレンズたちが身にまとっている服のようなものは、本質的には体の一部なのであろうということがわかるはずです。おそらくは、動物からフレンズになる際、体と一緒に変化するものなのでしょう。

そして、事実上「体の一部」であるがゆえに、フレンズたちはそれが「着脱可能なもの」だと気づかないことになります。言い換えると、日常生活の中では着脱してなくもて違和感は生まれないものだと解釈できます。たとえば、フレンズが体を動かして汗を書いたとしても、その汗は体の内側ではなく「服の外側から」流れるものと考えられます。

同様に、今まで謎だった「フレンズの排泄」についても同じ仮説が立てられます。そのように考えれば、フレンズたちが日常生活で服を脱ぐ必要が無いどころか、それが服であること自体ほぼ意識せず暮らしているのだろう、と理解できるはずです。

そして、「服だと意識した時点で脱げるようになる」とは、彼女たちの服が我々人間が使う衣服と同じような機能も兼ね備えていることを示しています。つまり、もし服の特定の部位だけが汚れたような場合は、必要に応じて洗濯をすることも可能なのでしょう。

いずれにせよ、フレンズに意識によって役割を変える服というのは非常に便利な代物です。たとえば、服ごと温泉に浸かっているサーバルが、温泉から上がって身震いすれば、ちょうど水浴びをした後の犬のように、一瞬で毛=服を乾かすこともできるはずです。逆に、服を脱いで温泉に入ることで、我々が入浴しているときと同じように、肌で直に温泉の温かみを感じることもできるでしょう。

実際、温泉が嫌いだったはずのキタキツネですら、服を脱いだ後に浸かった温泉にいつもとは違った心地よさを感じているようです。

フレンズはヒトから「服」について学ばなかったのか?

なぜかばんちゃんだけが服を「服」として意識できたのでしょうか。理由はシンプルで、おそらくは「服を着る」ということも「道具を作り使う」というヒトの特性のひとつに入っているからでしょう。

ですが、言い換えるとかばんちゃんは最初から自分が着ているものを「服」だと認識していたことになります。だとすると、サーバルと一緒に旅をしてきた間、一度も服を脱がずにいたのは不自然です。もしかしたら、普段昼間サーバルが眠っている間にひとりで水浴びをしたり、体を拭いたりしていたのかもしれません。

前回の考察で触れたように、温泉での入浴マナーなど、一部の知識がヒトからフレンズへ、フレンズから別のフレンズへと伝えられ、パーク内で継承されてきている可能性はあります。しかし、「服(は着たり脱いだりできる)」という点が、少なくともゆきやまちほーでは継承されてこなかったであろうことは注目すべき点です。温泉があるという点で、ほかのちほーよりも「服を脱ぐ必然性」が高いであろうにもかかわらず、ギンギツネやキタキツネは服が脱げることを知りませんでした。

パークに残るヒトの痕跡はかなり少ない?

ここで、「ヒトを楽しませるための施設」について思い返してみましょう。4話で登場し、ツチノコとともに脱出を図った「地下迷宮」については、「オープンする前後の時期に何らかの異変が起きて、パークからヒトがいなくなってしまった」という可能性が示されていました。

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もしかしたら、温泉も同じように施設としてはほぼ完成の状態にあったものの、実際にはほとんどヒトに利用されることなく現在に至っているのかもしれません。

どちらにしてもジャパリパーク、あるいはその内部のアトラクションは、あまり多くのヒトに利用されていないのは間違いないでしょう。ですが、そうなるとパーク内に残るヒトの痕跡はそう多くはないという可能性も十分に考えられます。果たして、かばんちゃんはヒトにつながる手がかりを見つけ出すことができるのでしょうか?