【Aパート タイリクオオカミの怖い話】
ロッジアリツカのお部屋「見晴らし」に宿泊することになったかばんちゃんとサーバル。荷物をおいた後、早速ロッジの中を探検することにしました。
(ロッジは各部屋が異なる建屋になっていて、それぞれが吊橋で連結される作りになっている)
かばんちゃん&サーバル:うわぁーー・・・。
サーバル:今日は眠くない?
かばんちゃん:うん。面白い作りだね。
サーバル:隣の木とかにも行けるよ。・・・あっ。
(サーバル、タイリクオオカミの元へ向かう)
サーバル:何してるの?
タイリクオオカミ:いいところにきたね。私は作家のタイリクオオカミ。原稿の下書き中なんだ。
サーバル:うわー!なにこれなにこれ!
かばんちゃん:これ、なんだか本によく似てますね。
タイリクオオカミ:おっ、詳しいじゃないか。漫画っていうんだよ。また博士に頼んで本にしてもらうんだ。
・・・それより君たち、ここに泊まろうだなんて怖いもの知らずだね。
かばんちゃん:えっ?
タイリクオオカミ:ここは怪奇現象で有名なロッジなんだよ。ここで眠ると夢の中に紫色のセルリアンが出てきてね。
(かばんちゃんとサーバル、息を呑む)
タイリクオオカミ:夢でそのセルリアンに食べられると、二度と夢の中から出られなくなっちゃうんだ。
かばんちゃん&サーバル:ううううう・・・。(恐怖にガタガタと震える)
タイリクオオカミ:おっ、いい顔いただき。
かばんちゃん:えっ?
タイリクオオカミ:ふふっ、うそうそ!冗談だよ!ここは平和なロッジさ。ここでこうしてお客に怖い話をしていると、いいネタができてね。
サーバル:こわいよ!
かばんちゃんたちの「荷物」の正体とは?
サーバルの提案により、かばんちゃんたちはロッジの中を探検することになりました。このとき、サーバルは「荷物をおいたら探検に行こう」と言っています。しかし、この「荷物」とは具体的に何を指すのでしょうか?
実際、このあと探検に出たかばんちゃんの様子を見ると、いつも背負っているカバンはそのままです。ということは、あのかばん以外にもかばんちゃんとサーバルには旅の荷物があるということになります。しかし、この旅の荷物は劇中ではまったく描写されないため、具体的にどんなものなのかは想像するしかありません。
考えられるのは、生きていくために必要不可欠な飲水やじゃぱりまんなどの食料です。また、本編放映後にdアニメストアで公開された、けものフレンズのキャラクターインタビューにおいてかばんちゃんのかばんのなかには何らかの道具がはいっていることが判明しています。
かばんちゃんはよく、かばんの中にラッキービースト(ボス)を入れるなどして運搬しており、元々かばんに何らかの道具がはいっていたのなら、それは必要に応じて出したり仕舞ったりしている可能性があります。具体的な品目は不明ですが、こうした「かばんちゃんのかばんの中身」を荷物として部屋においていった可能性はあります。
ロッジアリツカの元ネタはこれ?
かばんちゃんたちの探検に伴い、ロッジアリツカの構造がより詳細に明らかになりました。随分変わった構造をしているので、特徴を簡単にまとめてご紹介しましょう。
- 各部屋は、木の周囲を取り囲むように造られている
- 部屋同士(木と木の間)は吊橋によってつながれている
- それぞれの部屋(木)が複数の部屋と連結されており、網の目のように全体がつながっている
現実の世界に存在するロッジ(山小屋)は、木の上に造られているわけではないので、このように吊橋で部屋同士を連結させるような構造は極めて珍しいものだといえるでしょう。この点について、次のような仮説を立てている方がいたのでご紹介します。
10話のロッジの構造はピラネージの「牢獄6」が恐らく元ネタ
10話はイギリスのゴシック小説をモチーフにしてそうだし、同じゴシックである「牢獄6」をモチーフにしててもおかしくない#けものフレンズ#けものフレンズ再放送#けものフレンズ考察班 pic.twitter.com/v6EbDmuQ3F— もっけい (@mokkei_uneisine) 2017年8月24日
私は芸術にはあまり詳しくないので、このピラネージという芸術家とその方の作品については知りませんでした。詳しい情報が解説されたサイトがあるので、そちらを合わせてご紹介したいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/wag18470/e/cca4702f8738b6a51258240e6de664b1
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Pirannesi, 1720-78)はヴェネツィア共和国生まれの版画家。古代文明や建築学を学び、のちローマに移って多くの版画を手がけ、名士として知られた。とりわけ連作の『想像による牢獄(Carceri d’invenzione)』は、彼の死後19世紀にロマン主義の観点から多くの小説家にインスピレーションを与えたといわれる。
もしロッジアリツカのデザインが「ピラネージの牢獄」からヒントを得たものだとしたら、今まで見過ごしてきただけでけものフレンズの作中にはほかにも多数の芸術をモチーフとした背景が紛れ込んでいるのかもしれません。
ちなみに、ピラネージの牢獄は現実のものではなく、作者の空想から生まれた産物とのことです。このことは、10話の内容と合わせて考えると、非常に興味深い示唆を含んでいるといえるかもしれません。
新しいフレンズの元動物「タイリクオオカミ」の特徴
ロッジの探検を続ける中、サーバルたちは新しいフレンズである「タイリクオオカミ」と出会いました。新しいフレンズが登場したので、元動物の特徴を簡単にご紹介したいと思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%9F
オオカミはかつて日本にも生息していたため、多くの日本人にとっても馴染み深い動物です。従って、それにまつわるエピソードもたくさんあります。すべて紹介する余裕はないので、いくつかのポイントに絞って簡単にご紹介しましょう。
- 「犬」の起源として馴染み深い(犬はオオカミが家畜化されたもの)
- 牧畜が盛んな地域では家畜を襲う害獣とみなされる
- 農業が盛んな地域では農作物を荒らす獣を追い払う益獣とみなされる
このように、オオカミは犬の存在や産業を通じて人間社会との関わりが深いため、昔から童話や宗教の逸話などの中に多く取り入れられてきました。今回、作中で特に重要な要素としては、「オオカミ少年」の逸話が挙げられます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%98%98%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E5%AD%90%E4%BE%9B
オオカミ少年の寓話は有名なので、改めて説明するのは省くことにします。(気になる方は上記のリンク先をご覧ください)
劇中に登場したフレンズのタイリクオオカミは、「作家」という職業を名乗っています。また、「このロッジには怪奇現象が起きる」という嘘をついてかばんちゃんたちを怖がらせていました。
「オオカミ少年」の寓話では、嘘をついたのは「少年」の方であり、オオカミが嘘をついたわけではありません。しかし、オオカミと嘘という関連性から「嘘をつくフレンズ」としてタイリクオオカミがキャスティングされた可能性は大いにあると思います。