前回記事 【1話 その15】アニメ感想「けものフレンズの謎」:サーバルが爪を研ぎ過ぎて木を切り倒してしまった理由
【Bパート ラッキービースト(ボス)の登場】
いよいよ、けものフレンズ1話のラストとなるラッキービースト(ボス)の登場シーンです。
サーバルが木で爪を研いでいると、誤って木を切り倒してしまいました。すると、その拍子にそばの物陰にいたラッキービースト(ボス)が、2人に向かって近づいてきます。
ラッキービースト:はじめまして、僕はラッキービーストだよ。よろしくね。
かばんちゃん:あっ、どうも。はじめまして、かばんです。・・・どうしたの?サーバルちゃん?
サーバル:うわああああ!しゃべったーー!!
サーバルの叫びとともにOPが始まり、第1話がいよいよ終りを迎えることになります。
ラッキービーストには謎が多い
ここで登場するラッキービーストは、主要キャラクター3人のうち、最後の1人です。この時点においては、2人に対してどのような立ち位置で絡んでくるのかまだわかりません。
ラッキーという言葉は、英語で「従僕」という意味があります。後に判明するように、ラッキービーストは複数存在し、ヒトに対してパークをガイドする、フレンズたちに食料を与える、パークの施設を整備するといった活動を行っています。そのため、ジャパリパークにおける「従僕」の役割を果たしていると言えるでしょう。
しかし、フレンズたちは基本的にラッキービーストのことを「ボス」と呼んでいます。ラッキービーストはゲームや漫画などには登場しない、アニメ初登場のキャラクターであるため不明な点が多く、この理由も明らかになっていません。ごく一部、アフリカオオコノハズク(博士)やワシミミズク(助手)、ツチノコなどのフレンズはボスとは呼ばず、ラッキービーストと呼んでいます。
ラッキービースト=ロボットキャラの役割とは?
ラッキービーストは、一般的なアニメの演出方法に照らし合わせてみるといわゆる「ロボットキャラ」です。従って、次のような特徴があります。
- 一定のルールに従って動くため、その行動から「伏線のほのめかし」に使える
- ルールを逸脱した行動は取らないため、「ストーリー展開のコントロール」に使える
- 感情表現に乏しいことを利用して、逆に感動を生むのに使える
「伏線のほのめかし」については、すでに小さな証拠が出ています。初見のとき、ラッキービーストはサーバルが倒した木の衝撃によって起動したようにみえるのですが、よくよく確認してみると、実はその後の「サーバルちゃん!」というかばんちゃんの声に反応して起動していることがわかります。また、ラッキービーストは自身に話しかけるサーバルを無視してかばんちゃんに話しかけ、その後サーバルはラッキービーストが喋りだしたことに驚いています。このように、「かばんちゃんにだけ反応を示す」という伏線をラッキービーストというキャラクターを使って表現しているのです。
今後のストーリーの中で、ラッキービーストは誤作動と思われる不思議な言動をとったり、たびたび機能停止を起こします。それらは、ストーリー展開に合わせて自動的に起こるので、かばんちゃんやサーバルなど周囲のキャラクターはそうしたラッキービーストが引き起こす状況に対応しなければなりません。このように、ロボットキャラの半自動的なリアクションを利用してストーリーを展開させていく手法は様々な作品で見られます。
ロボットキャラは、一般に人間のキャラクターよりも感情表現に乏しい場合が多いです。感情そのものは「あるが表面には現れない」場合もあれば、ない場合もあります。この点を利用して「感情のないロボットが、あたかも勘定があるかのように振る舞う」、「感情が無いかのように思われたロボットが、あるシーンで感情を表現する」といった方法で感動的なシーンが描かれる場合があります。けものフレンズの場合は12話のあるシーンが印象的でしょう。
ラッキービーストがどういう役割を示すのかはまだわからない
けものフレンズの主要キャラクターに、ロボットキャラであるラッキービーストを登場させたことには、こうした一般的な方法でラッキービーストに何らかの役割を担わせようという目的が見て取れます。
けものフレンズという作品は元々「動物が原作」と言われており、漫画家の吉崎観音氏が動物を元にデザインした擬人化キャラクターが作品の根幹をなしています。ゲーム・漫画・アニメなどさまざまな媒体で作品が作られていますが、同じキャラクターが登場することでひとつの世界観を表現しています。
1話で登場したサーバル以外のフレンズ、そして2話以降登場するフレンズたちも基本的に「それ以前からデザインされていたキャラクター」です。ただし、サーバルを始め、「デザインは同じだが、別の個体=以前別のメディアで登場したキャラクターとは別の人格を持つ」ということが後に判明します。そういう意味では、全キャラクターがアニメ用のオリジナルキャラクターであるといえるかもしれません。
第1話を見てきた時点で、かばんちゃんというキャラクターは「個人の成長」を、サーバルは「友達という関係」を描くために存在するのだな、ということはある程度予想がつきます。しかし、ラッキービーストについてはこの時点では不明な点が多く「一般的なロボットキャラにありがちな役割が与えられるのだろうが、ストーリー上どういう効果を示すのか、現時点では不明」と言わざるをえないでしょう。
ラッキービーストというキャラクターに対する謎を「引き」として残したまま、第1話は終了することになります。
「けものフレンズ1話感想その16:ラッキービーストの謎と「ロボットキャラ」の役割」への1件のフィードバック