私が過去、Webマーケティング業界で働いてきた経験上、多くの企業がオウンドメディアの運営で挫折しています。オウンドメディア制作で最も難しいポイントである「記事制作」。ここで挫折してしまう企業が非常に多いのです。
一体なぜオウンドメディアの記事制作は難しいのでしょうか?
オウンドメディアには500~600の記事コンテンツが必要
ライティングとは、「記事コンテンツの文章を制作する作業」です。多くの企業が「ライティング」ができないためにオウンドメディアの運営を軌道に載せられず挫折しています。
オウンドメディアはメディアですから、必然的に記事が必要です。記事は文章からできていますから、必然的にライティングが必要になるわけですが、これは決して簡単な作業ではありません。まず、オウンドメディアを立ち上げるにあたっては一度に多数の記事を制作する必要があります。一般的にメディアは「500~600記事を増えたあたりからアクセスが目に見えて増えてくる」と言われています。立ち上げ期にはできるだけ早く、これだけの記事数のメディアを作る必要がありますが、そのためには500~600の記事を何とかして書かなければいけません。
ほとんどのマーケティング担当者はライティングの経験がない
記事制作のためにライティングをする方法は大きく分けて2種類。「社内で社員が書く」か、「外部のライターへ委託するか」です。
まず、「社内で社員が書く」場合について考えてみましょう。多くの場合、「言い出しっぺ」、つまり「オウンドメディア運営の担当者」が真っ先に記事を書くことになると思います。おそらく、マーケティング部門やWeb制作部門の担当者になるでしょう。しかし、実はこうした社員は通常、ライティングの経験がほとんどありません。文章を書く機会といえば、ビジネスメールか、社内会議用のプレゼン、あるいは自社ホームページのテキスト、といったところがせいぜいだと思います。
しかし、ライティングはこういったビジネス文書の制作やプレゼン作成とは大きく異なる作業です。まず、絶対的に制作しなければならない文章の量が違います。オウンドメディアの立ち上げ期であれば1日に3~4件、ゆっくりしたペースで進めるとしても1件は1000~2000文字の記事を書かなければいけません。1000文字といえば原稿用紙2.5枚分、1日に3件作るとしたら7.5枚分です。今までろくにライティング経験ない人がいきなりこのような作業を任されたとして対応できるでしょうか?
成果が出るのに時間がかかり、コストがかかるため挫折する会社が多い
以上のような理由から、多くの企業はまず「社内で記事を書く」という方法をやる前から諦めてしまいます。つまり、最初から外部に委託するつもりでオウンドメディアを立ち上げようとするのです。しかし、こちらも決して簡単な作業ではありません。オウンドメディアは、将来的に「自社の顧客になってくれるかもしれない人」を集めるために作られます。つまり、「一定のターゲットに向けて、その人が読んでくれるような記事」を書かなければならないのです。もちろん、プロのライターであればそのような難易度の高い記事制作に対応することはできます。しかし、そのためにはまずメディア運営者が「どういう業界で、どういうサービスを展開しているのか?」、「どんな主張を人々に訴えたいのか」といったこと知らなければいけません。そのためにはメディア運営者であるクライアントとの入念な打ち合わせが必要です。
この時点で「打ち合わせに割く時間が取れない」と挫折してしまうクライアントもいます。また、なんとかライターに必要な情報を与えて、記事がかけたとしましょう。これほど高難度の記事制作ですから単価は当然高くなってしまいます。その高い単価を500~600記事が完成するまで、ひたすら払い続けなければならないのです。しかも、オウンドメディアが成果を上げ始めるのはそれらの記事が完成し、公開した「後」のことです。この時点で「コストが掛かりすぎるし、成果が出るのに時間がかかりすぎる」として挫折してしまう企業も少なくありません。
記事制作にまつわる問題の解決法
以上のように、オウンドメディア制作のボトルネックが「記事制作(ライティング)」にある、と理解していただけたと思います。では、この問題を解決するにはどうしたらいいか考えていきましょう。
問題1.オウンドメディアには大量の記事が必要
解決策:PPC広告等、ペイドメディアを併用する
オウンドメディアの運営に大量の記事が必要なのは、流入経路を検索エンジンに頼っているからです。PPC広告などほかの流入経路を併用すれば、制作する記事数は少なくて済みます。ただし、ペイドメディアの利用にはコストがかかります。
問題2.自社内で記事を書くのは難しい
解決策:「書ける内容」から書いていく
オウンドメディアの運営が挫折する理由の一つに「理想が高すぎる」という点があります。作ろうとするメディアの理想が高すぎるために、書かなければいけない記事の内容が高度になってしまうのです。オウンドメディアは、続けていきさえすればいつか必ず成果がでます。まずは「書ける内容」にしぼって、コツコツと時間をかけて書き始めていったらいかがでしょうか?
問題3.ライティングの外部委託コストが払えない
解決法:社内の人間がライティングのスキルを身につける
多くの企業がやる前から諦めている「ライティングの内製化」ですが、実は決して不可能ではありません。「どんな人でもプロ並みに育てる」のは不可能ですが、一定以上のクオリティの記事をコンスタントの作っていけるスキルを身につけることは可能です。先ほどの「書ける内容から書いていく」というやり方と組み合わせれば、オウンドメディアの運営を完全に内製化できるでしょう。
以上のように、オウンドメディア運営の障害となる「記事制作」にも、それぞれ解決する方法はあります。決して諦めず継続してくことがオウンドメディア成功への道なのです。