けものフレンズ8話感想その6:お披露目を終えたあとのPPP(ペパプ)

諸注意

けものフレンズ8話感想その5:三代目PPPのお披露目
【Aパート 三代目PPP(ペパプ)の登場】 ライブを見るために登った木の上で出会ったマーゲイから、PP...

【Aパート 楽屋裏のPPP(ペパプ)】

ついにファンたちが待つ会場へ姿を現したPPP(ペパプ)のメンバーたち。立ち上げの挨拶はグダグダなものでしたが、会場は大きな盛り上がりを見せました。楽屋裏に帰った彼女たちの姿は・・・。

PPP:ふぁ~。はぁ~。(ステージから楽屋に戻り、ため息をつく)

イワトビペンギン(イワビー):うわー!緊張したー!ダメだー!

ジェンツーペンギン(ジェーン):もっとテンポよくお話できればよかったのですが・・・。

イワビ-:お客さんがいると空気がぜんぜん違うぜ。

ジェーン:全然いつも通り話せなかったです。

ロイヤルペンギン(プリンセス):だらしないわねぇ。あんなにお客さんが見てくれてるのよ?楽しんでこそのアイドルじゃない。ほら、コウテイを見習いなさい!

コウテイペンギン(コウテイ):(立ったまま白目をむいている)

プリンセス&イワビー&ジェーン:・・・気絶してる!

フンボルトペンギン(フルル):ねーねー。

プリンセス&イワビー&ジェーン:ん?

フルル:さっきの丸い石、卵みたいだったよね。かわいー。

プリンセス&イワビー&ジェーン:ああ・・・。

実は緊張していたPPPメンバー

立ち上げのお披露目イベントを終えたPPPメンバーたちの、楽屋裏での様子が描かれます。ステージの上では堂々としていた5人でしたが、皆一様に疲れた表情を見せていました。

特に疲労の色が濃厚なのは、元気のいい挨拶をかましたイワビーと、正統派アイドルといった佇まいを見せていたジェーンの2人。それとは対象的に、プリンセスは他のメンバーを気遣う余裕を見せています。

コウテイはというと、一見まったくどうじていない様子を見せていましたが、実は白目を向いて気絶してしまうほど緊張していたことがわかりました。最後の一人であるフルルは至ってマイペース。まったく関係のない話をしていて、ステージ上での出来事はまったく気にしていないことを伺わせます。

2面性を持つキャラクターの登場

こうした光景は、近年その数を増やしているアイドルを題材としたアニメでは珍しくない光景です。しかし、ヒト化した動物であるフレンズを描く「けものフレンズ」では、こうした描写は珍しいといえます。

今回PPPを通じて描かれたのは、フレンズが何らかの役割を果たそうと奮闘する姿です。その過程で、彼女たちは「アイドルとしての顔」と「素の自分」を使い分けています。けものフレンズにおいてこうした2面性のあるキャラクター像の描き方は斬新な演出です。

類似のものとしては6話に登場したライオンが群れの部下に対するものと、それ以外の相手に対するものとで態度を使い分けていましたが、それ以外では特に似たような傾向は見られません。

ライオンとPPPの違い

ライオンとPPPに共通しているのは、どちらも何らかの役割を果たさなければならない立場に置かれていたという点です。ライオンはプライド(群れ)のリーダーとしての立場、PPPはアイドルという立場に置かれていました。それぞれ求められる要素は異なるものの、「あるべき自分」を演じなければならないという点では共通しています。

ライオンの二面性は、ストーリーの根幹に大きく関わるものではありませんでしたが、PPPのこうした二面性に対する葛藤は今回のお話のベースになっています。従って、この8話を持ってアニメ・けものフレンズに「二面性を持つキャラクター」という新たな要素が加わったことになります。

PPPメンバーそれぞれが己の役割にどのような想いを抱いているのかは、ひとりひとり微妙に異なっています。まず、イワビーとジェーンはアイドルとしての自分に対して同じようなで、「お客さんの前では緊張してしまってうまく自分を表現できない」というものです。これは一般的にも想像しやすい悩みだと思います。

「緊張したプリンセス」を描くシーンが挿入された謎

ほかの3人については、まだ描写も少ないためもう少し後の段階で改めて触れていきたいと思いますが、現時点で気になるのはプリンセスの様子です。

過去の解説でご紹介してきたとおり、かばんちゃんたちが会場に現れ、観客を避けてステージを見るために木に登る直前のシーンで「緊張した面持ちで出番を待つプリンセス」を映すシーンがわざわざ挿入されています。

ほんの一瞬のシーンではありますが、わざわざああいったシーンを挿入したことには何らかの演出上の糸があるはずです。現時点で考えられるのは、「初めての出番を控えて、プリンセスも緊張している」という様子を視聴者に印象づけるためでしょう。

しかし、ステージ上でのプリンセスは挨拶もしっかり。他のメンバーのように緊張した様子をまったく見せていませんでした。楽屋に帰ってきた後もそれは変わりません。イワビーやジェーンを始め、疲れた様子の他のメンバーを元気づける余裕があります。

つまり、最初のシーンで緊張した表情を見せていたプリンセスと、ステージや楽屋で周囲を引っ張っていくプリンセス、この2つのキャラクター像には大きな違いが存在するのです。このプリンセスが持つ独特の2面性こそが、8話について考える上でのメインテーマになっていくのです。