【10話 ろっじ 考察まとめ】
【10話 ろっじ 総合的な解説】
けものフレンズは7話以降、「パークの中に残っているヒトの痕跡を、かばんちゃんが見つけていく」ということがストーリーのテーマになっています。
「ヒトに近いフレンズ」との出会い
「ヒトに近いフレンズ」と協力して問題を解決
「ヒトに近いフレンズ」から、ヒトに関する情報を得る
以上のフォーマットに従って、10話のストーリーを読み解いてみましょう。
「ヒトに近いフレンズ」との出会い
10話の舞台となるロッジは、かつてヒトとフレンズのために作られた宿泊施設でした。ヒトがジャパリパークからいなくなった現在、アリツカゲラによって管理されフレンズ用の宿泊施設として運営されています。
かばんちゃんはロッジで、アリツカゲラ、タイリクオオカミ、アミメキリンという3人のフレンズと出会うことになりました。アリツカゲラはロッジの管理人、タイリクオオカミは漫画作家、アミメキリンは自称探偵というふうに、それぞれ職業を持っている点が「ヒトに近い」といえるフレンズたちです。
「ヒトに近いフレンズ」と協力して問題を解決
かばんちゃんたちはロッジのおいて、謎の白い影(お化け)という未知の脅威と遭遇することになりました。視聴者に対しては、ロッジにはかばんちゃんたち以外のフレンズが存在しないこと、外からのフレンズやセルリアンの侵入がないことが示され、ミステリー作品のように謎解きを楽しめる形で提示されたのが特徴です。
ほかのフレンズたちと協力しながらかばんちゃんは謎解きを進め、白い影の正体が「ラッキービーストによって再生されたミライさんの映像」であるということを特定しました。
「ヒトに近いフレンズ」からヒトに関する情報を得る
今までは、ヒトに近いフレンズと出会うたび、ヒトに関する何らかの手がかりとなる新情報を教えてもらうことができていましたが、今回フレンズからはそうした情報は得られません。その代わりに、劇中ではミライさんのメッセージがところどころで再生され、かばんちゃんたちはその映像の中からヒトに関する新たな情報を得ることができたのです。
ミライさんのメッセージから判明した新事実の中でも特に重要だったのは、「自己修復を繰り返す新種のセルリアン」に関するものでした。またミライさんたちがジャパリパークにいた時代、パークに新種のセルリアンが出現。現在かばんちゃんと旅をしているサーバルとは異なる、別のサーバルを含めたほかのフレンズたちと協力して倒そうと試みたものの、最終的にヒトはパークから去らなければならなくなった・・・という真相が濃厚に示唆されています。
かばんちゃんの新たな目標=パークの外へヒトを探しに行く
ロッジでの問題が解決し、天候も改善したことから、かばんちゃんたちは海、港に到着することができました。しかし、港にも海の周辺にも、ヒトやフレンズの姿はありません。そこでかばんちゃんはサーバルに対して、自分がこれからどうしたいのか、本当の気持を打ち明けることになります。
かばんちゃんの望みとは、船に乗って海を渡り、パークの外に出てヒトを探しに行くことでした。ミライさんのメッセージを聞いたことで「ジャパリパークの中にヒトは残っていない」という確信を深めたかばんちゃんは、ヒトがいる可能性が高いパークの外に向かって旅を続けていきたいと考えたのです。
今後、気になるポイントは、かばんちゃんのこの決断に対して、サーバルがどのように対応するかという点です。サーバルはロッジに滞在中、かばんちゃんに「2人で一緒に暮らすというのはどうだろう」と提案しています。この提案は、サーバルが自分の縄張りであるさばんなちほーを離れて、かばんちゃんと一緒に暮らしてもいい、という意味合いを含んでいると考えられ、かばんちゃんとの旅を通じてサーバルもまた、「動物」から「ヒト」へと近づきつつあることが示されています。
しかし、こうして内面的に変化しているサーバルでも、「ジャパリパークの外に出る」ということは考えなかったはずです。従って、「パークの外へ行きたい」というかばんちゃんに従うのか、それともかばんちゃんと分かれて自身はパークに留まるのか、サーバルはいずれかの決断をくださなくてはなりません。
サーバルがかばんちゃんに応えようとしたその刹那、突如辺りに轟音がとどろきました。かばんちゃんとサーバルの旅が、ひとつの大きなターニングポイントを迎えようとする中、いよいよ物語はクライマックスへと向けて加速していきます。