けものフレンズ4話感想その15:語られなかったツチノコの秘められた能力

 

前回記事:

けものフレンズ4話感想その14:ツチノコがサーバルにだけ厳しい理由

 

【Bパート 赤外線で危険を回避するツチノコ】

遺跡の奥へと進むかばんちゃんたちの前に、分かれ道が現れました。

サーバル:分かれ道だね。

かばんちゃん:どっちだろう?

ツチノコ:出口はこっち・・・。だが、セルリアンがいるな・・・。逆から行くぞ!

サーバル:すごーい!

かばんちゃん:どうやってわかるんですか?

ツチノコ:「ピット器官」・・・だとかで、俺には赤外線が見えるからな。丸見えだ。

 

ヘビ類特有の「熱を感じる能力」、ピット器官

ツチノコは先が見えない分かれ道の間に立ち、右側の通路は出口に近づくもののセルリアンがいること、左側の通路にはセルリアンがおらず、安全なことをすぐに感じ取りました。かばんちゃんやサーバルを驚愕させたこの能力は、本人が語るところによれば「ピット器官」なるものによって発揮できているとのことです。

 

ピット器官とは、サーモグラフィーのように離れた場所の「熱を感じ取ることができる器官」です。下記のリンクには次のようにより詳しく解説されています。

 

https://matome.naver.jp/odai/2142134627972252101

 

ピット器官は、爬虫綱有鱗目ヘビ亜目の構成種が持つ赤外線感知器官。 単にピットとも呼ばれる。

あまり視覚がよくなく夜行性の種が多いヘビ亜目においてピット器官を保有することは、夜間見通しが悪い中でも獲物である小型恒温動物の存在を察知することに役立っている。

 

蛇は爬虫類であり、哺乳類や鳥類などに比べると素早い動きが不得意です。また、地中や岩場など、見通しが良くない環境で暮らすことも多いため、視覚や聴覚に頼っているだけだと安定して獲物を捕まえることができません。ピット器官は熱を頼りに獲物をとらえることができるため、生存に有利な能力として進化の中で獲得されていったと考えられています。

 

出口の方向がわかるのは「ヤコブソン器官」のため?

ツチノコはUMAとはいえ、一般的にはヘビの仲間であると解釈されており、ピット器官を持っていたとしても不思議はありません。フレンズ化した現在では獲物をとらえるために使うことはまずないでしょうが、逆にセルリアンなどの危険から避けるために重宝する能力となっているのでしょう。

 

上に張ったピット器官に関するリンク先には、興味深い記述がありました。蛇にはピット器官だけではなく「ヤコブソン器官」と呼ばれる更なる感覚器官が備わっているというのです。以下に、リンク先にあるヤコブソン器官の説明文を引用します。

 

鋤鼻器(じょびき)とは四肢動物が嗅上皮とは別に持つ嗅覚器官。ヤコブソン器官・ヤコプソン器官とも呼ばれる。開口位置は鼻腔内や口蓋など、その生物群により異なる。

「蛇」特有というわけではないが、トカゲやヘビ等の爬虫類で発達している器官。

 

簡潔に言えば、ヤコブソン器官とは「臭いの方向がわかる器官」だということです。たとえば人間の場合ヤコブソン器官はないので、臭いがしてもその臭いがどの方向から漂ってきたのかはわかりません。

 

ツチノコはピット器官については自分の口から説明しているものの、ヤコブソン器官については特に説明がありません。従って「ツチノコにはヤコブソン器官がある」と劇中で明言されたことはないのですが、ツチノコがヤコブソン器官も持っているであろうことは劇中にそれを示す明確な描写があります。

 

ツチノコは明確に「ヤコブソン器官を持っている」

前回の考察でご紹介したように、ツチノコは「ずんずん遺跡の先に進んでいける理由」について、「外の臭がする方向がわかるから」と答えています。しかも、それを褒めるサーバルに対して「お前の鼻は飾りか(なんでお前はできないんだ)」とツッコミを入れています。

 

このシーンこそ、ツチノコがヤコブソン器官を持っていることを示す明確な描写です。ツチノコが自分の口で「臭いがする方角がわかる」とはっきり明言していますし、「サーバルにはそれができない=ツチノコ特有の能力である」ということも合わせて示されています。つまり、描写を見る限りでは「ツチノコがヤコブソン器官を持っている」ことはほぼ間違いないといっていいのです。

 

ヤコブソン器官だけを知らなかったのはなぜ?

ツチノコがヤコブソン器官を持っているとすると、以下のような謎が生じます。

 

なぜピット器官については説明したのに、ヤコブソン器官についてはしなかったのか?

 

ツチノコはピット器官については得意気に語っているにも関わらず、ヤコブソン器官については「そういう期間を持っている」ということを含めて一切触れていません。というよりも、サーバルに対するリアクション(当然サーバルも「臭いのする方向がわかる」という前提で話している)から、ヤコブソン器官の存在そのものを知らないのではないかと考えられます。

 

「断片的な知識がまばらに残される」ジャパリパーク

ツチノコは遺跡について詳しく、また今後の描写の中で出てくるようにほかにもさまざまなことを知っているフレンズです。しかし、「ピット器官は知っていてもヤコブソン器官は知らない」という描写からわかる通り、「得意分野について網羅的な知識を持っている」というわけではありません。いくつかの知識を断片的に持っているという表現が正しいでしょう。

 

「臭いの方向がわかる」というセリフ、そしてピット器官でセルリアンを避ける描写。これらからは「ツチノコはいろいろな知識を持っているが、それは断片的なものですべての謎の答えを知っているわけではない」ということを視聴者に伝えようとする製作者の意図が感じられます。

 

そしてこの、「断片的な知識がまばらに残されている」という状態はツチノコに限ったことではなく、ジャパリパーク全体についても同じであるということが、今後のストーリーの中で徐々に明らかにされていきます。

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Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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