道の駅の成功要因に学ぶ、うまくいくマーケティングとは?

今や全国どこにでもある「道の駅」。政界主導で作られた箱物でありながら、珍しく地域活性化の成功例と言われています。道の駅の成功要因から、うまくいくマーケティングに共通する条件を探っていきましょう。

道の駅とは?

全国「道の駅」の高度化による自治体の地域振興の方向性

こちらの論文よれば、そもそも道の駅は「全国に無料で使えるトイレがあると、車で出かけたときに便利」というアイデアから生まれたものとのことです。最初は100箇所程度だったものが、2014年の時点で1000箇所を超えるほど増え、定着が進みました。

道の駅の特徴を一言でざっとまとめると以下のようになります。

・駐車場とトイレを完備しており、地域の特産物の販売などを行っている
・初期費用(施設建設費)は国土交通省・自治体が出してくれる
・運営は第三セクターなど、委託を受けた民間団体が行うケースが多い

道の駅の成功事例

道の駅の成功例としては、道の駅発祥の地でもある山口県にある「道の駅 萩しーまーと」や、福岡県にある「道の駅むなかた」などが有名です。

道の駅の成功例一覧(外部リンク)

道の駅 萩しーまーと(山口)

「観光客は捨てる」道の駅の成功のために必要なこと
儲かる「道の駅」、繁盛の秘訣 歴史と文化の街で「食」を発掘

道の駅むなかた(福岡)

道の駅むなかたが集客日本一、売上急上昇出来た理由

道の駅とみうら枇杷倶楽部(千葉)

道の駅、なぜにぎわう? 地元密着型が繁盛

道の駅の成功事例に共通する「成功要因」とは?

うまくいっている道の駅には、次のような共通の「成功要因」があります。

  • 観光客など外からの訪問客を期待せず、「地元客」にターゲットを絞る
  • 事前に市場調査を行い、一定の交通量・見込み客の流入が見込める場所に施設を作る
  • 設備は過剰投資せず、スモールスタートする

来る確率が高い人にターゲットを絞る

まず、「観光客の流入を期待しない」という点は以外に思われるかもしれません。しかし、観光客を始めとした「外の地域の人々」は、遠くはなれているため近くに住む人々に比べてきてくれる可能性は少ないといえます。最初は集客が成功する確率の高い地元民に的を絞ることで、とりあえず「せっかく施設をつくったのに、誰も来てくれない」という状態になるのは防ぐことができるはずです。

地元民の顧客をある程度囲い込むことができれば、自然と「あそこに道の駅があって、流行っているらしい」という評判が広がっていきます。そうすれば、そうした口コミによって他所の地域に住む人々も足を運んでくれるでしょう。このように、「新しいビジネスをスタートした時期は、来てくれる可能性が高い人に的を絞る」というのが重要なポイントです。

一定の「流量」があるところに施設を作る

道の駅をつくるには、一定の広さを持った土地が必要です。とはいえ、いくら土地が余っているからといって辺鄙なところにつくってもお客さんがやってきてくれるかどうかはわかりません。国道や高速道路など、複数の道路のそばで、すでに一定の交通量が定常的に存在している場所を選んで施設をつくれば、「ついでによってみよう」と考えてくれる人をゲットしやすいはずです。

同じことは、一般的なマーケティングでも当てはまります。広告を作って宣伝を行うとき、もっとも重要なのは「掲載する媒体を見てくれる人がどれだけいるか?」です。1万人が見てくれる媒体よりも10万、100万人が見てくれる媒体のほうが当然効果は大きくなります。

新規ビジネスを始めるときは、初期投資は少額から

実は、道の駅にも課題はあります。特に大きな問題が「施設の更新、維持費用」です。うまくいっていない道の駅はもちろん、成功している道の駅ですら、老朽化してきた設備の維持・更新費用をどう捻出するかは悩ましいところです。特に、道の駅の場合、初期費用は自治体や国が負担してくれるケースが多いため、最初はあまり深刻に考えず、あとで維持費・更新費の問題に気がつくというケースが少なくありません。

こうした事態を防ぐには、できるだけ初期費用を抑えた形でスタートするのが懸命です。一般的なビジネスに関しても同じことが言えるでしょう。どれだけうまくいっているビジネスでも継続して行けなければ意味がありません。固定費はできるだけ抑えるのが鉄則です。

このように、道の駅からマーケティングについて学べる教訓は色々あります。特に新しいビジネスを立ち上げたり、新しいマーケティング施策を始めようと考えている方は、こうした成功要因を参考にしてみてはいかがでしょうか?