【Bパート 2人で乗る観覧車】
パーティーが続く中、かばんちゃんとサーバルは2人でベンチに腰掛け、ゆっくりと現在の状況について語り合います。
サーバル:色々あったけど、もうすっかりパークで暮らせてるよね。
かばんちゃん:サーバルちゃんたちのおかげだよ。ごめんね、結局さばんなちほーに戻らず、港で一緒に居てくれて・・・。
サーバル:大丈夫大丈夫。後片付け楽しかったし。すごいよねー溶岩。あれが動いてたときはどうなるかと思った。
かばんちゃん:船があって良かったよ。あれがなかったらどうなってたか・・・。
サーバル:船・・・。やっぱり外でヒトに会ってみたかった?
かばんちゃん:どんな動物なのか知りたいって気持ちはあるけど、こうしてお友達もたくさんできたし、外は・・・いつかでいいかな。
(サーバルの耳、何かを感じ取る。物陰からフェネックが小声で何か囁いている)
サーバル:あっ、あれに乗ってみよう!
かばんちゃん:どうしたの?サーバルちゃん?
サーバル:いいからいいから!
かばんちゃん:なんかサーバルちゃん変だよ?大丈夫?
(サーバルとかばんちゃん、一緒に観覧車に乗る)
かばんちゃん:さ、さ、サーバルちゃん!これ大丈夫?
サーバル:へーきへーき!博士が前に調整したんだって!これもアトラクション、らしいよ。
(かばんちゃんとサーバルが乗っているの隣のゴンドラ、地面に落下する)
かばんちゃん:うわぁぁぁぁ!!
タイリクオオカミ:なんか落ちてきたぞ!
1ヶ月間後片付けをしていた2人
かばんちゃんとサーバルが語り合った内容は、おそらく超巨大セルリアンを倒してから現在に至るまでの1ヶ月間の出来事についてだと考えられます。2人のセリフから、かばんちゃんとサーバルはそのまま港の周辺にとどまり、あたりで溶岩に変化したセルリアンの破片を片付けていたものと考えられます。
超巨大セルリアンは、かなりの質量を持っていました。大半は海中に没してそのまま海岸に流れ着いたとは言え、そのままにしておけば邪魔なのは間違いありません。一箇所に集めるなり、安全な場所に移動させるなりして処分するのが賢明でしょう。
これは、かばんちゃんがこれまで続けてきた旅の目的の延長ではありません。明らかに今までとは異なる異質な行動です。おそらくはパークガイドとなったかばんちゃんが自分の意志で「パークのためにこうした方がいい」と考えて行ったのでしょう。サーバルはそれに付き合っていたのだと考えられます。
パークの外へは「いつか」行ければいい
話題がセルリアン退治で失われてしまった船のことになり、サーバルはかばんちゃんに「(もし船があれば)ヒトを探すためにパークの外へ行ってみたかったか?」と尋ねました。話す前に少し間があることから、意を決しての質問だったのでしょう。
船が沈んでしまったのは、かばんちゃん自らが発案した作戦の結果ですし、サーバルやほかのフレンズたちの責任ではありません。それでもサーバルの目からみれば「自分たちを守るためにかばんちゃんが自分の夢を諦めた」ように映ったことでしょう。何しろ、かばんちゃんが自分の望みを語り、暫定パークガイドになった場面はラッキービースト以外に目撃されていません。
しかし、かばんちゃんは「行きたい気持ちはあるが、友達もたくさんできたので『いつか』でいい」と応えました。かばんちゃんはミライさんに習い、「パークとフレンズを守るために生きる」というふうに自身の生き方を決めていたので、ヒトの暮らしを知ったり、そのためにパークの外に出たりすることは、もはや大きな関心事ではなくなっていたのです。
サーバルとフェネックの企み
ここでサーバルは、かばんちゃんよりも優れた聴覚を活かして、フェネックから何らかの合図を受け取りました。すると唐突にかばんちゃんを誘い、一緒に観覧車に乗ろうとします。このサーバルらしくない行動にかばんちゃんも不審を覚えたようですが、結局は2人で観覧車に乗ることになりました。
サーバルの不審な行動からもわかるように、かばんちゃんをゴンドラに乗せたのは彼女をその場から一時的に遠ざけるためでした。何のためにサーバルがそんなことをしたのか、その答えはこの後すぐにわかります。
ほかのアトラクションは動いている様子はありませんが、観覧車に関してはきちんと回転して高いところまで動いているのが確認できます。「博士が調整したから大丈夫」と語るサーバルでしたが、ちょうど2人が乗っているのと隣のゴンドラが途中で落下してしまい、かばんちゃんを大いに震え上がらせることになります。
この遊園地自体がヒト向けに造られた巨大なアトラクションだと考えられるので、本来はヒトとフレンズが一緒に乗り物に乗ることも想定されていたのでしょう。電力はジャパリカフェと同様、太陽光発電を使えば問題ありません。機器のメンテナンスは博士による調整だけでなくラッキービーストも行っていると考えられますが、流石に部品を作り出すのは難しいはずですから長い年月の間に劣化して故障してしまったとしても無理からぬことでしょう。
もしかしたら、ほかのアトラクションを動かしている様子がないのは、こうした事故が起きてフレンズに危険が及ぶのを防ぐためだったのかもしれません。それなのに、あえて観覧車だけは調整し動かせるようにしているのは、「かばんちゃんを遠ざけるために必要な仕掛けだったから」と考えるのが自然です。そうなると、フェネックだけでなく博士・助手もこの件に絡んでいるということになります。
安全性を考慮するなら、メリーゴーラウンドのようにより危険性が低い乗り物を動かす方法もあったでしょう。それなのにあえて地上から遠く離れる観覧車を選んだということは、できるだけかばんちゃんの目からパーティー会場を見えないようにする意図があったからだと考えられます。観覧車に乗ると、遠くの景色はよく見えますが、直下の位置は見えにくくなります。ジェットコースターなどと比べればスピードも遅いので、事故の危険性も本来は高くなかったはずです。
かばんちゃんをパーティー会場から遠ざけているうちに、フレンズたちが何をしていたのかは後ほど判明します。パークの長である博士・助手、フェネックまでが絡んでいることから、より多くのフレンズが「仕掛け人」になっているであろうことは想像に固くありません。