【Bパート 四神の位置とサンドスター・ロウの正体】
山に向かったかばんちゃんとサーバルは、ミライさんのメッセージから、黒いセルリアンの能力を封じるためには山のフィルターを貼りなおす必要があること、そのために四神が重要な役割を果たすこと、そして、かつてフレンズたちは自力でセルリアンを退治できず、ヒトによる爆撃がパーク上で行われたことなどをを知りました。
一方そのころ、黒いセルリアンとの戦闘を再開したセルリアンハンターたちは・・・。
(ヒグマとリカオン、戦闘により疲労している。キンシコウはそばで倒れている)
ヒグマ:やっと石みせやがった・・・。一気に倒すぞ!
リカオン:了解です。
(場面が変わって、ミライさんのメッセージ)
ミライさん:後日まとめますが、今のところ「いくら攻撃しても山からサンドスター・ロウを吸収すること」、「太陽の方向に向かっているということ」、「海を嫌がっていること」などが見て取れます。
このあたりを・・・あっ、カラカルさん、サーバルさん、行けますか?はい!行きましょう!あっ、四神の場所は、以前記録した「貴重なもの」の場所そのものでした。また、後ほど!
サーバル:ちゃんとわかんなかったけど、この山で前に何かあったのかな?
(麓で大きな音がする。黒いセルリアンが麓で暴れている)
かばんちゃん:さっきのセルリアン・・・!
サーバル:やっぱり助けに行かなきゃ!
かばんちゃん:サーバルちゃん、やっぱり先に山頂に行こう!
サーバル:えっ?
かばんちゃん:ミライさんの言ってたことが・・・、もしかしてあのセルリアン・・・。
(かばんちゃんとサーバル、山頂に到着する)
サーバル:すごい・・・、こんなになってたんだ・・・。あれがサンドスターだね。あっちは・・・なんだろう?
かばんちゃん:ミライさんの話が本当なら、ここに何か・・・たしか、四神って言ってた・・・。サーバルちゃん、なにか変わったものがないか探そう!
サーバル:えっ!
かばんちゃん:ここに何かが・・・今のうちに見つけたほうがいい気がして・・・。
サーバル:わかった!
黒いセルリアンにハンターも苦戦
場面は一度、かばんちゃんたちの元を離れてセルリアンハンターの3人に移ります。セルリアン退治にかけては百戦錬磨のハンターたちですが、今回に関しては旗色が悪いようです。ヒグマとリカオンは疲労した様子で、キンシコウに至っては彼女たちのそばに倒れてしまっています。
ヒグマが「やっと石みせやがった」と言っていることから、当初の予定通り「ある程度ダメージを与えて弱点である石を露出させる」というところまではなんとかたどり着いていたようです。ただし、ここから先が問題で、ミライさんが言うように黒いセルリアンに自己修復能力が備わっているとしたら、おそらく山のフィルターが壊れてしまっているであろう現在、攻撃を続けてもハンターたちは不利な戦いを避けられません。
サンドスター・ロウがセルリアンを生み出した?
ハンターたちの苦戦が続く中、かばんちゃんとサーバルはミライさんのメッセージの続きを聞いていました。ミライさんは黒いセルリアンについて現在わかっていると思われる情報ををメッセージに記録しています。
- いくら攻撃しても山からサンドスター・ロウを吸収する
- 太陽の方向に向かっている
- 海を嫌がっていること
ミライさんのメッセージはこの前後で途切れていますが、おそらくこのときはこれらの情報から黒いセルリアンへの有効な対処法を考えようとしていたのでしょう。
ここまでのシーンで登場した「サンドスター・ロウ」という単語が再び取り上げられました。しかし、前回のサンドスター・ロウ発言がラッキービーストによるものだったのに対して、今回はミライさんが録画した過去のメッセージによるものです。ここで、「サンドスター・ロウ」という共通の単語を通じて現在と過去がリンクすることになります。
ラッキービーストは、「サンドスター・ロウの濃度が高くなっている」として警告を発し、山の様子を見に行こうとしていました。一方で、ミライさんは「黒いセルリアンはサンドスター・ロウを吸収する」と語っています。よって、黒いセルリアンが自己修復のために使っているサンドスター=サンドスター・ロウだと考えていいでしょう。
過去にも、同じくミライさんの発言から「サンドスターには複数の種類がある」という可能性が示唆されていました。もしこれが事実だとするなら、「有機物(動物、動物だったもの)と反応し、フレンズを生み出すサンドスター=通常のサンドスター」、「無機物と反応し、セルリアンを生み出すサンドスター=サンドスター・ロウ」なのではないかとの仮説が成り立ちます。
過去、ミライさんがサンドスターが数種類ある可能性について語っているシーンで、フレンズとセルリアンには意外に共通点が多いことや、すでに劇中で語られているはずの「動物またはその異物とサンドスターからフレンズが生まれる」という点を再び説明していること・・・。そして「セルリアンは無機物と反応して生まれる」という事実を並べて説明していることなども「2種類のサンドスター」に関する仮説を裏付ける証拠として十分なものだと思います。
ミライさんが語った黒いセルリアンの特徴の残る2点、「太陽に向かっていること」、「海を嫌がっていること」という情報は、かばんちゃんによって後に有効に活用されることとなります。
四神の位置=アライさんが追いかけていた「お宝」の場所
前回の考察で取り上げたシーンで、ミライさんは「無事四神を並べ終わったので下山する」と発言しています。従って、このメッセージを録画したのは「四神を並べてフィルターを貼り直し、ジャパリパークへの爆撃をやめさせるためフレンズとともに黒いセルリアンとの戦いに赴く直前」であったと考えられます。
後世のため、あるいは自分たちが失敗してしまったときのために、どうすればいいかヒントになる情報を記録しようとしていたのでしょう。もっとも重要な情報である「四神の位置」について、「以前記録した『きちょうなもの』の場所だった」と語っています。
ミライさんが言う「きちょうなもの」とは何か、劇中では明確な描写はありませんが、おそらくこれではないかと思われるものがセリフの中には登場しています。
7話において、アライさんとフェネックがアメリカビーバーとオグロプレーリードッグの家に立ち寄った際、「帽子を見たボスが喋りだした」として次のようなセリフの説明をしていました。
フェネック:フレンズや私たちにとって、とても大事なものが埋設されていることがわかりました。その場所は・・・。
おそらく、フェネックはともかくとしてアライさんはこの「大事な物」とは、「徳川埋蔵金」のような文字通りの「お宝」だと思っていたことでしょう。(実際、彼女はかばんちゃんを追いかけてくる途中、何度も「お宝」と発言しています)
つまり、アライさんにとって帽子とは「大事な物の位置を確かめるために必要不可欠な鍵」であり、それを持ち去った(アライさん談)黒い影は「帽子泥棒」だということになるのです。
ですが、今回のミライさんのメッセージにある「きちょうなもの=大事な物」なのだとしたら、帽子(とラッキービースト)が指し示すものはアライさんが想像しているようなお宝ではなく、「四神の位置」そのものだということになります。
だからこそ、アライさんとフェネックから「帽子泥棒追跡のため、山に入る許可がほしい」と言われたときの博士と助手は「このまま行かせれば四神の位置がわかるのでは」と期待していたのでしょう。
「黒い粒子=サンドスター・ロウ」がひと目で分かる演出
かばんちゃんたちがミライさんのメッセージを聞き終わった後、麓で黒いセルリアンが暴れていることを示す轟音が鳴り響きます。サーバルはハンターたちを助けに行こうとしますが、フィルターを貼り直し、自己修復を止めない限り勝ち目が薄いことを知っているかばんちゃんは、先に山頂に向かうことを提案します。
山頂には、今まで遠巻きに確認できていた巨大なサンドスターの結晶がありました。そして、火口からはキラキラしたものと黒いものの2種類の粒子が放出されています。
このとき、火口部分をよく見ると円形のフィルターらしきものが確認できるはずです。さらに、一部分だけフィルターが途切れており、黒い粒子はフィルターが破れている箇所からだけ放出されていることも確認できます。キラキラ光る粒子は、サーバルが知っていることからもわかる通り、フレンズを生み出す通常のサンドスターでしょう。黒い方の粒子は、フィルターがない箇所からだけ放出されていること、これまでの情報などから「サンドスター・ロウ」であろうと推定できます。
このように、ミライさんとラッキービーストによる説明セリフこそあるものの、主人公であるかばんちゃんに「視聴者向けの説明セリフを一切喋らせずに状況を説明している」という演出方法は実にスマートで見事だと言わざるをえません。
さらに付け加えると、フィルターの外周はほぼ完全な円形になっています。このことから、ミライさんたちが貼ったフィルター自体が破損したわけではなく、火山活動によってフィルターの外側まで火口が拡大したためにサンドスター・ロウが火口から漏れ出てしまい、黒いセルリアンが再び出現したのだと考えられます。