けものフレンズ10話感想その13:「友達」を優先し始めるサーバル

 

けものフレンズ10話感想その12:フレンズとセルリアンの共通点

 

【Bパート サーバルの内面に起きつつある変化】

ロッジに宿泊し始めてから3日目、雨が振り出発もできず、することもないかばんちゃんたちは、ロッジの中を探検していました。ラッキービーストのメッセージも再生される中、サーバルから、港にたどり着いた後のことを尋ねられました。

 

サーバル:もし、港とか海が本当にかばんちゃんの縄張りだったら、その後どうするの?

かばんちゃん:そうだね。もしヒトがいたら、人がどうやって暮らすのか聞きたいな。
いなかったら・・・うーん、考える。

サーバル:海辺に住むことになっても、サバンナにも遊びに来てよね。
あ、それかビーバーたちみたいに一緒に住むのってどう?楽しそう!

 

「旅の終わり」が見え始めた

前回は、ラッキービーストが再生したミライさんのメッセージで「フレンズとセルリアンの関係」が明らかにされました。今後のストーリーにセルリアンが深く関わってくることを示唆する内容でしたが、今回も引き続き、「今後」に関する内容がテーマとなります。

 

サーバルは、港についたあとどうするのかについて、かばんちゃんに尋ねました。港についたとき、かばんちゃんを待ち受けているであろう状況は2種類考えられます。

 

港(海)の周辺がヒトの縄張りだということが判明する

港(海)の周辺はヒトの縄張りではないことが判明する

 

前者の場合、7話において自身の正体が「ヒト」だと判明して以降のかばんちゃんの旅の目的は果たされる形になります。港に現在ヒトが住んでいようがいまいが、かばんちゃんの旅はそこで「終わり」を迎えることになるでしょう。

 

一方、港がヒトの縄張りではなかったとしたら、かばんちゃんたちの旅は一応続くことにはなります。ただし、ジャパリパークの広さが有限である以上、いつかどこかで旅が終わることに変わりはありません。サーバルがこのようなことを質問したのは、自分とかばんちゃんとの旅がもうすぐ終わりだということを自覚したからでしょう。

 

サーバルは、第一話において生まれたばかりのかばんちゃんに寄り添った、保護者のようなフレンズです。1話のラストにおいてかばんちゃんが一人の力で生きていけるようになったため、その後は友人として旅をともにしてきましたが、本来はサーバルも自身の縄張りであるさばんなちほーで暮らす1フレンズに過ぎません。かばんちゃんの旅が終わるのであれば、元々の自分の縄張りに戻るのは必然と言えます。

 

ところが、サーバルは仮にかばんちゃんが港や海で暮らすことになっても、「さばんなちほーにも寄ってね」と発言しています。さらに、「ビーバーたちのように一緒に暮らそう」とさえ提案しています。この時点でサーバルはたとえ旅が終了したとしてもかばんちゃんと離れる気はないのだということが理解できるはずです。

 

2人は旅を通じて、少なくとも1ヶ月程度は一緒に過ごしていたと考えられます。その間に多くのふれあいを持ち、お互いにより相手のことを気に入っていったと考えられますから、「旅が終わっても一緒にいたい」と考えるのも自然な成り行きだといえるでしょう。

 

ただし、かばんちゃんはともかく、サーバルにとっては「かばんちゃんと一緒に暮らす」ということはイコール「自身の縄張り=さばんなちほーを離れる」ことを意味します。動物にとって、本来自身の縄張りから離れて暮らすのは自然な形ではありません。それなのに、あえてかばんちゃんと一緒に暮らす方を選択するということは、サーバルにとってかばんちゃんはそれだけ大きい存在になっているということでしょう。

 

サーバルが「ヒトに近いフレンズ」になりつつある

これは単純に、サーバルとかばんちゃんの関係性だけの問題ではありません。「フレンズが、自身の動物としての生活環境より、他者との関係を優先した」ということであり、これは劇中始めて確認できる変化だといえます。

 

より正確に言えば、アライさんとフェネックの関係もこれに近いものだと考えられます。彼女たちは特定の目的のためにパーク中を移動しており、特にフェネックに関しては「アライさんについていく」ということが主な行動原理のようにさえ見えます。ただし、彼女たちの場合はどのようにしてそうした行動を取るようになったのか、その経緯が判然としません。

 

かばんちゃんとサーバルは、今まで特定のちほーで動物だったころと同様に暮らしていたフレンズが、別のフレンズと出会い、ほかのちほーを旅した結果、「自分の縄張りに戻るよりも、そのフレンズと一緒にいることを選んだ」という心理的な変化が描かれているという点が重要なのです。

 

野生動物にとっては、「誰と一緒にいるか」ということより、「どこで暮らすか」という点のほうがまちがいなく重要です。自然の中で生きていくためには、生活環境が及ぼす影響の方が大きいからでです。

 

しかし、人間にとってはそうではない場合も少なくありません。就職や転職のために引っ越したり、妊娠・出産といったライフイベントを期に生活環境を一変させる人は大勢います。人は社会的な動物であり、「人間関係の変化によって、住む場所を変える」というパターンのほうが多いのです。

 

サーバルが今回口にしたセリフは、サーバルがかばんちゃんとの関係によって社会性を身に着けつつある=ヒトに近づきつつあるということを示しているのではないでしょうか。

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Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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