けものフレンズ7話感想その10:料理と嘘とフレンズ

 

けものフレンズ7話感想その9:物語のタブーを犯した博士と助手の提案

 

【Aパート 「りょうり」って何?】

 

「かばんちゃんが何の動物なのか教えてほしい」と尋ねるサーバルに対して、博士は「料理をつくること」という条件を提案。料理とは一体何なのか2人に対して語り始めました。

 

博士:料理というのは、食材を組み合わせ、加工し、違う形で味わえるようにしたものです。

助手:なのです。

サーバル:そんなの、ジャパリまんでいいじゃない。美味しいよ?

博士:食べ飽きたのです。たしかにジャパリまんは各個体向けに栄養バッチリでお腹も満たされますが、我々はグルメなので。

助手:せっかくこの体になったので、この体でしか食べられないものを食べたいのです。それに、頭を使うのはエネルギーを使うのです。我々は賢いので。

博士:料理がないと思い出せないかもしれないのです。我々は賢いので。

サーバル:そうなの?

博士:さぁ、我々を満足させてみるのです。

助手:やるですか?やらないですか?

サーバル:たのしそ~!やるよ!

かばんちゃん:う、うん!

 

ジャパリパークでは珍しい「料理」

今回取り上げるシーンは、博士(アフリカオオコノハズク)と助手(ワシミミズク)がかばんちゃんとサーバルの2人に対して、かばんちゃんの正体を教える代わりに要求した「料理」について説明するシーンです。

 

2人は料理という言葉を聞いたとき、それが何なのかまったくわかっていませんでしたこのことから、料理はジャパリパークの普通のフレンズにとって、生活していてもまず遭遇することのない、特別なものであることがわかります。

 

博士と助手は、料理について「食材を組み合わせ、加工し、違う形で味わえるようにしたもの」と説明しました。この定義は我々の世界で通常ある料理と同じなので、博士たちはかばんちゃんたちに何か特別な料理をしろと要求しているわけではないと考えられます。

 

フレンズはジャパリまんだけを食べる

ところが、ここでサーバルが2人に反論しました。「(料理を作らなくても)ジャパリまんを食べればいい」というのです。これまで、劇中では(アルパカのカフェとアクシスジカが舐めていた塩を除き)フレンズたちはみなジャパリまんを食べていました。あれが彼らの栄養源であることは間違いありません。

 

ジャパリまんについては過去に書いた記事の中で触れてきたのでここではあえて繰り返しませんが、サーバルが言うように通常のフレンズはジャパリまんだけで栄養がまかなえているため、「料理を作りたい」、「ほかの食べ物も食べたい」という発想は起きないのでしょう。

 

博士たちが「グルメ」な理由

サーバルの疑問に、博士と助手は「自分たちはグルメだから」、「ジャパリまんは食べ飽きた」と回答しています。まず、グルメだからという部分について考えてみましょう。実際に映像を確認してもらえばわかりますが、このとき自分たちを「グルメ」と称する博士の声は少しトーンが高くなっており、この点を少し「得意げに語っている演技」をしていることがわかります。

 

これには「自分たちがグルメであることを自慢している」、「『グルメ』というサーバルたちには耳慣れない言葉(知識)を披露して自慢している」という2通りの解釈ができますが、この場合はおそらく両方の意味合いが込められているとみていいでしょう。

 

博士と助手はジャパリパーク最高齢?

続く、ジャパリまんは食べ飽きたというセリフですが、これはストレートに解釈すると、「ジャパリまんを食べ飽きるほど、博士と助手は長い時を生きている」と解釈することもできます。あとでご説明しますが、ジャパリ図書館には長い年月の経過を思わせる痕跡が残っており、博士と助手が今までに登場してきたフレンズたちの中でも「最高齢」だったとしても不思議ではありません。

 

ましてや、常日頃困ったフレンズたちに知識を授けているのですから、普通に考えればほかのフレンズより若いというのは不自然です。これらのことからこのセリフは「博士と助手はジャパリパークの中でも年長」という説の有力な証拠だといえるでしょう。

 

嘘をつくフレンズと、つかないフレンズ

最後に、「料理を食べないと(かばんちゃんの正体を)思い出せないかもしれない」というセリフについて考えてみます。これは言うまでもなく博士と助手がかばんちゃんに料理を作らせるための口実であって、実際には料理など食べずともかばんちゃんの正体を判断できることは間違いありません。

 

私はこのシーンを見たとき、「劇中で初めて、フレンズが嘘をついたシーン」かと思いましたが、よくよく考えるとそうではありませんでした。6話においてライオンが「合戦でヘラジカを勝たせてくれ」と頼んでいるシーンがありますが、これはヘラジカを騙そうとしているわけですから、「事実と反することを誰かに伝えて誤認させようとしている」という意味では嘘をついているシーンだといえるでしょう。

 

もっと厳密に、事実と反する台詞を語っているシーンに絞るのであれば、6話のラストでヘラジカから「合戦の新しいルールを考えたのは誰だ?」と尋ねられたとき、ライオンが(本当はかばんちゃんがだと知っているのに)「誰だったかな?」ととぼけているのも「フレンズが嘘をついたシーン」です。

 

いずれにせよ、ライオンや博士、助手などの「嘘をつけるフレンズ」は、サーバルなどそうでないフレンズよりも明らかに頭が良さそうな印象を受けます。元々の知力による差である可能性は当然ありますが、それ以外にも経験知による差=年齢や過ごしてきた環境の違いである可能性もあります。

 

しんりんちほーはジャパリパークの「首都」?

先に述べたとおり、博士と助手は知的水準でいえばおそらくはパーク内最高峰、そしてライオンたちが住むへいげんはその図書館のすぐ近くです。こうした図書館からの距離=環境の違い、がそこに住むフレンズたちの知的水準に影響を与えている可能性があるということです

 

もっとわかりやすく言うのなら、図書館があるしんりんちほーを「ジャパリパークの首都」だと考えてみるといいでしょう。博士と助手は「首脳」であり、しんりんちほーやそれに近いへいげんなどは「都会」、図書館からの距離が遠いさばんなちほーやじゃんぐるちほーは「田舎」となります。

 

そう考えると、ライオンなど「都会」に住むフレンズがサーバルなど「田舎」に住むフレンズよりも文化的(ここでは人間社会に近いという意味)な生活を送り、ヒトに近い考え方(嘘をつくなど)ができるようになっていたとしても不思議はないでしょう。

 

かばんちゃんとサーバルは博士の要求を飲み、料理づくりに挑戦することになりました。このあとの展開はまた次回ご説明しましょう。

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Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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