映画感想:2017年版「オリエント急行殺人事件」(ネタバレなし)

先日、2017年に公開されたケネス・ブラナー監督・主演の映画「オリエント急行殺人事件(原題:Murder on the Orient Express)」を映画館で鑑賞してきました。興味はあるけど、まだ見ていないという方はよろしければ参考にしてみてください。

 

ネタバレありの感想となしの感想は分けて書きたいと思います。今回はネタバレなしの感想をご紹介します。

 

閲覧前の注意:こんな人の感想です。

映画の感想は、見る人の感性によって様々です。その感想を書いた人が自分に近い感性を持っているかいなかによって、解釈の仕方も変わってくるでしょう。私の感想をお伝えする前に、私がどんな人間でどのように本作を見たか、簡単にお伝えしておきたいと思います。

 

映画好き度:年1~2回劇場に行く程度。テレビで放送される映画作品は興味があれば見る。

ミステリー好き度:エルキュール・ポアロ、シャーロック・ホームズ、金田一耕助シリーズは一通り原作を読破済み。最近の作品はほとんど知らない。

 

ポアロ好き度:原作小説のほか、イギリスのロンドン・ウィークエンド・テレビ(London Weekend Television)制作のテレビドラマ版は半分くらい視聴済み。オリエント急行殺人事件の映像作品は、同LWT制作のドラマ版を視聴済み。1974年に公開された劇場版は未視聴。

 

映画の詳細:「オリエント急行殺人事件」2017年版

http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E6%80%A5%E8%A1%8C%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6_(2017%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)

 

あらすじ:

エルサレムで事件を解決した私立探偵のエルキュール・ポワロが乗車していたオリエント急行の車内で殺人事件が発生する。

 

ポワロが聞き込み調査を実施したところ、乗客乗員の全員にアリバイがあったことが判明する。

 

事件の捜査は暗礁に乗り上げたかと思われたが、ポワロは天性の直観と丹念な推理で事件の真相を暴き出していく。しかし、衝撃の真相を前にしてポワロは懊悩することになる。

 

やがて、彼はある決断を下すことになる。

 

(あらすじはWikipediaより、ネタバレになりそうな箇所を一部省いて部分的に引用しています。

 

気難しく、バランスを重視するポアロ

アガサ・クリスティ原作の、名探偵エルキュール・ポアロが活躍するミステリー小説を映像化した作品です。過去、1974年にも映像化されており、そちらの評価も高いとのことですが、私はまだ見たことがないのでそちらとの比較はできませんでした。

 

冒頭は、あらすじにもあるとおりエルサレムで起きた事件の謎解きをポアロが行うところから始まります。10分もない程度の短いシーンですが、主人公のポアロがどんな性格をしているのか、どんな推理を展開するのか、視聴者にわかりやすく伝えるイントロダクションの役割を果たすシーンです。

 

本作でのポアロは、物事のバランスを重視する性格。たとえば、「ものは必ず左右対称でなければ気が済まない」といった神経質な性格をしています。探偵をなりわいとしていることから、その性格は倫理観の判断にも強い影響を与えています。「善と悪」をはっきり区別し、「悪は正義によって罰せられるべき」という強い信念を持つキャラクターとして描かれています。

 

魅力あふれる登場人物たち

ミステリーで重要なのは、スクリーンを彩るキャストたちの魅力あふれる演技です。本作も著名な豪華なキャスティングが売りのひとつのようですが、あいにく私は映画をあまり見ないので、ジョニー・デップとペネロペ・クルスくらいしか知っている役者がいませんでした。

 

しかし、登場人物は皆見事にキャラが立っています。私は洋画を見ているとときどき登場人物の区別がつかなくなることあるのですが(外国人の顔がみんな同じに見えてしまう、というやつ)、今回に関してはそうしたことはありませんでした。ビジュアル的にも、ストーリー上で果たす役割からいっても、登場人物がそれぞれ個性を魅力的に発揮していたからです。

 

変化の絶えない映像構成

ミステリー作品を映像化するにあたって問題となるのが、「場面によって絵面をどう差別化していくか」という点です。特に今回は、列車という密室の中で事件が起きるため、ともすると似たような背景の中で代わり映えのしないシーンが続いていくことになってしまいます。

 

しかし、本作ではカメラアングルや背景の描写を工夫することによって、見事に変化のある場面構成を実現しています。たとえば、ポアロがオリエント急行に乗り込む場面では、車内を他の乗客と会話しながら進むポアロの姿を、社外からカメラが並走して捉え続けるといった手法で絵的な変化をもたらしています。

 

ポアロがオリエント急行に乗り込む前のシーンも、そのほとんどを「移動しながらの会話シーン」とすることで常に映像に変化を与え続けており、見る人を飽きさせません。

 

中でも特に必見なのは、遺体発見シーン、そしてポアロが謎解きを依頼されるシーンの演出なのですが、そちらはネタバレありの感想で語ることにしましょう。

 

ミステリーらしからぬ、ダイナミックなアクションシーン

原作を既読の方ならお分かりいただけると思いますが、本作は非常に独創的なトリックが特徴の作品です。それだけに、映像化しやすい作品であるとも言えるのですが、同時に「映像化したとき、どのように謎解きを見せるのか?」という点が問題になります。

 

本作は、「証拠をコツコツと集めて、理詰めで徐々に犯人を追い詰めていく」というような謎解きの仕方はなされません。むしろ、「次々と新たな事件が起こり、最後まで視聴者を飽きさせないダイナミックな展開がラストまで続く」という作りになっています。アクションシーンも多いので、「体を張って戦うポアロ」が見られる作品でもあります。

 

なので、「緻密で論理的な謎解きが見たい」という方には、もしかしたら合わないかも作品かもしれません。ですが、新たな謎と新たな証拠が次々に現れ、ストーリーが急転直下に展開していく様は、まるでアクション映画のような勢いと見応えがあると言っていいでしょう。

 

特に、雪崩によって列車が停まり、人々が列車内という密室に閉じ込められて以降は、「ポアロが新たな事実を突き止める→新たな事件が発生する」という展開が、ラストまで留まることなく続きます。そのスピーディーで目まぐるしい展開は、「密室で起きた殺人事件」という閉塞感をまったく感じさせません。

 

2017年版「オリエント急行殺人事件」は、こんな人におすすめです。

  • ミステリーや謎解きが好きだけど、退屈なシーンが多いと眠くなってしまう
  • 個性的でクセのある登場人物がたくさん出てくる作品が好き
  • 勧善懲悪のスカッとするストーリーが好き

 

本作のテーマは、「善と悪とはなにか?」という点がひとつの大きなテーマになっています。物事のバランスを重視し、善と悪をきっちり分けて考える気難しい性格のポアロが、事件の真相にいかなる決断を下すのか・・・。それが本作のクライマックスです。興味を持った方は、ぜひ見てみてください。

 

※以下はネタバレありの感想です。閲覧にはご注意ください。

【ネタバレあり】映画感想:2017年版「オリエント急行殺人事件」

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Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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