PDCAサイクルはなぜ回らないのか?マーケティングの視点から考える

PDCAサイクルは、ビジネスを行う上で重要な概念だとされています。しかし、PDCAサイクルの必要性が盛んに論じられていながら、未だに多くの企業で実現できていないのはなぜでしょうか?今回は、マーケティングの視点からPDCAサイクルが回らない理由を考えてみましょう。

 

PDCAサイクルとは、ビジネスの改善を繰り返すアプローチ

まず、PDCAサイクルについて簡単にご説明します。PDCAサイクルとは、ビジネス環境を改善するための一連のプロセスです。Plan-Do-Check-Actの4つのフェーズからなり、それぞれの頭文字を取ってPDCAサイクルと呼ばれています。

 

Planフェーズ

ビジネスにおいて、計画を立てるフェーズです。新製品の開発、新たなターゲットの設定、新たな販路拡大など、新しいことに挑戦するとき、どのようなビジネスを展開するのかを定義します。

 

Doフェーズ

Planフェーズにて定義した計画に基づき、計画を実行するフェーズです。新製品の開発作業、設定したターゲットへのアプローチの開始、新たな商品販売の開始など、具体的な行動を起こします。

 

Checkフェーズ

Doフェーズにて実施した新しいビジネス上のアプローチが、どれだけの成果をもたらしたかを分析するフェーズです。どのような目的でどのような施策を実施し、どんな成果が出たかを数値で確認します。

 

Actフェーズ

Checkフェーズの結果、今回の計画でダメだった点を改善し、次に活かすための行動を起こすフェーズです。Doフェーズにて作った新製品の改良案、ターゲットや販路の修正など、うまく行かなかったところの改善を行います。

 

PDCAサイクルでは、このPlan-Do-Check-Actのフェーズを順番に実行し、Actが終わったら次のPlanに移行します。PDCAサイクルが「サイクル」と呼ばれるのは、PDCAという4つのフェーズを何度も繰り返すのが所以です。もし、理想的に計画→実行→確認→改善というプロセスを何度も繰り返していくことができれば、徐々にビジネスは改善されうまく利益が上がるようになっていくでしょう。

 

PDCAサイクルが回らない理由

このように、PDCAサイクルは有用な考え方なのですが、多くの企業はPDCAサイクルの概念だけは知っていても、上手に回せていません。ではなぜ、PDCAサイクルは回らないのでしょうか?一般的に良くある理由をリストアップしてみました。

  • Planフェーズで計画を立てようとしたが、うまく立てられなかった
  • Doフェーズで計画通り実行しようとしたが、実行が不可能になった
  • Checkフェーズで成果を分析しようとしたが、どのように分析したらいいかわからなかった
  • Actフェーズで改善を行おうとしたが、どのようにしたらいいか改善案が思い浮かばなかった

 

4つのフェーズそれぞれでつまずく理由があります。そのため、どこかひとつのプロセスがうまくいかなかったら、その瞬間PDCAサイクルは回らなくなってしまうのです。

 

ほとんどの企業が、コンサル会社に依頼して解決しようとする

PDCAサイクルが回らなくなってしまったとき、解決する方法はあるのでしょうか?解決策として代表的なものは、「コンサルティング会社に依頼する」という方法です。実際、コンサルティング会社に依頼する資金的な余裕のある企業は、コンサルを依頼して自体の打開を図ろうとします。

 

しかし、私はこの方法には決定的な問題があると思っています。確かにコンサルティングによってPDCAサイクルの問題が解決する会社もあるでしょう。しかし、コンサルティングでは解決できない種類の問題もあります。そうした問題点を抱えている企業は、この方法によってはPDCAサイクルを回せるようにはなりません。

 

先ほどご紹介した、「PDCAサイクルが回らない理由」を思い出して下さい。「4つのフェーズそれぞれに問題が起こりうる」とご説明したはずです。この4つの問題のうち、コンサルティング会社はPlan-Check-Actフェーズにまつわる問題を解決することはできますが、「Doフェーズの問題を解決できない」という決定的な弱点を抱えているのです。

 

コンサル会社では「Doフェーズの問題」を解決できない

なぜ、コンサルティング会社はDoフェーズの問題を解決できないのでしょうか?たとえば、Planフェーズの問題点は「計画を立てようとしたが、うまく立てられなかった」でした。このとき、コンサルティング会社は「代わりに計画を立ててあげる」か、「計画を立てる方法を教えてあげる」ことによって問題を解決できます。

 

同様に、Checkフェーズ、Actフェーズの問題点はそれぞれ、「分析方法がわからない」、「改善方法がわからない」でした。これらについても同様に、「分析・改善案の制作を代行する」、「分析・改善の方法を教える」ことによって、コンサルティング会社は問題を解決できます。

 

では、Doフェーズの問題点はどうでしょうか?Doフェーズで問題だったのは、「計画通りに改善を実行できない」という点でした。この部分だけはどうやってもコンサルティング会社には解決できない問題です。なぜなら、どのようなビジネス上のアプローチであれ、実行するのはPDCAサイクルを回そうとしている会社自身だからです。自社のビジネスの実行を外部に代行させていたのでは、何のためにその会社が存在しているのかわかりません。コンサルティング会社の方も、自分たちは「やり方を教える」か「計画や分析を代行する」のが仕事だと思っています。ですから、実際にDoフェーズに関わる業務を自分で代行しようとはしないでしょう。

 

このようにして、多くの企業ではPDCAサイクルが計画倒れに終わってしまうのです。Doフェーズが挫折してしまう理由は、状況によって様々です。そもそもPlanフェーズで立てた計画に無理があったのかもしれませんし、思わぬアクシデントが起きてしまったのかもしれません。あるいは、上司の一声で全部ひっくり返ってしまった、なんてこともあるでしょう。

 

逆にいえば、「Doフェーズさえうまく行けば、PDCAサイクルは回せる」ともいえます。Doフェーズの問題をどのように解決していけばいいのかは、今後の記事で詳しく解決していきましょう。

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コンテンツの魅どころ

Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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