けものフレンズ2話感想その13:ジャガーのセリフに隠された巨大セルリアンの伏線

 

前回記事:【2話 その12】アニメ感想「けものフレンズの謎」:サーバルが石ころお手玉をやりたがった理由

 

【アイキャッチ コツメカワウソの説明】

とうぶどうぶつこうえん くどうおねえさん(さいたま)により、コツメカワウソの説明が行われます。特長として、

 

  • 好奇心旺盛で人にもすぐ寄ってくる
  • 手はふにふにしていてツメで引っかかれることはない
  • 潜水能力は高く、夏場は昼寝のとき以外常に水に入っている

 

といった情報が示されます。好奇心旺盛・常に水に入っているといった部分はフレンズのキャラクターデザインに活かされていると思われますが、「道具を使って遊ぶのが好き」という点が強調されているのはアニメ独自の設定かもしれません。

【Bパート ジャガーとの出会い】

じゃんぐるちほーの向こうまで行くために、アンイン橋を目指す一行。川を渡りたいのに橋がなく途方にくれていたところ、近くで遊んでいたカワウソから「ジャガーに乗せてもらえばいい」と言われます。ジャガーを待つ一行でしたが、カワウソから教えられた小石のお手玉に夢中になるあまり、うっかりジャガーをやり過ごしてしまうところでした。慌ててジャガーを追いかけ、いかだに乗せて運んでもらうことになります。

 

サーバル:うわー!こんなの初めて!

かばんちゃん:すごいですね!

ジャガー:アンイン橋まで行けばいいんだね。

サーバル:ありがとう、助かったよ。道がなくなって困ってたんだ。

ジャガー:このあたり、川の形ごと変わっちゃうからね。

かばんちゃん:すみません。大変じゃないですか?

ジャガー:ヘーキヘーキ!まっかせて!

ラッキービースト:ジャガーはネコ科では珍しく泳げるんだ。

ジャガー:ふん!そうよー!あれ?ボスって喋れたっけ?

 

Aパートは、ジャガーにおいて行かれそうになった3人が慌てて追いかけるシーンで終了していますが、ジャガーとサーバルの会話から、その後ジャガーに気づいてもらい、事情を説明したことがわかります。このあたり、いちいちそうした場面を描かずに最小限のセリフで視聴者に伝わるよう、工夫されています。

 

フレンズでは珍しく、乗り物を扱うジャガー

コツメカワウソはジャガーについて「乗せてもらえばいい」と事前に言っていましたが、何にどう乗るという説明はしていませんでした。実際には、いかだとも「水上人力車」ともいえるような形状の乗り物をジャガーが引き、川を渡りたいフレンズを運搬しているようです。

 

サーバルは「こんなの初めて」と言っていることから、こうした「乗り物」はジャパリパークにおいては珍しいものであるとわかります。劇中では今後「鳥のフレンズに直接抱えて運んでもらう」、「ジャパリバスなど、人間用の乗り物に乗る」といった描写がありますが、人間用の乗り物に乗ることを例外とすると、フレンズたちは基本的に「自分の足で移動する」か、「誰かに運んでもらう」かの移動手段しか持っていないと解釈できます。そうした意味でこのジャガーが行っている「いかだを使った輸送」はかなり珍しい事例だと言えるでしょう。

 

なぜ「川の形が変わってしまった」のか?

また、ジャガーは「このあたりは川の形ごと変わってしまう」と発言しています。「実際のジャングルでもそういうことがあるのかな?」と気になったので、少し調べてみました。以下、Wikipediaの「熱帯雨林」のページから文章を引用します。

 

熱帯雨林に見られる植物の7割が樹木である。これらの樹木は垂直に3 – 5層からなる層構造をしている。

 

じゃんぐるちほーの特長について、Aパートにおけるラッキービーストによる説明でも「植物が層をなしている」といるという説明がありました。続けて、次のような記述もあります。

 

また、つる植物や着生植物が多いのもこのような森林の特徴である。これらの植物も樹冠生態系を構成する要素となる。樹冠の下は1 – 3層から成る中間層の林冠、最下層の林床が形成されている。

 

こちらも同様にラッキービーストから「ツルを持つ植物が多い」と説明がありました。それに加えて、サーバルとラッキービーストが実際にツルに絡まれるシーンが描かれています。ここまでは今までの考察でも触れた部分です。

 

参照:【2話 その8】アニメ感想「けものフレンズの謎」:ジャングルの奥地へ進む様子に見る演出方法

 

ツル植物が増えたのと、川の形が変わったのは同じ理由によるもの

今回はそれらに加えて、さらに気になる記述を見つけました。引き続きWikipediaの記述を引用します。

 

熱帯雨林では、濃い植生のために日射が遮られ、地表付近では下草が生長しにくい。 これは、人間も含めた大型動物にとっては移動に適した地形となる。 これが、何らかの理由(伐採、山火事など)によって日射量が得られるようになった場合、いわゆるジャングルと呼ばれる低木・つる植物の豊富な、中を歩きにくい植生となる。

 

この記述によれば、「ジャングルでツル植物が増えるのは何らかの理由で日射量が得られるようになった場合」ということになります。

 

劇中では、じゃんぐるちほーに入ったばかりのころはツル植物も少なく、足場も整備されて歩きやすい印象でした。ところが、次第にツル植物が増えていき、足場も崩れて歩きにくくなっていきます。つまり、じゃんぐるちほーの奥地、川のそばのあたりではジャングルの何層にもなる植物が取り除かれるような、「何らかの理由」が生じた可能性がある、ということです。

 

Wikipediaの「熱帯雨林」のページには、さらに裏付ける記述が書かれています。

 

土壌の発達は良くない。落葉や腐植の層はほとんどない。これは、気温が高くて分解速度が速いためと、主としてシロアリが、落葉を素早く裁断して自分の巣に持ち込んでしまうからである。

(中略)

養分は土壌に蓄積するのではなく、速い速度で生物間を循環している。そのために熱帯雨林の土壌は薄く、一旦広い面積で植生を失うと、多雨の影響もあって急速に土壌流失を起こし、砂漠化してしまいやすい。

 

先ほどのジャガーのセリフをもう一度振り返ってみましょう。「このあたりは川の形ごと変わってしまう」というセリフです。じゃんぐるちほーのカワウソの遊び場付近は、映像からも確認できるとおり、「多層の植物が失われ、十分な日射量が得られているところ」です。だからこそ、途中ではツル植物が鬱蒼と生い茂っていたのでしょう。それだけではなく、土壌流出=雨季の氾濫や洪水による地形の変化も起きやすくなっていたと考えられます。

 

「川の形が変わった原因」は巨大セルリアンによるものだった?

このことからは、2つのことがわかります。

 

  • けものフレンズのじゃんぐるちほーで「地形が変わっていた部分」は、ちゃんと科学的な理由付けがしっかりしていた
  • 「地形が変わっていた部分」では、一時的に植生が失われるような何らかの事件が起きた可能性がある

 

以前の考察では、「じゃんぐるが鬱蒼としてきたことを演出でしっかり表現している」とお伝えしましたが、実はそのシーンが「地形が変わっていることの科学的裏付け」にもなっていたとは驚きでした。

 

また、このあたりで植生が失われ、地形が変わるきっかけになった「理由」とは何なのか気になるところです。全編視聴後であれば、後に登場する「巨大セルリアン」もしくは巨大セルリアンを生み出したサンドスターの影響であろう、という想像はできますが、まだ巨大セルリアンの影も形も登場しないころから、こうした伏線が散りばめてあるとは思いませんでした。

 

現実の動物や現実の気候を元にした詳細な設定が、ゆったりした雰囲気の中に妙なリアリティを与えているといえるでしょう。

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Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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