前回記事:【2話 その11】アニメ感想「けものフレンズの謎」:初見時に抱く「不安な気持ち」の正体とは?
【Aパート カワウソと一緒にジャガーを待つシーン】
カワウソから、「ジャガーに乗せてもらえば川を渡れる」という情報を聞いたかばんちゃんとサーバル。カワウソと一緒に川の土手でジャガーが通りかかるのを待つことになります。暇つぶしに、石でお手玉を始めるカワウソを見て、「私もやる!」とサーバルも挑戦することに・・・。かばんちゃんも加わり、お手玉に夢中になる3人の後ろをジャガーが通り過ぎていきます。
前回の記事で、「シリアスなシーンを、シリアスなのかギャグなのかわかりにくくしているのがけものフレンズの特長」だとお話しました。では、この「3人でお手玉をするシーン」は、ギャグシーンなのでしょうか?それともシリアスなシーンなのでしょうか?
「遊びに夢中になっているうちに、ジャガーにおいていかれてしまう」という点に注目すれば、ギャグシーンのようにも見えます。一方、このシーンには実は重要な情報も隠されています。
サーバルはなぜお手玉に挑戦したのか?
まず、カワウソはひとつの石でお手玉をします。前回の記事でも書いたとおり、右手にある石を左手に移すだけですからあまりにも簡単で全く面白そうには見えません。しかし、それを見ていたサーバルは「楽しそう!私もやる!」と言い出します。猫が猫じゃらしに夢中になる姿に人が癒やされるように、フレンズの純真さを表すシーンとして解釈することもできるでしょう。
逆に、シリアスに解釈するとしたら、「サーバルはなぜ自分もやると言い出したのか?」という点が気になります。この後サーバルは実際にお手玉に挑戦しますが、2回挑戦して2回とも石を落としてしまいます。一方、かばんちゃんは石を落とすことなく成功させています。普段からお手玉をやっているであろうカワウソは3つの石でジャグリングをするという大技を見せてくれます。
このように、サーバルは決して「手でものを持つ」のが得意なフレンズではありません。1話でセルリアンと戦ったときも、パークの地図を箱から取り出そうとしたときも指を丸めたいわゆる「猫の手」の状態で触ろうとしており、そもそも「手のひらにものを乗せる」という行為に慣れていないことがわかります。そんな自分が得意でもないことになぜ挑戦しようとしたのか?が疑問だということです。
サーバルは、「未知の課題をクリアすること」に燃える性格
これまでサーバルがとってきた行動と合わせて考えると、サーバルは「未知の課題をクリアすることに燃える性格」であるということがわかります。1話では自分の縄張りに入ってきたかばんちゃんに、いきなり狩りごっこを仕掛けていますし、セルリアンとの戦闘にも積極的で、自分よりサイズが大きい相手にも決して臆することがありません。
それどころか、「かばんちゃんを守らなければいけない」、「誰かがセルリアンに食べられてしまっているかもしれない」といった状況になると、通常以上にやる気を見せ、闘志を剥き出しにします。お手玉に対する反応も、こうした性格から来るものであると解釈できるでしょう。
つまり、カワウソが提供した「手を使って道具で遊ぶ」という未知の課題に対して、サーバルは「挑戦したい」という気持ちが燃え上がったために「面白そう」と感じた、ということです。手でものを持つことは、サーバルにとって決して得意なことではありません。しかし、「未知の課題をクリアしたい」という気持ちがそれを上回ったために挑戦したのです。サーバルのこうした性格を示す傾向は、今後もたくさん出てきます。
サーバルは最も複雑なキャラクター
これまで登場してきたフレンズを振り返ると、かばんちゃんは「物事を観察し、解決策を見つける」、1話で登場したカバは「心配性でおせっかい焼き」という性質をもっていました。そして、2話で登場したカワウソは「道具を使って遊ぶのが好き」というキャラクター付けがなされています。今回、それに加えて今まで比較的とらえどころがなかったサーバルのキャラクター性が明らかになりました。
しかし、かばんちゃんも含め、ほかのフレンズの性格・性質は比較的わかりやすいものの、サーバルに関しては「未知の課題に燃える」という部分がわかっただけでは十分に理解できたとはいえません。私は、けものフレンズの全登場キャラクターの中でサーバルが最も複雑な内面を持つキャラクターだと思っています。そして、サーバルはほとんど自分の気持ちをセリフとして語ることがありません。ですから、サーバルの内面を想像するには表情や演技から多くの情報を読み取る必要があります。
主要キャラクターでありながら、非常にとらえどころが難しいサーバルに行動に、今後も注目していきたいと思います。
「けものフレンズ2話感想その12:サーバルが石ころお手玉をやりたがった理由」への1件のフィードバック