バーチャルYoutuberをメインキャストに据えたアニメ番組「バーチャルさんはみている」の放送が2018年1月9日にスタートしました。この記事では、その第1話の大まかな内容と私の感想をまとめます。
「バーチャルさんはみている」1話のあらすじ
ばあちゃるのオープニングトーク
主要メンバー(ミライアカリ、電脳少女シロ、田中ヒメ、鈴木ヒナ、猫宮ひなた、月ノ美兎)
の登場。6人の掛け合いからOPテーマへ。
VIRTUAL WARS
ゲーム部のコント。 親指をかんだ部員たちが巨大化する。
バーチャルグランドマザー
小林幸子による「流言飛語」の解説。
レッツゴー!教室
教室を舞台に日常トークをしていると外で火山が爆発。マグマ(ピーナッツくん)に飲み込まれる。
富士アオイ公園
富士葵とバーチャルゴリラの掛け合い。
てーへんだ!アカリちゃん
田中ヒメとミライアカリがお悩み相談。「待ち合わせに遅れて相手を怒らせてしまったら?」
ひなたちゃんは登校中
登校中にPUBGの脳内シミュレーションに浸る猫宮ひなた。ミライアカリに話しかけられとっさにごまかす。
うんちく横丁
シロが月ノ美兎にチョコのうんちくを披露。
みんなのバーチャルさんはみている:未玖リラ らぁら
視聴者の作ったバーチャルキャラクターを募集するコーナー。
委員長、3時です
月ノ美兎が剣持刀也に2択クイズを出題。
ユニティちゃんはコロがりたい
大鳥こはく(ユニティちゃん)がFCのゲーム「いっき」をプレイ。
ケリンスレイヤー
HimeHinaがケブリン退治に洞窟に侵入。何者かが姿を現す。
みんなのバーチャルさんはみている:絵描魔くる
ときのそらがシスタークレアに悩み相談。ばあちゃるも登場。
エンディングトーク
メイン6人が視聴者からの質問に回答。「6人の中で1番モテるのは?」
次回予告:もちひよこ
ウゴウゴルーガやポプテピピックを彷彿とさせる雰囲気
1話ということもあって、通常であれば世界観や登場人物の説明からスタートするところですが、それぞれつながりのないショートコーナーが特に説明のないまま続いていく様子から、ウゴウゴルーガやポプテピピックのようだととらえる視聴者が多かったようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%B4%E3%82%A6%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%AC
私自身も初見で「明らかにポプテピピックを意識しているな」と感じました。直近で最も話題になり、かつVtuberとの親和性が高い作品だと思うので、制作陣がそれを意識していたとしても当然といえば当然かもしれません。
主要6名の「キャラ付け」が狙い
1話全体の内容としても、各コーナーの性質としても、「主要メンバー6人の個性を視聴者に理解してもらう(キャラを立てる)」ことを目的にしていたように感じられました。おおよそ、以下のようなキャラ付けをしようとしていたのではないでしょうか?
ミライアカリ:シモネタ
電脳少女シロ:サイコ
田中ヒメ:コミカルな動き
鈴木ヒナ:ヒメのツッコミ役
猫宮ひなた:PUBG脳
月ノ美兎:狂気
これらはそれぞれのVtuberのひとつの側面に過ぎませんが、アニメの登場人物=キャラクターとして登場する以上は視聴者に強い印象を残しつつ、個々のVtuberに興味を持ってもらうためにこのような形になったのでしょう。
本作がVtuber業界全体の認知拡大を目的としているのは、ほぼ自明だといって差し支えないはずです。「大前提として主要6名の認知を拡大しつつ、可能ならその他のメンバーの認知拡大も狙っていく」という方針だと推測します。
主要メンバー6人が揃って登場するコーナー以外は、「個々のメンバーの個性にフォーカスした内容」になっています。何事も「PUBG的に」考えてしまう猫宮ひなたさんの脳内を描写した「ひなたちゃんは登校中」、月ノ美兎さんの面白エピソードを紹介した「委員長、3時です」などはわかりやすいでしょう。
逆に主要メンバーが揃う「レッツゴー!教室」などは、6人を象徴化されたキャラクターとして一般的な「日常アニメ」のように立ち回らせていると思います。ちょうどポプテピピックにおいても、各回にメインとなるストーリーパートとその他のサブパートがあったのと同じような構成だと考えられます。
Vtuberならではの「動き」の面白さに注目したい
私が個人的に面白かったところは、「レッツゴー!教室」で教室にマグマが迫っていることがわかって6人の顔がカット・インされたとき、月ノ美兎さんが一人だけ平然としているシーンや、「てーへんだ!アカリちゃん」でのミライアカリさん、田中ヒメさんのコミカルな動きなどです。バーチャルグランドマザーは、小林幸子さんが動いているだけで面白かったですし、「聞いてよ!しすたぁ!」は「心に寄り添って納屋位を聞くはずのシスターが、なぜか現実的な解決法を伝授する」という構成がユニークだと感じました。
Vtuberの特性として(今回登場しているVtuberは全員)「3Dモデルである」という点があります。作画によって作られるアニメやモーションキャプチャ以外の手段によって動かされるCGとは明確に異なる部分がそこだと思うので「Vtuberの動きによる面白さ」を追求していくといろいろな可能性があるのではないかと感じました。その意味では、特に動きの面白さが特徴的な田中ヒメさんに期待したいところです。
SNSなどでは、「Vtuberを知っていれば面白いが、そうでない初見の人にはわかりにくいのではないか」との危惧する声が見られましたが、私は特にその点は心配していません。
「初見へのわかりにくさ」はそれほど気にしなくていい?
本作は放送時間帯が深夜であり、主要な視聴者層も[アニメ好き」の人たちであるはずです。最近のアニメファンは、作品を視聴してわからない部分があったら、自分で検索して調べたり、SNSをチェックするなどして情報収集を行う人が多いと思われるため、作品中ですべて丁寧に説明してしまうよりも「わかる人にはわかる」ようにつくっておき、疑問に思った部分を調べてもらったほうがより知的好奇心を掻き立てられるという意義もあると思います。
むしろ、劇中に散りばめられた小ネタが最初は理解できなくても後でその意味を理解し「元ネタ」である「Vtuberたちの動画」を見てもらったほうがより意義深いのではないでしょうか。
「バーチャルさんはみている」2話以降の内容にも注目していきたいと思います。