オウンドメディアにおける一般的な記事作成の流れ

近年は、ものやサービスを購入する際、あらかじめネットで下調べをしてから購入するのが当たり前になってきました。そのため、多くの企業がオウンドメディア(自社の運営メディア)を持ち、自社ブランドの認知拡大に役立てています。

 

オウンドメディアは、基本的にコンテンツ(記事)の集合体です。オウンドメディアを立ち上げ、運営していくためには、継続的に一定量の記事を作成し続ける仕組みを構築しなければなりません。そこで今回は、一般的なオウンドメディアではどのような流れで記事作成を進めているのがご説明したいと思います。

 

 

オウンドメディアの記事制作に関わる3つの主体

オウンドメディアの記事作成には、次の3つの主体が関わります。

 

①メディア運営者

オウンドメディアを必要とし、立ち上げ・運用を行う企業です。

②広告代理店・Web制作会社

メディア運営者からの依頼を受けて、実際のオウンドメディア運営業務を主導する存在です。

③ライター

メディア運営者、または広告代理店からの依頼を受けて、記事のライティングを行う存在です。

 

記事作成の流れと必要な工程

オウンドメディアの一般的な記事作成の流れと、その過程で必要になる各工程を順番にご紹介しましょう。それぞれの工程によって担当する主体が異なります。

 

1.オウンドメディア全体のプランニング

  • メディアの運営方針を決定する
  • 大まかなメディアデザイン、記事のイメージを決定する
  • 予算・スケジュールを決定する

 

主な担当:メディア運営者

 

オウンドメディアの立ち上げは、そもそも何の目的でどういったメディアを作るのかを考えるところからスタートします。それらが決まったら、具体的にどんな記事・カテゴリーが必要か、メディアのデザインはどうするのかといった部分も決定し、それらの作業をどういったスケジュールで進めていくのか、予算配分を含めて計画を立てます。これらはメディアの立ち上げを目指す運営者自身が決めなくてはなりません。

 

中には、「とにかくネットを使った集客を始めてみたくてオウンドメディアを立ち上げたいが、やったことがないので何から手を付けたらいいのかわからない」というメディア運営者もいます。そういった企業が自力でオウンドメディアを立ち上げるのは困難です。なので、そうした企業は広告代理店やWeb制作会社などに相談しながらこれらのプロセスを進めることもあります。

 

オウンドメディア制作の流れ

 

2.コンテンツ作成の準備

  • オウンドメディアの文章・素材・デザインを決定する
  • 記事を企画し、仕様を決定する
  • 記事のディレクション・ライターのマネジメントを行う

 

主な担当:広告代理店・Web制作会社

 

オウンドメディアの方針が決まったら、続いてコンテンツ(記事)とデザインを決定します。基本的にオウンドメディアを構成する要素は「文章・素材・レイアウト」の3つ。これらの仕様を順番に決定していくことになります。

 

文章であれば、「見出しの数はいくつか」、「全体の文字数をいくつにするか」、「まとめ文の書き方はどうするか、というふうに、定義するべきことは多岐にわたります。素材であれば、「写真を用いるのかイラストを用いるのか」、「有料と無料、どちらの画像を用いるのか」、「グラフや統計データなどの引用元はどうするか」といった点を定義しなければなりません。レイアウトは、トップページのレイアウトやヘッダー・フッターのデザイン、記事のカテゴリ分けや個別記事のデザイン(3カラム・2カラム)などの点を決定します。

 

もうひとつ広告代理店・Web制作会社の重要な役割に、記事のディレクションとライターのマネジメントがあります。記事はこれらの企業が雇うライターによって作成されることになりますが、作成された記事が仕様に則っているかチェックするのがディレクションです。

 

ライターのマネジメントとは、ライターへの指示やスケジュール管理などの一連の業務のことを指します。私はこれがオウンドメディア運営において最も重要な工程だと考えています。

 

3.記事(コンテンツ)作成

  • 定められた仕様・スケジュールに従って記事を作成する

主な担当:ライター

 

オウンドメディアを構成する記事を作成するのがライターの仕事です。作成する記事はどんなものでもいいと言うわけではなく、これ以前の工程ですでに決定された仕様に合わせた記事を、スケジュールに合わせて作成しなければなりません。ライターの役割はシンプルではありますが、必要なスキルを備えた人員でなければこなすことのできない仕事です。

 

ここまでで、「メディア運営者、広告代理店・Web制作会社、ライター」という、オウンドメディア運営に関連する3つの主体それぞれの役割をご紹介してきました。実際には、こうした役割分担はあくまでも一般的なものにすぎません。

 

たとえば、「広告代理店が自社PRのためにオウンドメディアを運営する場合」は、メディア運営者自身が広告代理店が果たす役割も兼任することになります。また、「広告代理店が社内にライターを抱えている場合」などは、広告代理店がライターの役割までをカバーすることになるでしょう。このように、記事作成の各工程をどの主体がこなすかは、状況により多少異なる場合もあります。

 

ここまでは、担当別に各工程をぶつ切りにしてみてきたので、今度はオウンドメディアの記事作成のスタートから終わりまでを一連の流れとして再確認してみましょう。

 

オウンドメディア立ち上げ時期の記事作成

立ち上げ時期には、ある程度まとまった数量のコンテンツを一気に作り、オウンドメディアを充実させた状態で公開するのが一般的です。よくある流れは次のようになります。

 

1.オウンドメディア全体のプランニング

  • メディアの運営方針を決定する
  • 大まかなメディアデザイン、記事のイメージを決定する
  • 予算・スケジュールを決定する

 

2.コンテンツ作成の準備

  • オウンドメディアの文章・素材・デザインを決定する
  • 記事を企画し、仕様を決定する
  • 記事のディレクション・ライターのマネジメントを行う

3.記事(コンテンツ)作成

  • 定められた仕様・スケジュールに従って記事を作成する

 

立ち上げ時期にはこれら、ご紹介してきた記事作成の流れを一通り続けてこなすことになります。作成する記事の数量はメディア運営者の予算、想定されるメディアボリュームなどにより異なりますが、20~50記事程度をまとめて作り、それ以上の記事が必要の場合はメディアを公開した後、定期的に追加していくケースが多いです。

 

オウンドメディア運営期の記事作成

すでに公開されているオウンドメディアに記事を追加して公開する場合は、必要に応じて適時追加する方法と、「毎月30記事」というように定期的に一定数量の記事を追加していく方法の2種類があります。メディアの性質や目的に応じてどちらの方法を用いるか決まりますが、記事作成に必要な工程自体はそう大きく変わりません。

 

1.オウンドメディア全体のプランニング

  • メディアの運営方針を決定する
  • 大まかなメディアデザイン、記事のイメージを決定する
  • 予算・スケジュールを決定する

2.コンテンツ作成の準備

  • オウンドメディアの文章・素材・デザインを決定する
  • 記事を企画し、仕様を決定する
  • 記事のディレクション・ライターのマネジメントを行う

3.記事(コンテンツ)作成

定められた仕様・スケジュールに従って記事を作成する

 

打ち消し線が書いてあるところは、運用機には不要になる工程です。たとえば、メディアの運営方針などは一度決定してしまえば再度決め直す必要はないので、運営期には「1.オウンドメディア全体のプランニング」の工程がまるごと不要になります。同様に、サイトのレイアウトや入れ込む素材の仕様決定なども必要ないので、「2.コンテンツ作成の準備」もデザイン関連の工程をやりなおす必要はありません。

 

ただし、青字で書いた「予算・スケジュールの決定」だけは例外で、「すでに公開しているメディアに適時コンテンツを追加する場合」は、予算とスケジュールを決めてから記事作成を行う必要があります。「定期的にコンテンツを追加する場合」には、予算とスケジュールを月単位であらかじめ決定しておけばいいので、この工程は不要です。

 

メディア全体のプランニングに関連する業務、及びメディアのデザインに関わる工程は、記事作成に関する限り「立ち上げ時期に一度行えばOK」ということになります。ただし、「想定しているほど読者が集まらないので、メディアのあり方自体をもう一度見直したい」という場合や、「サイトが見づらいと感じるので、デザインを見直したい」というような場合はその限りではありません。ですが、今回はあくまで「オウンドメディアの記事作成に必要な工程」を前提とした説明を行っているので、それらの説明は省かせてもらいます。

 

まとめ:オウンドメディアは運営体制と時期により、記事作成の流れが異なる

今回ご説明してきた内容を要約すると以下のようになります。

 

  • オウンドメディアの記事作成に関わる主体は「メディア運営者」、「広告代理店・Web制作会社」、「ライター」の3つ。

 

  • 記事作成は、「全体のプランニング → コンテンツ作成の準備 → 記事(コンテンツ)作成」という流れで進めていく。

 

  • どの工程をどの主体が担当するかによって「運営体制」が決まる。

 

  • メディアの立ち上げ期には、メディア全体のプランニングや、コンテンツのデザイン仕様決定などの工程が必要だが、運営がスタートすれば記事作成に関連する業務だけでOKになる。

オウンドメディアの記事作成を行ったことない方は、メディアを作るにしてもどう進めたらいいのか、具体的なイメージが全く浮かんでこないかもしれません。しかし、このような説明を受ければ、必要な作業が頭の中にイメージできるのではないでしょうか。オウンドメディアを成功させるためには、こうした全体の流れをよく理解しておき、各工程の実態と意味を掴んでおくことが大切です。

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コンテンツの魅どころ

Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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