アニメのワンクール(12話)からみると、ちょうど1/3が過ぎた時点に相当するのが第4話です。3話では「ネタの方向性を統一させてくる」という新たな展開を見せたポプテピピックでしたが、果たして第4話ではどんな演出を盛り込んでくるのでしょうか。
ポプテピピック「#4 SWGP2018」の内容まとめ
キャラクターボイス
Aパート:日笠陽子(ポプ子)、佐藤聡美(ピピ美)
両者の共演作品:
http://lain.gr.jp/voicedb/individual/costar/2292/cowork/2240/page/1
Bパート:玄田哲章(ポプ子)、神谷明(ピピ美)
両者の共演作品:
http://lain.gr.jp/voicedb/individual/costar/51/cowork/740/page/2
ボブネミミッミ「即身仏」
ボブ子「即身仏ってやったことある?」
ミミ美「あるある!超おもろいよね!」
おじさん「なんで生きてんだよ!」
#4 SWGP2018
スケルトンワールドグランプリに参加した選手のポプ子とコーチのピピ美。しかし、それは実際のスケルトンとは異なり複数の選手がコースに入り乱れる、妨害ありの危険なレースだった。激走のさなか、ポプ子は乗機を失うも飛行機に変形したピピ美が救援に登場。最後はGTRとの一騎打ちを制して見事優勝を飾る。が、レース後のドーピング検査によりポプ子はロボットだったということが判明。正体がバレたポプ子はピピ美と合体し、飛行機型ロボットとなって大空へと飛び去った。
壁ドン
ときめきメモリアルとスーパードンキーコングのパロディ。
セーブポイント
ダンジョンを進むポプ子とピピ美。途中でセーブポイントを発見する。壁のウラをそっと覗くポプ子はダンジョンのボスを発見する。ダンジョンのボスは、5つの大陸と7つの海を統べる魔王。ポプ子は魔王の手下に化け、「人をダメにするソファ」のようなクッションに魔王を座らせる。魔王はやる気をなくし無事封印に成功。
LET’S POP TOGETHER
2話で登場したフェルト人形が再び登場。新曲「LET’S POP TOGETHER」に合わせてダンスを披露する。
歌詞は日本語と英語を織り交ぜながら、英語に聞こえるような発音で「信者とアンチ」について歌ったもの。モチーフはEarth,Wind&Fireの「Let’s Groove」。
歌詞の内容には複数の説があるので、検索してみると面白いです。
http://urx.red/ISHM
ボブネミミッミ「宇宙人」
どこかから侵入したグレイ型エイリアンが、ボブ子の家の猫のベッドにうずくまっている。必死で猫になりすまそうとするが、ボブ子はまったく騙されずUFOに帰らされてしまう。
スペランカー
FCゲーム「スペランカー」、フリーゲーム「呪いの館」、METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER等のパロディ。
悪落ち
普段とまったく変わらない様子で「悪落ちしたわ」とつぶやくピピ美。友情パワーで彼女を正気に戻そうとするポプ子だったが、反撃されてあっさり転がされてしまう。
メリーさん
明かりもついていない真っ暗な部屋の中で、ポプ子は着信中の携帯を手に取る。電話の主は都市伝説で有名なメリーさん。「今あなたの前にいる」と伝えるが、好戦的なポプ子は釘バットを持ってメリーさんを探しに部屋を飛び出す。思わず駅まで逃げてしまったメリーさんを「逃げてんじゃねぇ!」と罵るポプ子。
より詳しい流れは本編をご覧になるか、下記のサイトを参照してください。
http://anicobin.ldblog.jp/archives/52866708.html
パロディの元ネタについて詳しく知りたい方は、下記のサイトが参考になります。
https://matome.naver.jp/odai/2151709237336524901
ポプテピピック4話のポイント
「スポーツバトルもの」の要素が含まれるオリジナルパート
1~3話までのアニメオリジナルパートのネタを一言で要約すると次のようになります。
1話:恋愛ものあるある → SFオチ
2話:ファンタジーものあるある → メタフィクションオチ
3話:ドキュメンタリーあるある → SFオチ
どれも「一般的によくあるストーリーのジャンルから、予想外なオチで締める」という流れになっています。4話もこの流れに当てはめるなら、以下のように解釈できます。
4話:レース・スポーツものあるある → 優勝取り消しオチ
今回の題材となった「レース・スポーツバトルもの」ですが、3話までのジャンルとは明確に異なる部分があります。それは「対戦相手がいて、勝ち負けが生じる」という部分です。ここから派生して、オチも「勝って終わるか、負けて終わるか、あるいはそれ以外の終わり方をするか」という分岐が生じる可能性が出てきます。
初めて本編のネタとオチが同一軸に
一見、山のようなパロディに隠れて見えにくくなっていますが、「#4 SWGP2018」はストポーツバトルものとしてはかなりシンプルでありがちなストーリーになっています。
主人公が大会など、大きなバトルへ臨む(SWGP2018)
その大会に挑むことになった経緯・因縁が描かれる(ポプ子とピピ美の出会い)
大勢の競争相手との戦いに勝利する(コナンの容疑者など)
ライバルとの戦いと苦境(GTRとの一騎打ち)
仲間の助け(ピピ美コーチの救援)
勝利(ポプ子優勝)
エピローグ(ポプ子&ピピ美、逃亡)
「ライバルとの戦い」、「勝利・敗北などの展開」など「バトルもの特有の要素」が追加されているのが、3話までとの明確な違いです。その結果、影響を受けたのが「エピローグ」の部分です。今までは「学園ものあるあるだと思っていたのが、実はSFだった」、「アイドルドキュメンタリーだと思っていたら、いつの間にかそのアイドルが世界を征服していた」というふうに、本編のネタとオチが直接繋がらなくても問題ありませんでした。むしろ、シュールギャグという観点いえばそのほうが奇抜さが際立って良い効果をもたらしたでしょう。
しかし、「勝敗」という要素が加わるバトルものの場合、必然的にその話のオチは「バトルの勝敗に関連したもの」にならなければストーリーが噛み合いません。なので、「ドーピングがバレたポプ子とピピ美が大空へ逃亡する」という、本編の流れをくむオチになっています。
良し悪しや勝ち負けが描かれないネタのチョイス
3話では、「オリジナルパートとそれ以外のネタの方向性が一致する」という傾向が見られましたが、今回はそうした部分はありません。強いて言えば、「良し悪しや勝ち負けなど、オチで明確な結論を示さないネタ」がチョイスされているといえるでしょう。
たとえば、冒頭の即身仏(ボブネミミッミ)のネタは、「大人をからかう若者」と「若者にキレる大人」を対比させてはいるものの、どちらがいい・悪いといった結論は出していません。フェルト人形が踊る「LET’S POP TOGETHER」の歌詞は、作品の信者とアンチ双方をおちょくり、なだめすかす内容になっています。ダンジョンのボスである魔王は、ビーズクッションによって戦うことなく無力化されていますし、最後の「メリーさん」もポプ子がメリーさんに危害を加える段階までは描かれません。
このように、4話のネタはオリジナルパートを除けば、おおよそ「勝ち負けや善悪の結論を出さない終わり方」のものが選ばれているといえるのです。
ポプテピピック第4話の演出意図を考察
アニメオリジナルパートと、それ以外のパートを対照的に描いた?
アニメオリジナルパートが「スポーツバトルもの」という、明確に勝敗を描く必要のあるものだったため、それ以外のネタは勝敗や善悪が示されない内容のものをチョイスしたのではないか、と考えられます。仮にそこまで考えていなかったとしても、ネタ選びの際に「オリジナルパートとかぶるような内容のものは避けよう」という意識は当然働かせるはずですから、結果的には同じことになるはずです。
そういった意味では、アニメオリジナルパートはパロディの比重を強めてややシュールさを抑え、逆にそれ以外のパートはシュールさを強めてパロディを抑え気味にした構成だといえるでしょう。