【12.1話 ばすてき 考察まとめ】
横転したジャパリバスのそばに、4人のフレンズたちが集まり、何やら相談をしています。
アフリカオオコノハズク(博士):ではお前たち、これを見つけてくるのです。
ワシミミズク(助手):曲がってないやつを見つけてくるのですよ。
アライグマ(アライさん):このままつけるんじゃダメなのか?
フェネック:とりあえず、船にはできるって聞いたよ。
博士:陸地を走るときに必要なのです。頭を使うのです。
助手:頭を使うのです。ちゃんと食べてるのですか?
アライさん:ぐぬぬ、アライさんはその辺バッチリなのだ!
フェネック:かばんさんのためならどんとこいだけどさー。それってどこにあるの?
博士:似たようなバスは、いくつか島で目撃されているのです。
助手:探すのです。ちゃんとこれがまんまるかどうかよく見るのですよ。
アライさん:任せるのだ!ぴっかぴかのを見つけてくるのだ!
フェネック:あー、でもアライさーん、ここんとこ歩きすぎたよ。サンドスターがもう・・・。
博士:しょうがないですね。遊園地にばすてきなものがあるのです。
助手:ばすてきなものを貸してやるのです。とっとと行くのです。
アライさん:なに?アライさんもバスに乗れるのか?
フェネック:おー、よかったねぇアライさん。
(ゆうえんちまでやってきた4人)
アライさん:おーっ!
フェネック:すごいねぇ。
博士:お前らにはそうですねぇ。これくらいがいいのです。
助手:これくらいなら足が届くのです。お前らは小さいので。
フェネック:博士・助手と似たようなもんだよ。
アライさん:おーっ!
(アライさんとフェネック、乗り物に乗って出発する)
アライさん&フェネック:わっせ、わっせ、わっせ、わっせ・・・。
アライさん:出発~なのだー!
フェネック:はーいよっと。
アライさん&フェネック:わっせ、わっせ、わっせ、わっせ・・・。
助手:歩くのとそんなに変わらないのです。あれで船出に間に合いますか、博士?
博士:まあなんだかんだ、あの根性は信用しているのです。大丈夫ですよ、助手。
助手:これで概ね片付きましたね。まったく、長も楽じゃないのです。
博士:これで長らしく、果報を食べて待てるのです。まったく。
助手:今日もかばんにごちそうになりますか、博士。
博士:そうですね。ちょっと料理を引っ掛けて帰りますか、助手。
けものフレンズのアニメ本編は12話で終了しましたが、12話放送の1週間後、本編の制作に携わっていたirodoriメンバーによって公開されたのがこの12.1話です。本編のおまけ的な内容が含まれているので、合わせて内容を解説したいと思います。
けものフレンズ 12.1話「ばすてき」
アライさんとフェネックが主役
12.1話は、12話で最後に流れたのと同じエンディングテーマの途中からスタートします。12話のエンディングテーマは、かばんちゃんがパークの外で新しい島を発見したところで曲がスタートし、12話から順番にストーリーを遡る形で、1枚ずつジャパリパーク各地の画像がスタッフロールとともに流れていく構成になっています。
12話と今回とで異なるところは2つ。相違点のひとつ目は、画面中央に描かれるフレンズのシルエットが12話の方は「旅の途中で出会ったフレンズたち」になのに対して、今回は「アライさんとフェネックの2人」になっているところです。そしてふたつ目の相違点は、最後に映し出される画像が12話の方は「さばんなちほー」なのに対して、今回は「ジャパリバスが衝突した木」になっているところです。おそらく、今回のエピソードがアライさんとフェネックを主役にしたものであるという点に合わせた演出でしょう。
12話の考察で示した通り、フレンズたちはかばんちゃんをパークの外に送り出すため、使えなくなったジャパリバスを修理する必要がありました。アライさんとフェネックもその手伝いをしたのであろうことはわかっていましたが、具体的にどんな貢献をしたのかが描かれたわけではありません。12.1話ではその彼女たちの活躍が部分的に描かれることになります。
11話で横転したジャパリバスですが、どうやらその際の衝撃でタイヤが歪んでしまっていたようです。「このままでは陸地を走るのに支障がある」として、博士と助手はパークの各地に点在しているほかのバスから、無事なタイヤを探してくるようアライさんとフェネックに伝えます。
この際、博士と助手は「ちゃんと食べているのか?」と2人をからかっています。「脳に十分な栄養が言っていないから頭が働いてないのではないか?」という意味なのですが、2人の「料理」に対する執着を示すセリフでもあります。
アライさんとフェネックはサンドスターを消耗していた?
アライさんは早速、タイヤを探しに行こうとしますが、ここでフェネックが気になる一言を発しました。「最近歩き過ぎたから、サンドスターがもう(残り少ない)」といったようなセリフです。
アライさんとフェネックは、かばんちゃんを追いかけてパーク中を旅してきました。しかも、かばんちゃんたちとは違い徒歩での移動です。フレンズの活動にサンドスターが必要であるなら、「そのためにサンドスターを使いすぎてしまい、これ以上歩くのには支障がある」としても不思議はありません。
また、2人はセルリアンとの戦いの最中はほかのフレンズたちの誘導を行う係でした。かばんちゃんを助けにフレンズたちが集まってきたあとは、救援に来たフレンズたちを現場に誘導するかかりも兼ねていたのでしょう。その際はサンドスターを消費して素早く走り回っていたのかもしれません。
こうした理由から、2人が「サンドスター不足で長距離を歩くの難しい状態」にあるとしても不思議ではないのですが、私は「フェネックが嘘をついた」という第三の可能性もあると思っています。つまり、「疲れている(サンドスターが残り少ない)」と自分たちがいえば、博士や助手が何らかの助け舟を出してくれるのを見越して、本当はまだサンドスターに余力があるのにあえて「歩き回るのは辛い」と伝えたのではないか、ということです。
タンデム自転車でタイヤ探しに出発
ともかく、博士と助手は2人のために、遊園地にある「ばすてき」な乗り物を与えることにしました。ここでもいちいち「お前らは小さい」だのと小馬鹿にしながら乗り物を選ぶあたり、博士・助手とアライさん・フェネックの関係性が表されています。
2人に与えられたのは、自転車が2台横に並べられたような乗り物です。このような形体の乗り物は、「タンデム自転車」と呼ばれているようです。「ばすてきなもの」に乗るのを楽しみにしていたアライさんは、フェネックとともに元気よく出発していきました。
料理という癒やしを得た博士・助手
博士と助手は2人を見送りながら、これで「果報を食べて待てる」といっているので、この時点でそれ以外のジャパリバスの改造・修理の指示はすべて完了していたのでしょう。そして、まるで仕事帰りに飲みに行くサラリーマンのように「ちょっと料理を引っ掛けて帰ろう」と語り合っています。
今回のエピソードは、「本編の裏でアライさんとフェネックがどう活躍していたのか」を描くものであるとともに、「博士と助手が日々、どのようにパークの長としての役割をこなしてきたのか」を描くものでもあります。7話「じゃぱりとしょかん」でのかばんちゃんたちに対する態度からもわかる通り、基本的に2人はパークの長としての自負があるからか、周囲に対しては尊大な態度で接しているようです。
しかし、博士と助手にしてみれば、(かばんちゃんが現れるまで)周りはみんなヒトの姿をしていながら、知識はほとんどないフレンズばかり、自分たちが知恵を与えなければ知的な活動は何もできない・・・となれば、そのようになってしまうのも仕方のないことなのかもしれません。
そんな彼女たちも、かばんちゃんとの出会いによって「料理」という楽しみを覚えました。博士と助手はおそらくかばんちゃんについていくことはなかったでしょうが、パークに残ったフレンズたちの内面にも、かばんちゃんとの出会いによって様々な変化がもたらされたのです。