【Bパート 犯人はかばんちゃん?】
「犯人がわかった」と、自分の推理を披露したアミメキリンでしたが、その中身はとても真実とはいえないものでした。ここで一旦話を遮られたかばんちゃんが、いよいよ事件の真相を語り始めます。
かばんちゃん:あのー、僕、わかったかも・・・。犯人は・・・、僕です。
一同:えーっ!!!
アリツカゲラ:どういうことですかかばんさん?
アミメキリン:まさか、変身を!?
サーバル:冗談でしょかばんちゃん!だって今朝、一緒にいたじゃない!
かばんちゃん:ええと、多分見ればわかると思うので、ちょっと一緒に歩きましょう。
(全員、かばんちゃんについてロッジの廊下を歩く)
かばんちゃん:お化けの出た場所は、バラバラのようで、すべて僕の近くだったんです。何より、すべての時間が・・・。
(ラッキービースト、ミライさんのメッセージを再生する。空中に白い影が映し出される。)
一同:おおっ!!!
かばんちゃん:僕らがミライさんのメッセージを聞いた場所だったんです。僕が歩いた先で、ラッキーさんが反応してたんです。お騒がせしました。
アミメキリン:こ、これ何?
アリツカゲラ:こんなの初めてみました・・・。
(ラッキービースト、ミライさんの姿をはっきりと映し出す)
犯人はかばんちゃん(ラッキービースト)だった
かばんちゃんが語った真実とは、「犯人は自分(かばんちゃん)である」というものでした。この発言の意味について、サーバルは当初「わけがわからない」という反応をしています。それもそのはずで、今朝、2人は一緒にいるときに白い影を目撃しているからです。かばんちゃんと影が別人であることには、サーバルという証人がいることになるので、むしろロッジメンバーの中で最も確かなアリバイがあるとさえいえるでしょう。
かばんちゃんは、一同に理由を説明するため、ロッジの中を歩き始めました。かばんちゃんを先頭に、すぐ後ろにはラッキービースト、そしてその後に他のフレンズたちが続くという並びです。
かばんちゃんが主張したかったのは、「白い影の正体は、ラッキービーストによって投影された録画映像である」という真実でした。今まで、ロッジを始めとするさまざまな場所で再生されてきた、ミライさんのメッセージは、実は音声ではなく録画映像だったのです。
白い影のお化けが目撃されたタイミングと共通点
このロッジでは、ミライさんのメッセージが多数再生されてきました。まとめると以下のようになります。
1日目夜:アミメキリンと別れた後、ロッジの散策中
2日目夜:部屋からいなくなったサーバルをかばんちゃんが探しに行ったとき
3日目夜:かばんちゃんとサーバルのロッジの散策中
4日目朝:かばんちゃんとサーバルの部屋のテラスで目撃
白い影が目撃されたのは、常にかばんちゃんがいる場所のそばで、ラッキービーストのメッセージが再生されたタイミングだったのです。たとえば、1日目の夜、アリツカゲラに影が目撃されたシーンでは、メッセージを聞くサーバルの背後にある廊下と扉が不自然にクローズアップされるカットが挿入されていました。
これはすなわち、サーバルの背後の方向へミライさんの映像が投影され、それを別の場所からアリツカゲラが目撃した、ということを示す描写だったのです。
2日目の夜は、かばんちゃんがサーバルを探しに行くとき、眠っていたアミメキリンが目を覚ますシーンが描かれています。
これもまた、「かばんちゃんがミライさんのメッセージを聞いていたとき、目を覚ましたアミメキリンは白い影を目撃していた」ということを示す演出だったのです。
3日目の夜、タイリクオオカミが目撃した影はかばんちゃんとサーバルがロッジ内を探検しているときにミライさんのメッセージが再生されたことによって生じたものでした。このとき、ラッキービーストは窓の外の方を向いており、映像はロッジを取り巻く木々をスクリーンに再生されたと考えられます。映写機とスクリーンの距離が遠かったために、映像は引き伸ばされ、オオカミは、「聞いていたよりずっと大きかった」と証言することになったわけです。
4日目の朝にかばんちゃんとサーバルが白い影を目撃したとき、同じ部屋にはラッキービーストがいて窓の外を向いていました。一度は驚いて部屋の隅に隠れたかばんちゃんとサーバルでしたが、かばんちゃんの提案で部屋の中から影を覗き込むことになります。
このとき、かばんちゃんはちょうど足元にいたラッキービーストにより掛かるようにして影を覗き込んでいました。つまり、「映写機に手を触れてしまった」わけで、当然投影された映像は大きく動くことになります。「白い影がすごいスピードで動いた」と思った2人は驚いて部屋から逃げ出してしまった、というのが事件の真相です。
ジャパリパークに映像(動画)はほとんどない?
かばんちゃんの推理を聞いた一同は、その真実に驚いたのはもちろん、ラッキービーストによって映し出された映像自体にも大いに驚いていました。「こんなもの見たことがない」と語っていることから、ジャパリパークにはプロジェクターのような、映像投影装置は存在しないのかもしれません。
私は8話「ぺぱぷらいぶ」において、プリンセスが「みんなに教えるためにダンスの練習をした」という記述から、パーク内にも一部、過去の記録映像のようなものが残っているのではないか、と考えました。プリンセスはそうした映像を見てダンスを習得したと考えたからです。
実際には、この説を裏付ける物理的な証拠はありません。しかし、今回ミライさんの映像を見た全員が、「こんなものは初めて見た」と語っていることから、パークには記録映像はないか、もしくはあるとしても数はそう多くないのではないかと考えられます。