日本で今マーケティングが求められる理由とは?

以前の記事の中で「日本でマーケティングが普及してこなかった理由」を解説してきました。

  • 「言葉の壁」があるため、基本的にビジネス=国内取引になる
  • 「東京一極集中」のため、あれこれマーケティングをするより見込み客に会いに行くほうが手っ取り早い

以上のような理由から、「日本ではマーケティングが必要なかった。だから普及しなかった」と説明してきました。

しかし、こうした状況は変わりつつあります。今や日本でもマーケティングが必要とされる時代がやってきたのです。

お店に行く前に、すでに買うものが決まっている

日本でマーケティングが求められる理由は、大きく2つあります。ひとつ目の理由は、「消費者がネットで下調べをするようになった」という点でしょう。

自分が何か買い物をするときのことを想像してみてください。日用品であれば近所のスーパーやコンビニなどにいって、そのまま購入するかもしれません。しかし、たとえばソファーやベッド、あるいはパソコンなどのように「たまにしか買わないもの」を買うときはどうでしょうか。多くの方は直接販売店に行くのではなく「まずネットでどんな商品があるか調べる」のではないかと思います。

こうした変化は、売り手側にとっては非常に重要です。何しろ「お店にくる前に、お客様が買う商品をすでに決めてしまっている」ということを意味するからです。

たとえば、家電量販店でパソコンを買う場合を考えてみましょう。家電量販店では店員がお客に「何をお探しですか?」と声をかける光景がよく見られます。これは顧客がどんな商品を求めているかをリサーチするとともに、最適な商品を提案するために行う営業行為です。実際、店員に相談して買う消費を決めた、という顧客も少なくなかったことでしょう。

しかし、ネットが普及した現在においては、こうした接客営業の影響力は以前よりも弱まってしまいました。顧客はお店を訪れた時点で、すでにネットで下調べをして買う商品を決めてしまっているかもしれないからです。そうなると、接客営業をすること自体に意味がなくなってしまいます。顧客の方も「お目当ての商品はもう決まっているから話しかけないで」と思っているかもしれません。

「下調べ」の時点で「お店にくる動機づけ」が必要

こうした状況に対応するためには、消費者がネットで下調べをする段階で、すでに売りたい商品の存在をPRしておく必要があります。つまり、ネット上に「消費者の下調べの役に立つようなコンテンツ」を用意しておき、お目当ての商品を見つける手助けを行うのです。そして「お目当ての商品はウチのお店においていますよ」と合わせて伝えることで初めて「お目当ての商品を買うために、お店に行く」という動機づけができるのです。

ネットの普及以前の消費者の購買行動が「お店に行く→買う商品を決める→購入する」であったのに対して、ネットが普及した現代においては「ネットで下調べをする→買う商品を決める→お店に行く→購入する」という形に変化しています。この変化に対応するため「ネットでの下調べ」に対して情報提供を行うこと=Webマーケティングが不可欠な時代になった、といえるでしょう。

人々が求める「幸せの形」が多様化した

日本でマーケティングが必要になった2つめの理由は、消費者の要望が多様化したことです。

昭和の時代、いわゆる「バブル時代」の光景を思い浮かべてみてください。当時は、人々が求めるもの、幸せの形はおおよそ一様でした。当時の20~30代の男性にとっての典型的な幸せの形は、「高級な車、腕時計などステータスシンボルを持つこと」。そのころそれくらいの年齢だった方なら「女性をデートに誘うためにお金を貯めていい車を買おうとしていた」という記憶を多くの人が持っていると思います。当時は、男性にとっては「いい車に乗っていい女を捕まえて、結婚したら持ち家に住んで幸せな家庭を築く」というわかりやすい「幸せの形」がありました。女性の場合は「年収数千万円の男性と結婚して、子どもは3人くらいほしいな」といった要望を持っていた人が多かったのではないでしょうか。

翻って、今日の20~30代の若者について考えてみると、「昔に比べて欲がなくなった」、「消費をしない」、「将来への強い不安を抱えている」などといわれています。たとえば自動車は、もはや「若者なら誰でも喉から手が出るほどほしいもの」ではなくなりました。「お金があったらほしいけど、そうでなければ別にいらない」と考えている方が少なくないと思います。生活のための「足」として自動車が必需品である田舎でさえ「安い軽自動車でいい。高い車は必要ない」と考えている若者が大勢います。

たしかに、バブル時代に比べて庶民の生活が苦しくなり、将来不安が増したことで消費が控えられているのは間違いないでしょう。しかし、それに加えて人々が求める「幸せの形」が多様化している影響もあると思います。今日では、もし経済的な余裕があったとしても車も家もいらない、家庭も持ちたくないという若者が大勢いるのです。もちろん、従来の価値観を持った人がいなくなったわけではありません。しかし、そうでなはない幸せを望む人も大勢いて、人ぞれぞれに求める理想の生き方の形が異なっている、というのが現代の特長ではないでしょうか。

多様化した要望に合わせた、最適な売り方を考える必要が生じた

「幸せの形」がひとつだった時代、商品やサービスは単純に「性能の良さ」を競うだけで十分でした。車であれば、燃費やデザイン、スピードなどで他社の製品に勝っていればそれでよかったのです。しかし、消費者の要望が多様化した今日においては「性能」で他社に勝つだけでは消費者から選ばれる存在にはなれません。

たとえば、「家族4人くらいで、週末にお出かけするのに最適な車」というふうに、消費者の要望に合わせた商品のブランディングを行わなければ買ってもらえない時代になったのです。このように、現代においては消費者の要望を読み取り、それに合わせた商品の売り方を考えること=マーケティングが求められている、といえるでしょう。

マーケティングが、時代の変化に対応する解決策になる

以上の話をまとめると、次のような結論になります。

  • 消費者がネットで下調べをしてから商品を買う時代になったため、「ネット上でのPR」を行うべき
  • 消費者の価値観が多様化したため、「個々の消費者の要望を読み取り、最適なやり方で売る」必要が出てきた

これら2つの問題を解決するため、日本の企業もマーケティングに取り組む必要が出てきました。今までまったく経験のない分野に挑戦するには決して簡単ではありません。しかし、マーケティングに正面から取り組む以外に、今後のビジネス界で生き残っていくすべはないと私は考えています。

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コンテンツの魅どころ

Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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